歴史・時代ものの最近のブログ記事


哄う合戦屋
  • 北沢 秋/イラスト:志村貴子
  • 双葉社
  • 1470円
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書評/歴史・時代(F)
「本が好き!」から献本いただきました。多謝。


時代設定は戦国時代、天文18年春から天文19年夏にかけての2年間の物語である。そして、舞台は信濃。

ということなら、武田信玄(晴信)が信濃制圧に向けて着々と動き始めていた頃、さては、そのあたりの信濃の国を統一する話か、と思ったのだが、かなりの見当違い。「勝者」の物語ではなく「敗れていった者」の物語であった。

だが、この「敗者」の姿が尋常ではない。いったいに「敗者」というものは美しく見えてくるのは、日本人の性なのだが、この物語の主人公、諸国を渡り歩く合戦屋 石堂一徹 の姿は、「颯々」として、なにかすっきりとした爽快感を覚えるたたずまいで、これぞ「武者」であるな、と喝采をおくりたくなる。


さて物語りは、中信濃の深志と北信濃の塩田平の間の横山郷、遠藤吉弘の居館のあたりで、吉弘の娘 若菜と、一徹が出会うところから始まる。(もっとも、一徹と若菜の恋物語が云々、という展開ではない)。
この遠藤家、三千八百石程度の身上で、近隣の土豪との争いにあけくれていた家で、さほど有力な家であったわけではない。それが、石堂一徹が、軍師として食客になってから、以前から仇敵であった隣の高橋家を滅ぼし、ついで不破、といった風に、領地を拡大していく。このまま進めば、中信濃一の豪族、小笠原長時との対決は必至では・・・といった形で展開し、「天下」を狙う、石堂一徹の野望の片鱗も明らかになる。



江戸に惚れ込んでいた、杉浦日向子さんの「江戸」についてのエッセイ集である。この人の江戸ものはコミックでも葛飾北斎を描いた「えひもせず」や怪談集の体裁をとった「百物語」などなど、数々あるのだが、いずれも「江戸」が好きで好きで堪らない雰囲気が伝わってきて、筋立てのほかに「江戸」が楽しめて、なんとも風情のあるものだった。

そういう人の江戸エッセイであるから、そこかしこに作者が惚れ込んだ「江戸情緒」がこぼれだしてきて、江戸流にいえば、「なんとも粋」な出来である。

構成は

江戸の粋と遊び

江戸のくらし

江戸の食事情

の三部構成で、それぞれ江戸の暮らしを描いてある。

全体に、該博な江戸時代の知識をそこかしこに散らしながら、けして嫌みになっていないのが、この人の人柄なのだろう。

組み上げてきたものが時代の流れの中でがらがらと崩れていく「戦前編」と崩れてしまったものを一からピースを集め、組み上げていく「戦後編」とでもいうのだろうか、日英関係の「喪失」と「誕生」と戦前・戦後に英国に関わりながら生きてきた人々の「希望と挫折の記録」を印象づける一冊である。

アウトライン的には、「戦前編」は、日中戦争、太平洋戦争へと向かっていく日本の動きをなんとか回避しようとする日本の皇室とそれを支える和平派と英国の親日派の動きを、1924年の秩父宮の英国留学の裏で動く日英の思惑から1941年のチャーチルによる対日宣戦布告までを、そして「戦後編」は1945年のマッカーサー元帥の日本到着から1954年の吉田茂の講和後の英国訪問までを、皇室の廃絶危機、天皇の退位計画、果ては、ローマ教皇まで乗り出した、天皇のカトリック改宗の企てを軸にしながら、英国の公文書館に残されている機密ファイルから洩れ出すデータを、英国の関係者へのインタビューなどを交えながら叙述していくルポである。

しかし、単純な日英の皇室をめぐる戦前・戦後史ではなく、平和と日本の自立を目指す皇室、とりわけ昭和天皇の思いと、それを国家的な戦略として利用はするのだが、一方で立憲君主制国家の仲間として、あるいは、日本の行く末を心配する明治以来の友好国としての英国の、冷徹な国家戦略だけでは割り切れない関係性を表現した上質な歴史書といってよい仕上りになっている。

しかし、まあ、読み終わって、なんと多くの人達が日英という両国家を軸にしながら、さまざまな思いを、あるいは野望を遂げようとして係わり、夢破れていったことか、という思いにかられる。

この巻は、豊臣秀吉が天下をとってから、朝鮮への外征の失敗までがテーマ。
のっけから、秀吉の指は6本あったといった、ちょっと眉唾したくなるようなところから始まる。この話は前田家文書からといった引用はあり、その真贋を確かめようもないので、その説の是非は問わないとしても、秀吉(藤吉郎時代)の姓であったとされる「木下」の疑わしさや羽柴という姓の由来への疑問など、「逆説」の名にふさわしく、この巻も定説へのチャレンジで始まっている。

本当は清洲会議の結果、信長の孫の三法師を手中に収めることになった柴田勝家や織田信孝の方が天下取り(というより信孝の立場からすれば天下の維持かな)には有利だった

とか

賤ヶ岳の戦で柴田勝家が負けたのは、実は前田利家が原因

とか

織田家が崩壊して、秀吉の天下取りに成功した最後の決め手になったのは、池田恒興(勝入)を秀吉が味方に引き入れた(筆者は金で転ばせたといっている)のがキー

とか、あいかわらず、ふむふむと読んでしまうとこは多いのだが、

この巻でうーむとうならさせるのは、

戦国時代末期〜安土・桃山〜江戸初期というのは織田信長〜豊臣秀吉〜徳川家康とセットでとらえるべきで、その最終的な仕上げが「宗教勢力(寺)の非武装化」だったといった話のひろがる「第4章 豊臣の平和編」

文禄の役の本当の目的は中国(明)の征服にあって、その遠因は、カトリック勢力の東アジア侵攻に対抗してのもので、当初、共同して進めようとしていた(外征用の船の提供を受けようとしていた)キリシタン側から拒絶にあったから伴天連追放令がだされたといった話のでてくる「第5章 太閤の外征編」

だろう。


まあ、真説・異説あるいは賛否両論あると思うが、筆者の掌上に転がって楽しむのも一興の一冊ではなかろうか。

我々が当り前のように思っている「日本史」の常識を、根底から崩して新たな地平を見せてくれる、井沢元彦氏の「逆説の日本史」も文庫判がようやく戦国時代になってきた。




今まで、「怨霊信仰」や「言霊」の思想で、日本人である我々も気づかない、我々の意識の底にある行動原理を解き明かしてくれた「逆説の・・」が、今度は、戦国時代を題材にどんなキレ技をみせてくれるか楽しみになる。

収録は

琉球王国の興亡論ー「沖縄人」が築いた東アジア大貿易圏
海と倭寇の歴史編ーニセ倭寇を生み出した朝鮮民族の差別思想
戦国、この非日本的な時代編ー「和」の原理を崩壊させた実力主義
天下人の条件1 武田信玄の限界編ー戦国最強の騎馬軍団と経済政策
天下人乃条件2 織田信長の野望編ー「天下布武」と「平安楽土」の戦略

の5章。

聖徳太子の腹心 秦 河勝の部下 子麻呂が斑鳩の里の事件を解決していく古代を舞台にした時代ミステリー。

収録は「子麻呂と雪女」「二つの遺恨」「獣婚」「新妻は風のごとく」「毒茸の謎」「牧場の影と春」の6編。

時代ミステリーといえば、せいぜい江戸時代の捕物帖が普通だろう。それを古代、とりわけ正史の事実の真偽すら定かではないところもある飛鳥時代に材をを求めながら、古代の時代風情をたっぷりと味あわせながら、きちんとしたミステリーに仕上げているのは、文壇(ちょっと古い表現だね)の重鎮 黒岩重吾氏の手練の技だと思う。


さて、それぞれにレビューすると、一話目の「子麻呂と雪女」は、子麻呂が冬の里で、雪女に見紛うような美しい女(キヌイ)を助ける話。この娘と子麻呂はなにやら怪しげなというか、恋愛沙汰のような関係になってしまうように思っていると、なんと、子麻呂が娘の国家的な大仕事の練習台に使われていることが明らかになるあたり、中年男のワビシサは、ちょっと我が身に凍みる。


二話目の「二つの遺恨」は、真面目に学問をしていると思った息子が、実は最近学校をサボっている。何故か、という理由探しと、斑鳩の里でおきた村の古くからの無冠ではあるが豪族(平群氏の郡司)の一族の一人と農民とのイザコザの理由さがしが並行して展開する。まあ、息子の方はm親の因果が子に報いといった感じの、息子の学校の教師の逆恨みなのだが、村の方は、この時代の古くからの氏族が衰え、新しい位階制度のもとで新興勢力が台頭していく様子が反映されていて、なにやら現在の様々な姿を彷彿とさせる。

しばらく、PCブログの更新にかかりっきりになっていたので、久々のBookレビュー

お題は、江戸文化の華 遊郭 である。おまけに品川とか深川とかじゃなく

江戸の粋を集めた「吉原」である。

といったところで、変な艶話を期待されると困る。江戸の吉原の知識本である。

平成16年10月1日初刷。定価476円+税

江戸のお武家の暮らしから吉原まで、江戸常識満載である。

時代小説や時代劇好きの人は、全編通じて楽しく読めると思う。ただし、あまり続けて一度に読むと薬味だけを続けて食べているような感じに襲われるので、少しずつ、楽しむのがオススメ

ちょっと、中を紹介すると

三百石以上の旗本の門には門番所がついていて門番がいるが、二百石になると門はあるが門番はいない。門に並んだ通用口の片扉に鎖がつけてあって、その先に徳利がぶらさがっている。これに石でもいれて釣り合いをとり、押せば扉が開くし、入ってしまえば自然に閉まるようになっていた。徳利が門番をしていたわけで「徳利門番」といった(門構えで格式がきまる)

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偉大なカメラマン 宮嶋茂樹のアフガン戦記。下巻では、アフガン、ジャポルサラジ入りしてから、アフガニスタン脱出、そして再入国

さて、アフガンのファイザバードを出発し、ジャポルサラジを目指す。
崖から、取材隊ごと転落して、機材一式を失ったポーランド人のクリスと共同通信の記者も同行である。

途中、ソビエト連邦のアフガン侵攻の時に、大量に打ち捨てられた戦車の墓場(といっても、中に人が住み着いていたり、キャタピラを塀代わりにしたり。戦車にとっては墓場だが、それなりに有効利用されている。)も通り過ぎる。文庫の表紙にも使われている砲塔に腰掛けている少女の笑いが明るい。

偉大なカメラマン 宮嶋茂樹のアフガン戦記。上巻では、パキスタンから、どうにかこうにかアフガン入りし、ジャハルサラジ(重要都市らしい)へ着きそうで着かないところまで。

しかし、このタイトルの洒落、うちの娘に話をするとポカンとしていたし、うちのカミさんも事細かな話をしてやっと通じた。もはや玄人受けというか、かなりの親父かマニアというかオタクにしか通じないギャグになっている。時代の変化は恐ろしかー!!!

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