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北森 鴻 「緋友禅」(文春文庫)

店をもたない骨董商 旗師・冬狐堂 宇佐見陶子シリーズの掌篇。

収録は

 陶鬼
 「永久笑み」の少女
 緋友禅
 奇縁円空

の4篇。

主人公の陶子に感情移入しながら、それぞれ萩焼き、埴輪、友禅染、円空仏といった骨董、古物を中心にする贋作あるいは殺人事件の絡まりあった糸を解きほぐしていくのが、
このシリーズの醍醐味なのだが、今回の掌篇たちは、「狐罠」「狐闇」で重要な脇役としてでてきた人物や、陶子の骨董商修行時代に出会った人物に関わる話が多く、「狐」シリーズの外伝のような扱いで読めばよいだろう。
「陶鬼」は、陶子が旗師を始めたころ商売敵であり師匠的な存在でもあった元陶工の死にまつわる話であるし、「奇縁円空」は、古材を扱う大槻の過去に起因する贋作・殺人事件である。
そして、なにより、楽しめるのは、骨董、民芸、古物の周辺で蠕く贋作師の姿や、「緋友禅」ででてくる「楊枝糸目」に代表される失われた古来の技術と格闘する工匠たちの姿だろう。

できれば、「狐罠」「狐闇」の後に読んでほしい一冊。

お薦め度 ★★★★

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