2009年7月アーカイブ

銀座NO.1のクラブのホステスと車で事故死した夫の跡を継いで私立探偵になった笹野里子がでくわす事件の数々。

ハードに、タフに事件を解決していく里子が最後にたどり着いた夫の事故死の真相は・・・・

といったのが、おおよその本書の構成。


収録は

「雪のマズルカ」
「氷の炎」
「アウト・オブ・ノーウェア」
「ショウダウン」

の4編。


では、ネタばれすれすれでレビューをするとしよう。

まず。表題作「雪のマズルカ」は不良の金持ち娘を家に連れ戻すようその娘の祖父に依頼されるところから始まる。まあ、当然、この娘の付き合っている男や組織はロクでもないが、依頼者自身もロクでもなくて、その二つをどうにかしようと思うと、まあ、ゴルディアスの結び目をアレキサンダー大王が解決した手法よろしく少々乱暴なやり方もやむを得ないかもね、といったところ。イヤなやつが、イヤな奴なりに描かれているのが新鮮といえば新鮮。

「氷の炎」は里子がずっと昔に助けたことのある、今は女優となったいる娘の素行調べから始まる、奇妙な結末を迎える事件。因果応報といった言葉が、なんとなく思いおこされる物語。あるいは、形を変えたエディプス・コンプレックスの解消といったところか、はたまた親の敵討ちととらえるべきか?

八王子に住んでいる小説家の「ぼく」と「妻」のところへ、警視庁の敏腕(?)で、奇妙な事件が起こる署をたらいまわしにされている河田警部がやって来て、というシチュエーションで始まるおなじみのシリーズ。

「ミミズクとオリーブ」「嫁洗い池」に続く第3弾である。

前作でニューヨークに研修派遣されていた河田警部だが、今作では日本に帰ってきていて、ニューヨーク時代の事件についての話もある(もちろん、ぼくの「妻」の推理あっての解決なのだが)。


収録は

「ト・アペイロン」
「NY・アップル」
「わが身よにふる、じじわかし」
「いないいないばあ」
「薄明の王子」
「さみだれ」

の6篇。

異端の民族学者 蓮丈那智シリーズの3作目。

収録は

「憑代忌(よりしろき)」
「湖底祀(みなそこのまつり)」
「棄神祭(きじんさい)」
「写楽・考(しゃらく・こう)」

の4作。

ネタバレすれすれで、ちょっと紹介すると

「憑代忌」は蓮丈先生の不肖の愛弟子 内藤くんの写真がお守りというか、贄がわりに使われているところから始まる話。
本当の事件は、南アルプスの近くの火村家でおこる「御守り様」と呼ばれる人形を巡っての殺人なのだが、ここでは、「憑代」っていうことが推理を狂わせるお話。ちなみに憑代っていうのは、憑代、ひとかた、人形に代理の罰を与えることで、現実の人物に呪いをかける方法なのだそうだ。

「湖底祀」は湖底で発見された江戸時代の神社跡、実は、鳥居の起源を解き明かす重大なヒントが、民俗学的な謎解きに、生臭い、いわゆる地域起こし、ムラ起こしといったやつが絡んできて・・・といった、ちょっと少しばかり曰く因縁があれば、なんでも地域振興にこじつける在り様がチクッと胸に刺さる一編。もっとも、本当の謎は別のところにありますよ、念のため。

いつもは安価な文庫本で済ますのだが、今回はちょっと奮発して単行本で読むことにした「ローマ人の物語」である。

時代背景としては、セプティミウス・セヴェルスがイングランドで客死した後、後を継いだカラカラから始まり、ローマ帝国の危機ともいわれ、軍人皇帝が乱立した時代、ディオクラティヌスの即位直前までの3世紀のローマ帝国が描かれている。

紀元211年から284年の、百年間にも満たない期間なのだが、あれあれ、という声が出てしまうほどに様々な出来事、国難満載の世紀である。

例えば、カラカラ帝がローマ帝国の市民権を、帝国住民全員に広げ、ローマ軍の弱体化を招き、オリエント出身のあやしげな(失礼!)宗教の祭司も務める皇帝ヘラガバルスが登場したりして、なんか雲行きが怪しくなったぞ、と思ったら、案の定、新興国ササン朝ペルシアが登場して、皇帝が捕囚の身になるという前代未聞の失態はおきるは、ゲルマンの蛮族がやたら暴れ出して、あろうことか、ガリアが独立したり、シリアのあたりがパルミラとして割拠したり、といったいったことが、次々とおこるのである。

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