(ブックレビュー)土橋 正「モノが少ないと快適に働ける」(東洋経済新報社)

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文具コンサルタントである筆者によるミニマリズム手法による整理術、仕事術の本。
筆者によると「ミニマリズム」とは、”本当に必要な部分を残し、それ以外の不要なものは削ぎ落とした結果としてのシンプルさ”
で、”快適最小限”ということで、シンプルさや単純に「捨てる」ということとは違うらしい。
構成は
第1章 書類、ノート、名刺など紙類の流れをつくる
第2章 デスク環境のミニマリズム
第3章 ミニマリズム的時間管理
第4章 ミニマリズム的プライベートライフ
となっていて、書類などの「モノ」の整理から始まって、仕事場の環境、時間管理へと及んでいくのが大きな流れなのだが、こうしたミニマリズム手法を最初から実践していたというわけではなく、第2章のデスク環境のところで紹介されているように、もともとは
むしろ、モノがたくさんある方が満たされているとさえ思っていた。それが、あるきっかけで仕事道具を一挙に減らすことになった。それは私のワークスタイルの変化だ。  独立当初の数年は、自宅の書斎を仕事場にしていた。文具をテーマに仕事をしているということもあり、デスクの上には、お気に入りの文具がぎっしり並べられていた。気に入った文具に囲まれ、はじめのうちはそうした自宅での仕事は快適だった。
ということだったのだが、自宅での仕事は、プライベートとの境目がなくなる弊害がでたため、レンタル・オフィスへと仕事場を移す。その際、行き帰りの荷物を少なくするため、ノーパソ、手帳、ノート、書類入れ、ペンケース、PHS、名刺入れに絞り込み、
こうして仕事道具を、もうこれ以上は減らせないというところまでそぎ落とした。結果、当初は荷物を軽くしたいというのが一番にあったが、それ以上のメリットを知ることになった。
それは、仕事道具はより少ない方が快適であるということだった。レンタルオフィスはいつ誰が来てもすぐに仕事ができるように、キレイな状態が保たれている。そこに自分gあ厳選した仕事道具を配置して仕事をする。すると、余計なノイズがないので、その時やるべきことに集中し没頭することができるようになった。
というところであるようだ。

で、その手法は、例えば書類は
「快適最小限」を実践する以前に分厚いファイルに綴じていたもののほとんどは、スキャン書類にシフトしている。また、最近買った商品の取り扱い説明書や健康診断の結果、年金特別便など原本としての書類の価値よりも内容が重要な仕事以外のものも含まれる。 ちなみに原本自体が重要な書類、たとえば契約書などは別途契約書専用ファイルをつくってまとめている。日々の生活でこの手の書類は、そうたくさんある訳ではないので、私の場合は1冊で十分足りる

といった方法であるし、読書も

本を読んでいると、思わず目が釘付けになるフレーズが出てくる。そんなフレーズと出会ったら、該当箇所に爪でゴリゴリと跡をつける。
  
読み終わったら、1週間ほど寝かせて頭の中で熟成させた上で、マークを付けた箇所をまとめる作業に取りかかる。  
本の中でドッグイヤーがあるページだけを振り返る。

あらためて、そうしたフレーズを読み返してみると、なんでこのフレーズが重要だったのだろうと首をかしげてしまうこともある。これらは、縁がないものとして割り切ってスルーし、この時点でもしっかり心に響くものだけを読書手帳へ書き写していく。

という作業をしたら、本自体は手放してしまう
といった流れを確立しているのでデジタルへ結構シフトしているのは間違いないのだが、文具コンサルタントだけあって、

頭の中で生まれる様々なアイデアのかけらを瞬時にキャッチして目に見える形にするには、ノートとペンの方が圧倒的にスムーズにできる。頭の中で生まれるものは言葉の時もあるし、漠然とした形やイメージということだってある。浮かんでは消えるそうした不定形のものを瞬時に視覚化するには、断然ノートとペンがいい
といったように「ノート」の手書きといったアナログ系もきちんと使うところは特徴的。
あと、こうしたHack本を読む楽しみの一つが、小さなHackのTipsを探すことなのだが、
「モノを入れる場所を用紙すると、いつの間にかモノがあふれかえってしまう」。そこで新しくオフィスを構えるにあたっては、モノをいれる器は極力小さくする。ペン類や消しゴム、付せんやハサミといったものは引き出しではなく「ツールボックス」(ポスタルコ)を使う
手帳はマンスリータイプ。iMacのすぐ左側を定位置にして、スタンドを使って立てて開きっぱなしにしておく
とか
TODOは、自宅の書斎に保管するATOMAの「PPカバーノートA7」に仕事やプライベートを含めてすべてのTODOを書き込んだ「TODO全集」とその日にやるべきことだけをリストアップした「時計式TODO管理付せん」で管理する
スケジュールは大きく「アポイント」(自分以外の誰かとの約束事)と「TODO(タスク)」(自分との約束事)の2つに分類し、基本的にアポイントはマンスリー手帳に、TODOは「TODO全集」に書き込む。マンスリー手帳は一日の記入すメースは少ないが、アポイントにシボエバ多くても3〜4件くらいなので十分足りるし、分けて書くことで重要な締め切りなどが埋もれるリスクも避けられる
などの小ネタも満載である。
GoogleカレンダーやToodledoやDoit.imやDropboxなどのクラウド系のネタは少ないが、アナデについて言えば、Hack本を数々読みあさっている諸兄にも楽しめるものになっている。肩の凝らない「ミニマリズム的」Hack本として読んでみてはいかがか。

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