“外ごもり”も変化する ー 下川裕治「生きづらい日本人」を捨てる(講談社新書)

沖縄・アジア、とりわけタイの滞在記・旅行記で、我々の旅への思いをかきたてる下川裕治氏が、海外に流れていき、そこに移住する人々を取り上げたルポの第2弾。第1弾の「日本を降りる若者たち」は2007年の発刊で、比べる若者をはじめとした日本人の意識も変化していると同時に「日本」と「アジア諸国」の経済状況の差も縮まってきている。そんなことを反映してか、今回のルポに登場する日本人たちは、「逃走」という意識ではなく「移動」する感覚で、アジアの国へ移り住んでいるようだ。

 

構成は

第1話 生まれ変わる・・・沖縄・那覇

すとん・・・と落ちる/夜の世界をくぐり抜けて/社長という仕事/

そしてなにもなくなった/金がないのは楽/人生を左右させてしまう幻

第2話 儲け・・・カンボジア・シェムリアップ

ポル・ポト支配からの夜明け/ぶっかけ飯、1.5ドル/一年の利益、46ドル/

出資の条件/孤児院での経験/西村の胸の裡/

日本人客からのクレーム/アジアに吹く風

第3話 ライフワーク・・・タイ・チェンマイ

古都の夜/ひと皿のカレーライス/働きすぎの日々/

転機/出会い/会社を立ち上げる/

好きなことをして、一日、満足して暮らす

第4話 表と裏・・・中国・上海

いかつい男たちに囲まれる/固まらない国と固まる国/

仕事につかれた上海人が移り住む/

自分たちは楽しみ方を知っている/一日百元の店番

第5話 身の丈・・・ラオス・ビエンチャン

はずれてしまった人生/NGOの世界/誘い/

はじめはうまくいかないことばかり/ラオスは貧しいのか、豊かなのか/

特製和風ビーフカレーの感性

第6話 中途半端・・・タイ・バンコク

森に入っていった学生たち/オーガニックの農園と出合う/

インドでめざした農園/タイしかないか/予想外の売れ行き/

そこで踏みとどまる

第7話 結婚・・・ベトナム・ホーチミン・シティ

老夫婦と暮らす、ひとりの青年/統合失調症/はじめてのアジア/

報告/ふたりの住む家へ/ふたつの不安/初夜/

言葉を覚えるということ/三千ドルの波紋/母の家で

第8話 コールセンター・・・タイ・バンコク

日本人を月給7万円で雇う/新し海外日本人像/貯金ができて羨ましい/

月五万円のバンコク暮らし/妻のひと言/震災後、チェンマイで働く/

現地雇いも狭き門/若者の目に映る、タイという国

番外編 ホームレス・・・タイ・チェンマイ

チェンマイホームレス日記

となっていて、「沖縄」が最初に出てくるのは少し違和感があるか、まあ、アジアへの入り口と考えればよいか。

本編に登場する人々の理由は様々で、大阪のクラブを潰した後の移住であったり、日本の旅行会社の現地法人勤めの傍ら日本人向けのゲストハウスを運営したり、天然素材の綿製品の製作と日本での販売であったり、と様々。

ただ、第1弾と異なるのは、第8話にあるように、日本の会社のコールセンターに、現地のレートで現地で雇用されるという形。日本の景気後退がこんな形であらわれているのか、と思う。

しかし、その現地雇の道も

「いまね、現地雇いの募集を出すと、どっと日本人から応募がくるんです。バンコクに住んでいる人だけじゃなくて、日本からも。給料は安いですよ。三万バーツもいかない。・・・もう、現地雇いも狭き門なんですよ。」

となんともいやはや・・という状況である。

おそらくは、日本の国勢や各国との経済差の縮小やグローバル化によって、こうした国々への移住の形態もまた変化していくのであろうが、

「北京に住むのは、中国好きの日本人。中国の歴史が好きな人が多い。でも上海に自分から住んでいる人は違う。都合がいいから、この国に住んでいる。中国には無関心、中国の歴史には興味がない。私だって三国志なんて一行も読んだことがない」(P87)

といったトレンドは止めようがないのかもしれない。「外ごもり」も変わりつつある、ということか。

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