2016-02

近藤史恵

下町のレストラン・ミステリー その2 — 近藤史恵「ヴァン・ショーをあなたに」(創元推理文庫)

<br /><br /> レストランものミステリーが発展展開していくのに難しいのは、その場所の限界にもある。というのも、レストランという限られた場所・登場人物に縛られて、どうしてもその幅が拡充しないということあるからだ。この「ビ...
近藤史恵

下町のレストラン・ミステリー — 近藤史恵「タルト・タタンの夢」(創元社推理文庫)

<br /><br /> 美食モノのミステリーといえば、ネオ・ウルフものとかがあるのだが、レストランを舞台にした連作ミステリーというのは、場所が固定されているし、登場人物も之押されがちということで結構難しいものだと思うのだが、そ...
ミステリー

少年の推理モノと成長物語として読むべきか — 西條奈加「無花果の実のなるころに」(創元推理文庫)

最近、ライトなミステリーを続けて読んでいるのだが、何よりもその魅力は憂き世の辛いことや陰惨なことからちょっと目をそらして、ほんわかとした謎解きに遊んで、一時、心を休ませることができること。 この「無花果の実のなるころに」も、中学生の「望(の...
グルメ

古風なグルメ本も良いものだ — 丸谷才一「食通知ったかぶり」(文春文庫)

少し前に、Kindle日替わりセールにエントリーされていて、かなり前の出版なのだがなー、思ったのが再読のきっかけ。初出掲載誌をみると、昭和48年(1973年)から昭和50年(1975年)にかけてなので、ほぼ40年まえのグルメ本ではある。 構...
ミステリー

とてもライトな女子高生ミステリー — 谷原秋桜子「天使が開けた密室」(創元推理文庫)

ミステリーの風合いにはいろいろあるのだが、どことなく食わず嫌いがあって、手にとってはみるものの読むところまでいかなかったのが、本書のような、ライトノベル系のミステリー。どこが気に食わなくてというわけではないのだが、どことなくふわふわして地に...
近藤史恵

”自転車ロードレース”は戦略ゲームと捉えるべきか? — 近藤史恵「エデン」(新潮文庫)

前作「サクリファイス」で、日本ではあまり馴染みの無い「自転車ロードレース」というスポーツの世界を描き出されたのだが、本書は「サクリファイス」の主人公であった「白石 誓」の続編。 「サクリファイス」の最後の方で、スペインのチームからスカウトが...
近藤史恵

”アシスト”という生き方 — 近藤史恵「サクリファイス」(新潮文庫)

もっぱら「モップの魔女」シリーズや「フレンチ・レストラン ビストロ・ド・マル」シリーズが中心で、何やら気が滅入りそうな気がして、自転車ロードレースのシリーズは食わず嫌いであったのだが、「食わず嫌い」の例にもれず、読んでみるとあっという間に引...