西村ミツル・梶川卓郎「信長のシェフ 14」(芳文社コミックス)

さて、「静」の印象が強かった、12巻、13巻を経て、動着始めるのが14巻。

信玄の喪の明けた武田勝頼が、都を目指して動き始める。

当然最初に襲いかかられるのは徳川家康ではあるのだが、軍勢も多数で戦上手の武田勝頼の手にかかれば、高天神城は落城の目にあう。

ところが、家康は信長を信頼しており、信長の援軍が遅れたことも・・ていうのが表の歴史であるのだが、タイムスリップものの常道として、その陰には、この物語の主人公のケンがいて、ということで詳細は本書で確認を願いたい。

 

物語の後半は、武田領の百姓に捕獲されたケンが、武田と織田の設楽原の戦の前に、さてどうするか、といったところで、今回の巻ではまだ設楽原の戦前夜で終わる。なので、大活劇は次巻にご期待というところであるのだが、事件の真相は、事件の起きる前にあるというおが鉄則で、武田が敗れるべきして敗れた、という伏線はあちこちに張られているので、読み解いてみるのも一興である。

ということで、いくつか印象に残ったフレーズは

「勝頼様に長く仕える長坂殿も申しておった。

あの方の戦いぶりは信玄公より軍神と呼ばれる上杉謙信公に似ておられるーと。

あのお方は勇猛果敢して強すぎるのだ。なればこそ、勝頼公は信玄公に及ばぬのだ」

「後の関が原の戦いは天下分け目の戦いと言われているが、識者によってはそれは違うという。

本当の天下分け目となったのは、武田の長篠城包囲を発端とする、長篠・設楽原の戦いであるーと」

といったところ。

織田信長は、ある書によれば戦下手であったという話もあるのだが、戦上手は天下はとれぬというのも真実かもしれぬ。

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