Kindle Unlimitedで提供されているコミック「隠密包丁〜本日も憂いなし」1〜4巻である。
設定は江戸時代後期、12代将軍徳川家慶が将軍の時、列強の姿はちらほらと見えてはいるが、幕末の動乱はまだ遠い時代である。
主人公は、歴代の御庭番というか、江戸市中で民の様子を監視している隠密で、料理の腕を生かして場末の飯屋で板前と働いている。市中で暮らしているうちに、この飯屋と娘に意識されるようにはなるし、町のとの暮らしに思わず役目を忘れる時も・・・、といった感じの、まあ安心して読める「時代もの」である。
時代設定的には大動乱の時代ではないものの、爛熟の時を経て熟柿が落ちるようなところで、キャストとしても遠山の金さんこと遠山景元とかなかなかの配役が可能な時代設定である。
いったいに時代ものが面白いときは、幕末のように時代がうねっていく時か、あるいはとろとろとした太平の時代の暴れん坊の話とかが通例であるのだが、熟れきっているのだがいつ落下するかわからないあやうい時代の物語というのも捨てがたいものがある。
で、こうした時は、権威がまだ大筋としては堅牢ではあるのだがあちらこちら綻んでいたりしていて、制度的な安寧に守られながら、カタルシス的な爽快感も味わえるという時でもある。
Ulimited対象のうちに4巻きまで一気読みするのが良いかな。
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