いよいよ馬春師匠の復帰独演会なのだが・・・ — 愛川 晶「三題噺 示現流幽霊」(創元推理文庫)

紅梅亭シリーズも4作目となり、そろそろ馬春師匠の復帰や福の助の真打ち昇格はどうなるんだ、と今後の展開に催促をしそうなあたりである。

収録は

多賀谷

三題噺 示現流幽霊

鍋屋敷の怪

特別編(過去)

の4編。

冒頭の「多賀谷」は、馬春師匠の復帰の独演会の日程が決まり、その準備を始めようというところで、福の助が亮子の勤めている学校の生徒、安田琴乃の依頼で、彼女のお母さんの知り合いの会社社長が催す屋形船での独演会での出来事。寄席の色物の定番である「手品」「マジック」のからくりをつかいながら、この社長に仕掛けられた詐欺事件の解決をするもの

二作目の「示現流 幽霊」は馬春師匠の復帰独演会のネタが「海の幸」という聞いたこともないネタであるためのその謎解きを始めるうちの事件。前作でも登場した落語研究の大家である、池山大典教授の実の兄である落語家松葉屋文吉が主な舞台回し役。彼は、以前寄席で、三題噺でしくじって半ば引退となっていたのだが、再度高座に復帰するのだが、福の助の奥さんの亮子さん「(彼女は文吉師匠の実の娘と儀お買いされるのだが)が師匠の世話をしているうちに、彼への殺人未遂で出くわしてしまうというもの

三作目の「鍋屋敷の怪」はいよいよ馬春師匠の復帰独演会。ところが、師匠はワガママにも独演会の前日に。山奥の「鍋屋旅館」というところでリハビリをしたいといい出す。そこは、師匠の兄弟子(既に引退している)の娘が経営している旅館なのだが、さて当日、そこへ缶詰状態になり、ぎりぎり独演会に間に合うような意地悪をされる。ようやく間に合った独演会での趣向は・・、ということで、噺家ってやつは食えない輩ばかりと再認識する次第。

四作目の特別編(過去)は馬春師匠の前座の修行時代の話。なのであるが、現在のあれこれを彷彿させるようなエピソードがあって、絶好のデザートといった存在

さて、四作目ともなり、これからの展開が気になるところで、福の助の真打ち話の結末も最後の方で明らかになる。「紅梅亭」シリーズもかなり熟れてきましたな~、といったところであろうか

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