「新聞」はまだまだ面白いメディアだ — 池上 彰「池上彰の新聞活用術」(ダイヤモンド社)

新聞の発行部数は、日本新聞協会のデータによると2016年現在で一般紙、スポーツ紙あわせて43,276,147部であるらしく、2000年の53,708,831部に比べると15年ほどで1000万部減らしている勘定になるらしい。だが、1世帯あたり部数は2000年が1.13部、2016年が0.78部と、まだまだメディアとしての力、影響力は計り知れないものがあるね、ほとんど世間様への影響力を持たない当方としては恐れいるしかない。

本書の著者の池上彰さんはテレビ出身とはいっても、ニュースキャスターも長年努め、読書術や新聞のスクラップや情報入手の方法など、「紙」ベースの情報収集にもとてつもなく見識のある人で、「新聞の読み方」なども様々な媒体で論じておられているのだが、そんな池上彰氏の「新聞愛」にあふれた著述が本書。

構成は

第1章 ニュース力を磨こう

第2章 数字力を磨こう

第3章 伝える力を磨こう

第4章 書く力を磨こう

第5章 想像・推理力を磨こう

第6章 見せる力を磨こう

第7章 発想・コミュニケーション力を磨こう

となっていて、筆者の朝日新聞の連載コラムをまとめたものである。なので、とりあげる範囲も新聞の活用術だけというわけではなく、「世の中が物騒になった、昔がよかった」という論調に対して、

凶悪事件は減っていても、「凶悪事件報道」は増えている(P76)

といった冷めた視点を提供したり

現場の臨場感を伝えることができない新聞記事は、優れたものとはいえません(P81)

と新聞記事批判を展開したかと思うと、最近、さるスキャンダルのせいか画面や紙面で見かけなくなった、女優の江角マキコさんの早世した「お父さん」と、家族を残して癌に倒れた「弟さん」についての記事を紹介(P120)して「ホロリ」とさせたりと、技は冴えているのである。

で、「うむ」と思わされたのは、新聞記者の資質に関しての

新聞記者に必要な資質、それは世の怒りをいち早く察し、切れ味するどい短文で表現する能力(P154)

であったり、「後期高齢者」という名称をめぐっての騒動に際して、同じく

記者の資質として大切な要素の一つは想像力。世の中の人は、どんな思い出暮らしているのか、何に怒っているのか、そんな気持ちへの想像力です(P165)

といったあたりで、ここらは、「新聞記者」だけでなく、「公」に携わる者が心に刻んでおかねばならないことであろうな、我が身を振り返ったのでありました。

新聞の読み方指南、新聞情報の活用指南というよりは、「新聞にまつわるエッセイ」といった感じで読んだほうが、すっきりする一冊でありますな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です