2017-05

ビジネス

現代の「貧困」のなんともやりきれない側面 — 鈴木大介「最貧困女子」(幻冬社新書)

不景気であるとか、動乱といった物事は、最終的には、世間で一番弱い者たちに及んで結末を迎えるのが常なのであるが、その「弱い者」たちとは往々にして、子供や女性であることが多いと思う。 本書は、雇用の確保が声高に言われていた時のものなので、今のよ...
グルメ

日本の食文化の重要要素として無視できない「チェーン店」という存在 — 村瀬秀信「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」(講談社文庫)

<br /> 当方の子どもたちがまだ、幼いころ、「外で御飯食べるぞ−」となると、行くのは決まって「チェーン店」であって、子どもたちも、テレビのCMにでてくる店で食事ができるということに大喜びしてしまうというのが、「辺境」に住まう家族の寂しい...
ビジネス

新自由主義・新帝国主義のもとでの日本的資本主義論 — 佐藤 優「資本主義の極意」(NHK出版新書)

階級論争や、資本主義・社会主義論は、当方が大学時代には、少し以前の話になっていたのだが、新自由主義やグローバリズムへの反省から、再びあちこちで論じられるようになている気がするのだが、さて「資本主義とは何」って聞かれると、浅学非才の当方には・...
ビジネス

「政策批判」ではあるが、移住政策の担当者は”心すべし”として読んでおくべきかな — 藤波 匠「人口減が地方を強くする」(日経プレミアムシリーズ)

日本創生会議の「増田レポート」が世に出て以降、地方公共団体の施策の一つの大トレンドが、「移住定住対策」「出生率向上対策」「婚活対策」といった「人口増施策」になっている。本書は、そうした猫も杓子も「人口増対策」に群がる状態に、横っちょから水を...
平松洋子

手練の「食エッセイ」をどうぞ — 平松洋子「夜中にジャムを煮る」(新潮文庫)

&lt;br /&gt;<br /><br /> 食エッセイというものは、得意不得意が当然あって、食べ歩き的なものが得意な筆者もおれば、手料理もの・自分ちの台所ものが得意な筆者もいるのだが、どちらも「良し」という...
トラベル

懐かしい味わいの「新婚アジア放浪記」 — 鈴木みそ「アジアを喰う」(双葉社)

日々の繰り返しの多い生活が続くと、なにかしら澱のようなものが溜まっててくるもので、活動的で身軽な人は、「えい、旅行でも行ってしまうか」といった気分転換が図るものなのかもしれないが、スケジュールが本当に立て込んでいたり、場所的な拘束の多い仕事...
ビジネス

ベンチャー企業こそ「働き方改革」は必要であるし、効果的であるかもしれない — 駒崎弘樹「働き方革命ーあなたが今日から日本を変える方法」(筑摩Books)

「働き方改革」という言葉が声高に言われれば言われるほど、その実態がよくわからなかくなっているような気がする。というのも、本来は、「Work」の形を考え直してみようという「ライフスタイルの変革」の問題としてとらえるべきものであったと思うのだが...
ビジネス

「お客様のために」ではなく、「お客様の立場で」の意味とは — 鈴木敏文「売る力ー心をつかむ仕事術」(文春新書)

その時代をリードする企業の経営トップの経営書というものは、どうしてもその時代のトレンドその企業の栄枯盛衰の影響を受けるものである。本の内容とは別に、様々な評価がくだされるので、手放しで褒めておけばよいというものではないらしく、さて今回はどう...
グルメ

たかがラーメン、されどラーメン — 武内伸・大泉孝之介「ラーメン人物伝 一杯の魂」(グループ・ゼロ)

ラーメンは、すでに国民食の域を脱して、「民族食」「日本文化食」のレベルに達していて、そうなると、それをつくる調理人も「料理人」「職人」として扱われるようになってきているのだが、有名店のラーメン職人たちの物語を紡いだのが本シリーズ。 収録は ...
ビジネス

「働き方改革」はWorkの根本課題に取り組めるか — 常見陽平「なぜ、残業はなくならないのか」(祥伝社新書)

過労死問題をきっかけに「働き方改革」が声高に主張されはじめているところで、管理者側、労働者側あるいは政府側から、様々に論じられている最中なのだが、感情論が混じってしまいがちで、熱っぽい議論ほど薄っぺらに感じてしまう。 そうした中にあって、ど...