”閉塞感漂う時代”の「ホリエモン」流生き方指南 — 堀江貴文「多動力」(幻冬社)

もともとは若い人向けの人生の羅針盤的な思いで書かれたものであるとは思うのだが、

当方のような、勤め人暮らしが長くなり、組織内の月旦や、組織内の人事序列が意識の中心になっている中高年世代でも、(自己評価は他者の評価の3割増しであるそうだから)高望みもあって、昇進も自分の思うようにはならず、うちしおれている時に、前へグイッと押し出すのが本書。

構成は

第1章 一つの仕事をコツコツやる時代は終わった

第2章 バカ真面目の洗脳を解け

第3章 サルのようにハマり、鳩のように飽きよ

第4章 「自分の時間」を取り戻そう

第5章 自分の分身に働かせる裏技

第6章 世界最速仕事術

第7章 最強メンタルの育て方

第8章 人生に目的なんていらない

となっていて、印象としては、ライブドア事件の服役後、「ゼロ」で一新したものが、ここに至って、新たな段階に移ったというところ。で、その方向性は、「かなりの速度で」「関係性を増やすこと」。それは、”人間関係”においてもであるし、”仕事”においてもであり、同時に「多くの関係性」をもつことでもある。

それは

もはや産業ごとの壁がすべて崩壊していくのだ。  そんな時代に、イチロー選手やカズさんのような才能をもたない人が、一つの仕事にとらわれてしまっていては、価値あるものは生み出せなくなっていくだろう。

というところでも明らかであろう。

さらに仕事のやり方、関係性の持ち方も

「全部自分でやらなきゃいけない症候群」にかかっている人が多すぎる。  自分の貴重な時間は、自分の強みが一番発揮できる仕事に集中させるべきだ。

時間をかければクオリティが上がる、真心をこめれば人に伝わるというのは、妄想にすぎない。  何百もの仕事を同時にこなすためには、「自分でやらないこと」を決めるのが大切だ。自分にしかできない仕事以外は、他人に思いっきり任せよう。

といった風に、「自分でやること」と「自分でやらないこと」の明確化が一つのキーであって、そのあたりは、最近聞く「やらないことリスト」の考えと共通するところでもある。

そして、「自分でやること」を決めたら、

自分の時間は「ワクワクすること」で埋め尽くすのだ。  僕もあなたも1日の持ち時間は同じ24時間。にもかかわらず、なぜ僕は好きなことばかりやっていられるのか。それは、自分がワクワク、ゾクゾクしないことは、すべて他人に任せてしまっているからだ

他人の目を気にするのをやめないと、「自分の時間」は生きられない

という感じで、1日24時間を埋め尽くし、

「自分の時間」を生きるためには、仕事を選ぶ側にならなくてはいけない。  食べていくためにやめることができないと追いこまれながらやっている仕事は、いつだってその仕事の発注主の都合に振り回されてしまう。 「嫌だと思ったらやめればいい」と割り切ったほうが自分の人生を生きることができる

といった「能動性」「自己決定性」を持つ、というフィールドを創り上げ、

生きている時間、この瞬間を楽しまず、ただ歯を食いしばって努力したところで、思うような成果なんて得られない。

今がすべてであり、「将来の夢」や「目標」なんて必要ない。 「想定の範囲外」の新しいプロジェクトが次から次へと頭に浮かび、毎日がおもしろくてたまらない。僕はそんな人生を送っていきたい。

人生にゴールや終着点なんてあってたまるか。

僕は今日、明日、あさってと、常に自分を捨てながら新しい自分に生まれ変わっていきたい。 「多動力」こそ、僕が僕であり続けるための最大の原動力

というところが肝要であるようで、老若男女を問わず、生き方の指針の一つとなるといっていい。前を見て、アグレッシブに動く。ふたたびの閉塞感が漂いつつ有る昨今、見直すべき生き方であるのかも。

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