茶人大名、小田原でさらに脱皮する — 山田芳裕「へうげもの 五服」(講談社文庫)

さて、本日は続いて「へうげもの 文庫版」の第五巻をレビュー。

年代は1588年1月~1590年5月

歴史的なエポックは、小田原の北条攻め。

先立って、あの山上宗二が北条氏に厄介になり彼の居場所を発見するのだが、これが彼の悲劇的な死の発端になるのだから、人生というものはわからない。辛口の評論家として比叡山にいたり、諸国を放浪して悪態をついていたほうが、ひょっとすると命は伸びたのであろう。

そして、このあたりから石田三成がいろんな案件の、プランナー、仕掛け人としてやたらあちこちに登場してくる。例えば、千利休の茶頭筆頭からの追い落としであるとか、山上宗二殺しなどなどで、のぺっとした顔立ちに、能吏ばりばりのいけ好かなさで、「やな野郎」感がよくでてますな。

また、「のぼうの城」で有名な、忍城攻めの三成の失敗の場面も描かれているのだが、彼の「企画好き」の「現場嫌い」の様子が少し悪意を込めて描かれていると思うのは、当方の勘違いないしは錯覚であろうか。

さらに、これはご当地の読者には顰蹙買うかもしれないが、伊達政宗の天下統一を夢見る、「夜郎自大」さが強調されていて、筆者は政宗ちゃかしも極まれり、である。

まあ、歴史事実のほどは別として、一風変わった戦国ものコモックとして、脂がのってきておりますな。

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