”PR”の真髄とは? — 殿村美樹「ブームをつくる ー 人がみずから動く仕組み」(集英社新書)

当方のような公的セクターの勤め人は、以前は謹厳実直が基本であったのだが、最近は観光の売り込みなどなど、不慣れなことをやる部分は当然増えているわけで、その時に、こうした”PR”についての手引書は結構ありがたいもの。
ただ、構成の
第1章 人が自ら動くーPRにおける「ムーブメント思考」とは何か
第2章 個人の単位から社会的な動きへ
第3章 クライアントを納得させるプレゼン術
第4章 メディアを動かす
第5章 狙いどおりに永続的に動かす
を見てもわかるように、いわゆる広告やPRのノウハウ本というわけではなくて、PRに関する”思想本”という位置づけてとらえるべきであろう。
そのあたりは「PR業務」は
商品の存在を人に伝え、価値を理解してもらいだけでなく、商品を知った人に何らかの行動を起こしてもらう。それも出来る限り長くその行動を続けてもらう
PR活動を通じて「ひとつの文化」をつくりあげていく(P9)
といった出だしのところや
PRの専門家がもっていなければならないのは、奇抜なアイデアを生む独創性ではなく、「みんなが何を求めているか」を正確に把握するための庶民感覚(P104)
といったところでも明らかであろう。
もっとも、PRに関する本として、
現在の日本社会が1億人のスケールだとすれば200万人に伝えることができれば、そこから先は拡散されることで生命をもったかのように情報そのものがPRを新たな次元へ導いてくれる(P52)
の「限界点」は2%の原則とか
遷宮のように特別な価値をもった行事であっても、それだけで集客力を持つわけではなく、メディアを通じた”露出”(P177)
が重要といったところは素人がPR業務を行う上での貴重な道標になる。
というのも、公的セクターのPRは観光的なことであっても、一発的に集客して、あとは野となれ、は一番慎むべきことと思われて、
「永続性を生むPR」では予算的にも短期集中ではなく、継続できる範囲の予算を確保し続けることで成果を出していけるようにプランニングの段階から考えていくことが必要
といった気構えがなによりも大切なんであろう。
なんにせよ、このご時勢、ほとんどの仕事が”PR”とは切っても切れない仲となっている。苦手意識をもったり、敷居高く考えずに
かつては大都市からマスメディアを通じて発信されたトレンドに地方が追随するというケースが多く見られました。
しかし、インターネットが普及した現在はそうではありません。
インターネットの世界には、中央も、地方も、上も下もないのです。いま、文化を発信する力を持っているのは、大都市ではなく地方だといったいいでしょう
という気概で、意気高くいきますか。

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