2017-11

仕事術

「ミス」は続くよ、どこまで、といってもいられないあなたへの処方箋 — 中田亨「事務ミス」をなめるな (光文社新書)

ミスや意図しない手抜きといったことが組織の命運や行く末を左右することが多くなったご時勢である。しかも、「ちょっとしたこと」というのが、以前に比べて比較にならないほど影響力を持っているように思える。 そんな時代にあって、「ミス」が起きる原因、...
和田はつ子

幕末の落語家の周辺で起きる事件の数々 — 和田はつ子「円朝なぞ解きばなし」(時代小説文庫)

料理人季蔵シリーズとは同じ作者の噺家の三遊亭円朝を主人公にした推理譚。今回の主人公は岡っ引きでもなく、裏稼業をしているわけでもないので、日々の暮らしの周辺で起きる事件なのだが、物語が進行するにつれ、有名な盗賊が絡んでくるのが捕物譚の所以。 ...
和田はつ子

長次郎が残した幻の料理は復活できるか? — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 おとぎ菓子」(時代小説文庫)

シリーズもの、特に書き下ろしものは、一冊一冊の趣向が決め手になるものなのだが、今回の7巻目は、季蔵の師匠の長次郎が残した料理帖に記された謎の料理を復元していくのが、今回の工夫。   収録は   「春卵」 「鰯の子」 「あけぼの薬膳」 「おと...
和田はつ子

大きすぎる「幸運」はでんぐり返ると、とんでもない「不幸」になる — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 時そば」(時代小説文庫)

シリーズものは登場人物や設定が落ち着いてくると、ちょっと変わり種が忍び込まさされるものなのだが、この6巻目がそれに相当するのかもしれない。   収録は   「目黒のさんま」 「まんじゅう怖い」 「蛸芝居」 「時そば」   の四話。大筋は、元...
佐々木裕一

若者武士の伸びやかな話が始まったね — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 狐のちょうちん」(二見時代小説文庫)

時代小説やミステリーのような小説は、設定の奇抜さ、斬新さで目をひくことも大事である気がしていて、独自性のある設定が誕生すると、それだけで数話は走らせても十分楽しめるものであろう。 本書は、徳川家光の正室・鷹司孝子の弟で、公家の婿になったり、...
仕事術

慢心を捨てた先に光明がある、ということかな — 畑村洋太郎「技術大国幻想の終わり」(講談社現代新書)

日本の「ものづくり」の力が落ち込んでいくにつれて、「日本、実はスゴイ」「日本、やっぱりエライ」といった番組や主張が増えてきた。最近になって、こうした主張へのアンチテーゼの言説が出てきているのだが、今度は、「日本はやっぱりダメ」的なところへ大...
和田はつ子

大店や武家の中には「事件」が隠されている、ってなことか — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 旅うなぎ」(時代小説文庫)

江戸市中で居酒屋「塩梅屋」の跡を継いだ元武士の季蔵(としぞう)の捕物シリーズも5冊目となった。   収録は 「想い筍」 「早水無月」 「鯛供養」 「旅うなぎ」 の4話で、江戸の闇を支配する巨悪のどうこうとかは今回は登場しないものの、闇の中に...
和田はつ子

市井の事件の背後に、実は大きな闇が隠れている — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控え お宝食積」(時代小説文庫)

「料理人季蔵」シリーズも4冊目。登場人物や設定は大きな変更もなく、しばらくは、季蔵が塩梅屋で料理人を勤めながら、前の主人の裏稼業を継ぐかどうかを逡巡しながらも、徐々に悪を封じる役目を果たしていくといった展開。   収録は 「お宝食積」 「も...
和田はつ子

周りの闇が晴れつつも、事件は続く — 和田はつ子「あおば鰹」(時代小説文庫)

シリーズも三作目となると登場人物や設定も落ち着いてくるもので、本作ものその例洩れない。塩梅屋の新しい料理人となった季蔵、おき玖、弟分の豪介、三吉、北町奉行の烏谷、店の常連の喜平、辰吉、勝二といった面々が、それぞれ自分で動き出し始める頃であろ...
和田はつ子

江戸の「片隅」の物悲しい事件の数々 — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 悲桜餅」(時代小説文庫)

先代の不慮の死をきっかけに、居酒屋の「塩梅屋」を継ぐことになった、元武家の料理人・季蔵シリーズの第2弾。一冊目で、季蔵が武士を捨てるきっかけになった、主家の2代目に仇をうち、元許嫁を救出したのだが、旧主の因縁は四方八方につながっているらしく...