江戸の「片隅」の物悲しい事件の数々 — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 悲桜餅」(時代小説文庫)

先代の不慮の死をきっかけに、居酒屋の「塩梅屋」を継ぐことになった、元武家の料理人・季蔵シリーズの第2弾。一冊目で、季蔵が武士を捨てるきっかけになった、主家の2代目に仇をうち、元許嫁を救出したのだが、旧主の因縁は四方八方につながっているらしく、この巻でもその害毒から生み出される事件を解いていく筋立て。
 
収録は
「椋鳥飯」
「焼きみかん」
「悲桜餅」
「蜜紅」
の四つ。
 
まず、「椋鳥飯」は、塩梅屋の旧主の長次郎の残した日記に記された「椋鳥飯」という料理の謎を解く話。「椋鳥」といえば、江戸時代に出稼ぎにきていた人々の蔑称でもあるのだが、果たしてそれに関係するのかどうか・・・。長次郎のし残した仕事を、季蔵が果たす話。
 
「焼きみかん」は、第1巻で成敗された鷲尾影守と関係のあった者が引き続き流している害毒と最後には結びつく話。事件自体は、呉服屋や薬屋で頻繁に起こる万引事件に隠された謎ではあるのだが、犯罪に巻き込まれて入るが、切れない「親子の情」といったことがテーマかな。
 
「悲桜餅」は桜餅にまつわる毒殺未遂事件。季蔵の元許嫁の瑠璃が命を狙われれるという事件なのだが、実は、その影に、鷲尾家の影守が死んだことが遠因となっていっらしく、勧善懲悪は二つの面をもっているのか、と嘆息。
 
最後の「蜜紅」は、これも旧主に関係する悪党が起こした事件の後日譚とその解決。「蜜紅」というのは、蜜が入った口紅のことであるのだが、もっと美しくなりたいという女性の心につけ込む犯罪は、いつの時代もけしからんものではある。
 
さて、第1巻で、過去を精算し、新たな人生の展開かな、と思わせた季蔵ではあるが、どうやら、まだ昔の因縁とその始末にふりまわされている。とはいっても、国家転覆といった昔ながらの時代小説にありがちのお家騒動はでてこず、市井の小さな謎の解決といったところが主。
まあ、そういうところが身近に思えるのも現代風の時代小説の良さもあるのだが、これからどう展開していくのでありましょうか。
 

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