タスク管理への「救急医療」概念の導入 — 裴英洙「トリアージ仕事術」(ダイヤモンド社)

仕事をしていく上で、一番重要ではあるが、なかなか思うようにいかないのが「タスク管理」であろう。そうした「タスク管理」の手法に救急医療の概念でもある「トリアージ」という考えを持ち込んだのが本書の特徴。
 
構成は
 
序章 忙殺&プレッシャーの毎日から解放される 3つの原則
1章 仕事はトリアージで動く
2章 自分のパフォーマンスを最大化する
3章 とにかく「ばらつき」をなくせ
4章 体・コンディションの整え方
5章 人のパフォーマンスも上げてしまおう。
 
で、本書によれば、
 
「トリアージは優先づけの技術」(P22)で「トリアージとは、今、あなたがすべきことを見出し、たくさん抱えているタスクに優先順位をつけて、限られた資源を効率的に配分すること」(P26)
 
であるそうなのだが、この辺りは、通常の「タスク管理」でよく言われていることと変わらないのだが
 
トリアージの基本は、まず現状の資源で対応可能かどうか、からスタートする(P24)
 
どう逆立ちしても対処できない問題は、当面の間、優先順位から外す(P25)
 
といったあたり当面できないことも「タスク」として整理してしまい、後で混乱する
 
ただ惜しむらくは
 
優先順位のつけ方ーヒト・モノ・カネ・タイムの基準。これら4項目でそれぞれ点数をつける(P32)
 
限られた時間内でクライアントの求める最大限のパフォーマンスを挙げるためには、「ここまでは自分でできる」「ここから先は自分ではできない」と勇気を持って因数分解することが必要(P47)
 
といった感じで、「トリアージ」の具体的手法への言及はちょっと踏み込み不足であるように感じられるあたり。
 
ただまあ、「手抜き3原則}、「緊張を消す方法」とか「情報の捨て方5ケ条」といった小技は結構参考になるし、タスク管理の方法論ではないにせよ、ミスが起こりやすい状況の分析で出て来る「ボスには逆らうな」症候群、「我々はスーパーチームだ」症候群、「お見合い」症候群、「社会的手抜き」症候群は、ふむふむと頷けることが多い。
 
これ一冊で、タスク管理と仕事の管理が全て解決、といった類のものではないが、サイドメニュー本として、読んでおいてもよいですね
 

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