念願の千石超えまで、あと少し — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 5 千石の夢」(二見時代文庫)

加増を重ねて、松姫と同居できる千石にはあと三百石届かない。さて、最後のハードルを、どうクリアするかな、というところが、この第5巻
 
構成は
 
第一話 桜の花びら
第二話 千石の夢
第三話 妖しき女
第四話 盗賊
 
となっていて、今巻では、京都へ父親の病気見舞へ行くのだが、出発の時から、信平が都に行ったところで、京に留め置かれて、鷹司松平家はお取り潰しという噂が流れてくるので、どうも、信平に対しての嫉妬の渦が巻いているらしいね、と思わせる滑り出し。
 
第一話は、信平に会うために屋敷を抜け出す松姫の行動を制するため、父親の頼宣があれこれと(悪)知恵を絞る話。ここで、父親の病気見舞のために京都へ行く話が出てくるのだが、そのへんが妙に絡まって、なんとも話が複雑になる。
 
第二話は、見舞いのための江戸立ちまでと、京に着いて父親を見舞うといったところ。旅立ち間際の松姫との逢引が初々しい。幸いに父親の病気は、幸いなことにすぐさま命にかかわる状態ではなく、しかも、官位のほかに加増をされて晴れて・・・、となる。この話は、次の話での急転直下も知らずのめでたしめでたしまで。
 
第三話で突然の危機がやってくる。意外に生臭な剣の旧師に再会したのはいいのだが、昔のいじめっ子の囲い者である佐間一族という山の衆の女の操る幻術にかかって、あやうく命を落としそうになる。
 
第四話では、千石を超えて知行地を与えられることになるのだが、そこは盗賊の巣窟で、年貢が千石に見合う年貢が得られない地であるらしい。知行が千石を超えても実入りの少ないうちは、姫を添わすわけにはいかないと、紀伊大納言が横槍を入れる中、盗賊退治に乗り出す話。そして、本当の盗賊が誰か。本編を読んでくださいな。
 
巻も5つを重ねて、晴れて紀伊大納言の姫君・松姫と正式に結婚するお膳立ては整ったのだが、はてさて素直にそうなりますかどうか。

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