江戸は大火事に見舞われるが、信平が男気を示して声望を高めるのであった — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 6 妖し火」(二見時代小説文庫)

明暦三年のいわゆる振り袖火事が舞台。折角、松姫との新婚生活に備えて建てた新居も焼失。もっとも江戸城の天守も焼け、御三家の屋敷も焼け、江戸市中が大焼けに焼けた大火であるから致し方ないか。
 
構成は
 
第一話 妖し火
第二話 狙われた四千両
第三話 材木騒動
第四話 記憶
 
となっていて、今回は、振り袖火事で焼け出されてから、江戸市中が復興に向かって動き始め、そして、信平が紀州家の上屋敷のそばに屋敷地を拝領するといったのが大筋ではあるんだが、お決まりの、信平に妙な意地悪を仕掛けるヤツ(今回は作事奉行)は出て来るし、信平は、幕府の考えは放っといて、自分の屋敷の建て替えに幕府から提供された資金を出して、庶民が住む長屋を造るといったことを始めるし、とまあ、物語はてんやわんやではあるが、明るく進んでいくのが、このシリーズの良さでありますな。
 
途中、松姫の怪我の具合がぼかしてあって、さてはかなりの重症かと思わせるのだが、まあ、ここは安心してよいところ。このシリーズは後をひくようなエピソードは似合わないですよね。
 
まあ、今回は、江戸を襲った未曾有の災害をネタに儲けようとする材木問屋などが登場するにせよ、あまり悩まずにわはわは読んでいけば良い。
 
もうすぐ、信平と松姫と新婚生活が始まるのですね、と慶賀の念をお示しして、今回は了としましょうか

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