円滑な人間関係のコツは「タイプ別」に異なる対応をすることにあり — 坪田信貴「人間は9タイプー仕事と対人関係がはかどる人間説明書」(アスキー・メディアワークス)

「学生ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」、通称「ビリギャル」の著者による、人の性格・性向のタイプ別分析と生かし方の本。

「人間は9タイプ 子供とあなたの伸ばし方説明書」と違って、今回は「仕事編」。

人をいくつかのカテゴリーに分けてその性格やら特徴やらを考えるのは古来より人の大好物で、「星座」や「血液型」に始まって、多種に及ぶのだが、本書のような心理分析に基づくものがまあ、一番使用できるというもの。(もっとも、当方の感覚では、血液型の性格分析は結構、自分や家族に当てはまっているので妙に信用はしていますが・・・)

構成は

序章 タイプ別で仕事の”悩み”が消える

第一章 タイプ別・取扱説明書

第二章 ”働く”ことにまつわる苦痛の解消法

となっているのだが、多くの方が本書を買おうという動機になるのは、タイプ別の判定とその性向。特徴のところであろう。

まず第一章で、タイプ別の判定。本書の同封されている90項目の質問に◎(とてもあてはまる)、◯(あてはまる)、(あてはまらない)で回答して、タイプ別の得点で、どれにあてはまるかを見極める。

そして、本書で提案される9タイプ、「完璧主義者タイプ」「献身家タイプ」「「達成者タイプ」「芸術家タイプ」「研究者タイプ」「堅実家タイプ」「楽天家タイプ」「統率者タイプ」「調停者タイプ」なのだが、まあ、そのタイトルで、おおよそそのタイプの特徴は想像ができるよね。

本書では、第一章では、タイプ別の「プラス面とマイナス面」、「向かない行動」、「そのタイプが上司・部下・同僚の場合の対応方法」、「タイプの異性に好かれるには」、といった定番のものに加えて、自分の取扱説明と恋愛体質のアドバイスがされ、第二章では、タイプ別の「おすすめの職種や職業」が提案されるのだが、あわせてタイプ別「転職&起業のアドバイス」があるのは、今の世情を反映している。

ただ、本書の「良いな」と思うのは、タイプ別の様々な診断やアドバイスの合間合間に

「自分のためではなく、他人のために尽くし、何らかの価値を提供できる人」こそが「成功し、幸せになりやすい」

「働くこと」とは「社会の課題を解決し、多くのファンをつくること」

といった、筆者のコメントや職業感がはさまれているのが、単なる「星占い本」のような「タイプ別診断」と一線を画すところ。

筆者のこの本の執筆動機は

各々のタイプの人間にはそれぞれ違った役割があります。各タイプが補い合い、お互いに助け合ってうまく運ぶようになります。

なのに、世の親御さんも教師も、会社の上司も先輩も、ご自身の中の不安心理から、”良かれと思って”概して「各タイプの弱点」にばかり目がいきがちになっています。「各タイプに足りないところ」ばかりを指摘しがちになっています。

それでは、人材は育ちません。むしろ、脱落者をどんどん生み出しかねないのです。

というところにあるように見受ける。予備校で、成績もやる気も家庭環境も様々に違う生徒に直接接してきた経験やベンチャー起業で多士済済の社員に接してきた経験が随所に紹介されていて、エッジのたった、「人間分析」の本でありますな。

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