起業を企む人への読みやすい山登り地図 — 山口豪志「0 to 100 会社を育てる戦略地図」(ポプラ社)

筆者は、クックパッドを経て、現在は経営コンサルタント+個人投資家という経歴。そういう筆者が、「今の私にできるのは、みなさんが私のような回り道をしなくてもいいように、サポートすることです。」といった動機からから執筆されたのが本書のよう。
 
構成は
 
プロローグ 6つの成長段階(フェイズ)を知る
(→0)起業前夜
(0→1)顧客の発見
(1→10)商品の完成
(10→30)採用と組織づくり
(30→50)新規事業開発
(50→100)上場に向けて
 
となっていて、他の「起業」煽るビジネス本とちょっと違うなと思ったのは、例えば「採用」という案件でも、事業のフレーズにしたがって、草創期の
 
このフェイズで「多様性」のことは考えなくても大丈夫。むしろ、会社の基盤を強化することが最優先なのだ、下手に多様な人材を入れてカラーが減り、組織がバラバラになるほうがリスクです(P157)
 
全体が一丸になって会社の成長を押し上げられるように、「多様性」よりも「均一性」を優先するのです(P158)
 
といった段階から、事業が軌道に乗り安定した後の次の「拡張期」のフレーズでは
 
気をつけたいのは、起業家精神あふれる人ばかりを採りすぎないこと、なぜなら、大切なのはあくまで「人材が多様であること」なのですから(P197)
 
ビジネスの環境は数年で(あるいはもっと早く)変わるから、安定が約束された事業などありません。今が「拡大成長期」で余裕があるからこそ、リスクをとって挑戦し、「次の成長の起爆剤」を仕込むべきなのです(P200)
 
といったように、段階に応じたアドバイスがされていること。
 
事業を起こし、事業を走らせている方々は、そういうことに気を振り向けている余裕はないかもしれないが、ちょいと落ちついた時の振り返りに役立ててもいいのだが、やはり、「(→0)起業前夜」のあたりで
 
(起業の)前段階で創業者たちが想いとアイデアを練り上げ、周囲の共感を獲得するという、泥臭いまでの構想期間がある(P34)
 
強い想いをもつこと。それが起業の大前提(P40)
 
といったことから始まるように、これから起業を考えている人の手引書、道案内として考えておくのがよいでしょうね。
 

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