カテゴリー別アーカイブ: ビジネス本

「瞳ちゃん、頑張れ」と言いたくなるWebマーケッティングのビジネスマンガ — 「マンガ版 Webマーケッター瞳 シーズン1〜4」(インプレス)

「三立 瞳」という元気な女性を主人公にした、ジャンルはWebマーケットの成り上がり系ビジネスマンガ。

シーズン1は「瞳」が「ネットデイズ」というコンサルタントのコンサルとして、無理解なクライアントとバトルを繰り広げながら理解を得、Webマーケッターとしての知識や、ノウハウを学んで、ほぼほぼ一人前になるところまで。

シーズン2、講演会でのクライアント寄りの姿勢を評価されて、大手生活消費財メーカー「桜花」へのヘッドハンティング。そこで、足で稼ぐ外回りしか信用しない営業部の「おじさん」たちやリアル店舗を味方につけながら、Webマーケティングの手法で人気商品の売り上げでトップ企業も抜いて大功績をあげるまで。

シーズン3は、この功績を評価したのか妬まれたのか、誰がやってもうまくいかない「お荷物部署」の「サプリ事業部」を任され、会社の部員のリストラ要求を跳ね返して花形部署に持ち上げるまで

シーズン4は、桜花を退職し、独立してWebマーケティングのコンサルタントを立ち上げた「瞳」が、地方のコンビニチェーンのWeb担当となった初心者社員をサポートして、Webを使って、コンビニチェーンの売り上げを伸ばし、人気コンビニチェーンへ押し上げる

といったのがそれぞれの大まかな筋立てで、

シーズン2の「FAQのPVが増えていることは、お客が望んでいる情報にたどり着けていない可能性が高い」や「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」

とか

シーズン4の「Web担当者はまず会社やフランチャイズのみんなに認めてもらうことを目指す」や「ユーザー中心設計(UCD)」、「O2O」

といったこのジャンルの専門ワードもあちこちにはでてくるのだが、専門書とは違い、そう多くの解説はない。むしろ、「瞳」の元気溢れる活躍をワハワハと読みながら、Webマーケティングってのは、こんなやり方するんだ、と入り口部分の初歩のところをおさえておくといった感じがよいと思う。Kindle Unlimitedでの提供もされているので、会員の人はそっちでもどうぞ。

いわゆる「ギョーカイ」のタコツボ化を壊せるか — 山口啓一「10人に小さな発見を与えれば1000万人が動き出す」(ローソンHMWエンタテイメント)

筆者は音楽プロデュースを中心に、様々な分野のエンターテインメント分野のプロデュースにも関わっているのだが、音楽を含め、いわゆる「ギョーカイ」化して、蛸壺的な様相を示している分野について、乱暴なところもあるが、その蛸壺を壊す処方箋を提案してみるのが本書。
 
構成は
 
PROLOGUE 時代を換える3つのポイントを知ろう
CHAPTER1 音楽は「ストリーミング」で聴く時代
CHAPTER2 変わるテレビ、変わらないテレビ
CHAPTER3 「コネクテッドカー」から「ロボットカー」へ
CHAPTER4 電子書籍は出版業界を再定義するか
CHAPTER5 ニュースと新聞の行方
CHAPTER6 ウェアラブルデバイスとIoTの衝撃
CHAPTER7 非オタクのためのUGM入門
SUPPLEMENT コンテンツの価値を多様にとらえよう
EPILOGUE 時代を予見する力を持とう
 
となっていて、とりあげられる「ギョーカイ」は、音楽、テレビ、車、出版、報道、と「花形」としてとりあげられることの多かった世界である。
 
本書では、今風の手法として
 
「グロースハック」とは、仮設を立て、結果を計測、検証し、その結果をプロダクトやサービスにフィードバックするという作業を、短期間で頻繁に繰り返すという方法のことです。
ユーザーがすべてを決める時代ですし、そのユーザーの意思が、可視化されている時代なので、事業者側が一方的に長期にわたる精密なプランを立てても、ほとんどその通りにはなりません。サービスの基本形ができたら、まずはユーザーに提示してみて、反応をみながらサービスの変更、調整を繰り返していく、このグロースハッカー的なやり方が、もっとも効果的といわれています。(P26)
 
が採用されているようで、それは、「車ギョーカイ」では
 
コネクテッドカー(自動車がインターネットに常時接続する)に進化することによって、従来のカーナビ+カーステレオという社内サービスがより高度化します。(P110)
 
コネクテッド・カーは、すぐその先のロボットカーによって再定義されるのです(P117)
 
ロボットカーが一般化すると、自動車の中は、エンターテインメント・シアターになるでしょう。(P120)
 
であったり、「出版ギョーカイ」では
 
これまでは”仕方なく”書物であった本は、デジタル化するときに、紙の書物を単純に電子化した「電子書籍」という携帯である必要はありません(P140)
 
電子書籍の議論をする際に、忘れてはいけないのは、出版業は、その国の母国語を基本にしたビジネスだということです(P145)
 
といった感じで、少し変わった切り口が提案されてくるのが斬新である。
 
で、当方的にこうした提案を面白がりつつも、「おっ」と唸らされたのは
 
音楽プロデューサーも、映画プロデューサーも、エンターテインメント作品をプロデュースするときは、みんなヒットして高い収益を上げること、誰かの人生に大きな影響を及ぼすような作品にすること、歴史に残る名作になることなど、レイヤーもベクトルも違った目標をあわせ持つものです。この矛盾しがちな異なる欲望を同居させられる器の大きさが、プロデューサーには必要だと僕は思っています。
文化やアートは、市場経済より何十倍の長い歴史を持っています。コンテンツを四半期の収益性だけで判断する人は、コンテンツの神様に愛されることはないよ、と強くいっておきたいです(P231)
 
というところで、この辺で、筆者のコンテンツを創っていくクリエイターの「心意気」を感じてしまいましたな。
才気溢れる音楽プロデューサーの斬新な提案を愉しみつつ、「コンテンツ」を創造する人の凛とした精神性を感じさせる本でしたな。
 

「名門の凋落」に、組織の衰亡の原理を見いだせるか? — 立石康則「さよなら、僕のソニー」(文春新書)

話の大筋は、日本の「高性能・高機能・高品質」の代表であったソニーが、その頂点から、出井社長、ストリンガー社長と経て、凋落していく様子の物語である。構成は
 
第一章 僕らのソニー
第二章 ソニー神話の崩壊
第三章 「ソニーらしい」商品
第四章 「技術のソニー」とテレビ凋落
第五章 ホワッツ・ソニー
第六章 黒船来襲
第七章 ストリンガー独裁
最終章 さよなら!僕らのソニー
 
となっていて、ソニーを愛してやまなかった筆者が、半分、恨み節も込めながら綴ったのが本書ではあるのだが、一つの企業体であるソニーの凋落物語にとどまらず、一世を風靡した組織が、なぜ下り坂を迎え、転がるように落ちていったのか、といった「組織の衰亡」の物語として読むのも”あり”と思う。
 
その衰亡の原因は、人によっていろいろ解釈があって、本書のいう
 
残念に思ったのは、その当時のソニー全体を覆っていた雰囲気に負けたのではないかということである。
ソニーという会社の本質は、過去の成功体験や教訓に「解」を求めないことになると思っている。つねに、未来に、自分の目で見つめる未来の中に「解」を求めてきた会社であると思っている。(P101)
 
というように、「創業の精神」やというものが失われていったことや
 
「ソニーの顔」となるトップ(井深、盛田、大賀)は、具体的なソニーらしい製品の開発・ヒット商品と結びついて一般消費者に理解されている
それに対し、出井氏、中鉢氏、ストリンガー氏の三人には、そのような商品は存在しない(P148)
 
というように、キラーコンテンツが生み出されなかった、あるいは生み出そうとしなかった、ということも正しいと思う。
 
とはいいながら、ここで当方なり違ったか解釈をするとすれば、凋落の原因となったトップが目指した「変化」が、その組織のDNAに合わなかったのでは、という解釈もできるのではないか、と思う。つまりは。ソニーのような「ものづくり」のDNAを根幹においている企業は、金融とかエンターテインメントとかの「ことづくり」を目指すことは、組織の転換をもたらすのではなく「自壊」、すなわち
 
(リーマンショックで16000人の人員削減を発表した際に本社の広報の女性管理職は)
「いえ(本社の社員には)動揺なんてありません。人員削減といっても工場などほとんど製造現場が対象ですから、本社には関係ありません」(P126)
 
といった「組織の分解」を産んでしまったのであろう。
もちろん、その変化を噛み砕いて、組織自体が上手く変身していけるところ(花王と3Mとかがそうかな)もあるのだが、ソニーのように、ある分野で秀でてしまった組織は、他の分野に転身しようとすると、組織のあちこちの細胞が「癌化」して、自らを食い荒らしてしまうといった現象が生じてしまう、そして、適合するかどうかは、その時に社員の多くが、その変化に頷くかどうかであるのかな、ということを本書の
 
「抽象的な」話ばかりなので、それが現場でどう理解され、日常の業務にどのように活かされているのかを知りたくて取材するのだが、現場の社員からは「諦め」と「戸惑い」しか返ってこなかった(P187)
 
といったあたりに感じてしまう。
 
本書は、大賀氏の死去の所で終わるのだが、その後、ストリンガー氏の退陣、平井社長の誕生、そして業績回復に兆しが見えた所での吉田社長へのバトンタッチ、とソニーの経営陣もその後、変化している。この中に、組織の凋落、そして復活といった普遍原理をどう見出すか、難問でありますな。
 

起業を企む人への読みやすい山登り地図 — 山口豪志「0 to 100 会社を育てる戦略地図」(ポプラ社)

筆者は、クックパッドを経て、現在は経営コンサルタント+個人投資家という経歴。そういう筆者が、「今の私にできるのは、みなさんが私のような回り道をしなくてもいいように、サポートすることです。」といった動機からから執筆されたのが本書のよう。
 
構成は
 
プロローグ 6つの成長段階(フェイズ)を知る
(→0)起業前夜
(0→1)顧客の発見
(1→10)商品の完成
(10→30)採用と組織づくり
(30→50)新規事業開発
(50→100)上場に向けて
 
となっていて、他の「起業」煽るビジネス本とちょっと違うなと思ったのは、例えば「採用」という案件でも、事業のフレーズにしたがって、草創期の
 
このフェイズで「多様性」のことは考えなくても大丈夫。むしろ、会社の基盤を強化することが最優先なのだ、下手に多様な人材を入れてカラーが減り、組織がバラバラになるほうがリスクです(P157)
 
全体が一丸になって会社の成長を押し上げられるように、「多様性」よりも「均一性」を優先するのです(P158)
 
といった段階から、事業が軌道に乗り安定した後の次の「拡張期」のフレーズでは
 
気をつけたいのは、起業家精神あふれる人ばかりを採りすぎないこと、なぜなら、大切なのはあくまで「人材が多様であること」なのですから(P197)
 
ビジネスの環境は数年で(あるいはもっと早く)変わるから、安定が約束された事業などありません。今が「拡大成長期」で余裕があるからこそ、リスクをとって挑戦し、「次の成長の起爆剤」を仕込むべきなのです(P200)
 
といったように、段階に応じたアドバイスがされていること。
 
事業を起こし、事業を走らせている方々は、そういうことに気を振り向けている余裕はないかもしれないが、ちょいと落ちついた時の振り返りに役立ててもいいのだが、やはり、「(→0)起業前夜」のあたりで
 
(起業の)前段階で創業者たちが想いとアイデアを練り上げ、周囲の共感を獲得するという、泥臭いまでの構想期間がある(P34)
 
強い想いをもつこと。それが起業の大前提(P40)
 
といったことから始まるように、これから起業を考えている人の手引書、道案内として考えておくのがよいでしょうね。
 

『会社は自分の乗る「舟」の一つ』と割り切ったら「会社人間」も気が軽くなる — 江上 剛「会社という病」(講談社+α文庫)

当方も昔ながらの「会社人間」、悪口で言うと「社畜」の部類なのだが、定年が近くなると、出世の限界も見えてくるし、それにあわせて、「会社」への精神的な立ち位置も、少々「醒めて」きている。
そんな気分の時に、自分と会社の関係を、ちょっと俯瞰した、斜め目線で考えさせてくれるのが本書。
 
構成は
 
会社は病んでいる
1 人事という病ーそんなに偉いか東大卒
2 出世という病ー昇進が常に幸せとは限らない
3 派閥という病ー持病として付き合うしかない
4 上司という病ーバカ上司からは逃げろ。または大声で戦え
5 左遷という病ー不本意な移動から開ける運もある
6 会議という病ーこの世の会議の9割はムダである(たぶん)
7 残業という病ーそれは上司の無能のバロメーター
8 現場無視という病ーニセモノの「現場重視」に要注意
9 就活という病ー諸悪の根源は「新卒優先」
10 定年という病ー経営者にこそ厳格な定年制を
11 広報不在という病ー「真の仕事」をするほど上から嫌われる役回り
12 成果主義という病ー結局は経営者の哲学が有るか無いかだ
13 根回しという病ー一見、不毛なようでいて意外な利点も 
14 社長という病ー会社を生かすも殺すもこの人次第
15 部課長という病ー出生ではなく仕事と向き合えるかが勝負
16 ハラスメントという病
   ー自省するしか対策のない「完全なビョーキ」
17 取締役という病ー社長に異論を言えないような役員は失格だ
18 同期という病ー時には同志、時には憎い敵
19 創業者という病ーすべてを失う覚悟もなしに起業するな
20 先輩という病ー地位が逆転する時に歪みが起こる
21 営業という病
   ーこんなにクリエイティブな仕事はない(でも評価は低い)
22 経営企画という病
   ーこの時代、本当に「経営を企画」なんてできるのか?
23 査定という病ー会社を「人件費削減病」に陥れる元凶だ
24 数字という病
   ー数字を過信するものは、いつか数字に騙される
25 給料という病ー永遠に解決されることのない「適正金額」
26 新規事業という病ー多角経営は日本企業に向いているのか
27 ボーナスという病ー短期的な利益だけで支給額を決めるな
28 経理という病ー経理部は会社の実態を正確に映す鏡
29 計画値という病
   ー作りっぱなしでPDCAを回せない日本企業の悪習
 
となっていて、かなりのボリュームの目次なのだが、1項目は4ページから6ページぐらいの量であるし、それぞれの項目が独立しているので、興味のあるところを拾い読みしても良い造りになっている。
 
当方的に気になったところをピックアップすると、「出世」についての
 
人生を棒に振るぐらいなら、出世なんかしなくてもいいじゃないか。出世のために必要な不正も、不公平な人事で出世板東大卒にまかせておけばいい。(P23)
 
人事は不公平、出世も不公平。それでいいじゃないか。
会社は一時的な舟、人生は舟を降りてからも十分に長い。会社にいるうちに自分の人生を充実させることを考え、準備しておこう。会社を活用して人生を豊かにすればいいのだ。(P24)
 
であったり、「左遷」についての
 
私の好きな言葉に「人事に左遷なし」というものがある。・・・「人間(じんかん)到るところに青山あり」(P62)
 
考えてみれば、この二つの左遷が「作家・江上剛」を作ったともいえる。私はこの左遷を通じ、会社組織や人間の裏側を見る観察眼を磨き、また支店長時代に作家となるための文章力の基礎を身につける時間を得た(P66)
 
銀行が「適材適所」とい言うときは、単に行内で十分な人材を育てていなかっただけで、そのツケを一部の人間に押し付けているだけであることが多い(P70)
 
や、「定年」についての
 
定年とは、なかなか辞め時を自分で判断できない愚かな組織人にとって、辞め時を教えてくれる重宝なシステムでもあるのだ(P114)
 
「定年になったら、あれをしよう、これをしよう」と義務のように考えるのは真面目な会社員であったからだ。
そんな義務は必要ないんだ。天から人生を二度楽しむチャンスを与えられたと思えばいいだけだ。
 
定年になってから考えても構わないではないか。(P118)
 
といったあたりは、会社人生も終わりのほうになって、不遇感を感じていたり、一線から退くような寂寥感を持ち始めた時に、一種の「あっけらかん」とした気持ちにさせてくれるようで好きな箇所である。
 
当方のように定年が近くなった「会社人間」は、多かれ少なかれ、「空洞感」を感じている方が多いと思う。本書に「会社は一時的な舟、人生は舟を降りてからも十分に長い。」といった気持ちで、会社をちょっと横目でみていくのも「あり」ではないでしょうか。
 

読書家による「書店LOVE」の熱いアピール — 斎藤 孝「10分あれば書店に行きなさい」(メディアファクトリー新書)

知的活動のあらゆる分野で発信されている、斎藤孝先生の「書店LOVE」の本。
 
大学生協の調査で、1日の読書時間「0」の大学生が2017年、はじめて5割を超えたという報道が、つい先日されたばかりなので、
 
基本的に本書の提案はたった一つ「1日最低10分、必ず書店へ行こう」(P21)
 
という本書の提案は、なかなかに普及は難しいような気がするが、全般的な読書時間の低下や電子書籍の影響で、書店も減り、「書店に行く」という機会が以前に比べて激減しているのは間違いない。
 
構成は
 
序章 書店の潜在能力を、あなたは知らない
第1章 書店で知性と精神力を磨け
第2章 書店はアイデアの宝庫
第3章 コーナー別・書店の歩き方
第4章 書店をもっと使い倒す「裏技」
第5章 「心のオアシス」としての書店
第6章 本への投資を惜しんではいけない
第7章 分水嶺の時代
 
となっていて、第1章から第6章までは、「書店」の効用のあの手この手のアピール、といったところなのだが、当方的には、
 
ポイントは「何かネタを仕入れよう」という気持ちで本を読むこと。そしてそのために、常に「引用」を念頭におくこと
 
とか、
 
本を買ったら、ただちに近くの喫茶店に飛び込み「本のさばき」を始める。その「本のさばき方」とは
 
・最初の頁から順番に読む発想を捨てる。そして1冊につきせいぜい10〜15分で終わらせること。それには、気になる部分だけピックアップして読めばいいのである。
 
・まず目次を見て、気になる項目をチェックする。10分から15分しかないと仮定すれば、読める項目はせいぜい2〜3個であろう。
 
その上で、3色ボールペンの活用を推奨したい。チェックした項目を読んで、基礎知識として重要と思われる部分を「青」、最重要と思われる部分を「赤」、個人的に面白いと思う部分を「緑」でそれぞれ線を引くなり囲むなりするのである、」さらに頁の角を折っておけば、後で見返す際にも便利だ。
 
といった方法論のところが興味深い。
 
まあ、15分で新書一冊を「さばいてしまう」といった読み方は、まだ体得できていないが、本からいかに速く情報を仕入れるかといった点で参考になる話。
 
本を全く読まない層は増えているかもしれないが、まだまだ「読者層」と呼ばれる塊は健在であると信じている。新刊や気になる本をチェックするためだけではなくて、たまには、自分の知的活動を広げるトレーニングとして書店に行ってみますかね。
(ただ、地方都市は郊外型の書店が大半になってきたので、ちょっと勤め帰りに、というわけにいかないのが難点でありますね)
 

Gloogle仕込みの「仕事術」の真髄は「世界一速く結果を出す人は、なぜメールを使わないのか」(SBクリエイティブ)

筆者のグジバナ氏は、モルガン・スタンレーを経てGoogleのアジアパシフィック地域の人材開発などに携わり、今は企業戦略やイノベーションのコンサルティングや人事テクノロジーのベンチャーなどにも関係、といった経歴の人。その経歴にふさわしく、本書の内容も、かなりエンジン吹かし気味で、読者を駆り立てる感じであるのだが、自己啓発書というのは、これぐらいの熱気があったほうがよい。

構成は

第1章 世界より速く動くための仕事術

第2章 ロジカルシンキングなんてしている暇はない

第3章 忙しくても、10倍の結果を出すために

第4章 仕事の加速度を上げる人間関係のつくり方

第5章 必要なことを高速で学ぶ方法

第6章 グーグルの疲れない働き方

終章 自分の仕事を壊せる人が、次の時代をつくる

となっていて、本書の目指すところは一言で言うと、Google流の「常に10倍の成果をあげよう」というところなのだが、

10倍の成果を出そうと思ったら、従来の延長線上の発想ではとても間に合わないので、仕事の在り方そのものを根本から考え直さないといけない
 
ということになるので、本書で提案されるところも、それ相応に(意識の面で)革命的である。
 
ただ、その革命性がそれほど「嫌味」に感じられないのは、祖国がポーランドで、コンプレックスを抱えながらGoogleyaモルガン・スタンレーで働いていたということと、親日家ゆえの日本人ン向けにアレンジされているせいでもあるのだろう。
 
ただ、その提案は結構刺激的で、例えば
 
日本人は議論が下手と言われるわりに、分析がものすごく好き。・・ところが、どれだけ詳しく分析してあったも、結論がすっぽり抜け落ちていることがよくあります
 
売り上げを上げるのは、他社にはない、自社独自の商品であり、サービスです。その元となるのは、ロジックではなく、思いつきやひらめきです。数字やデータは「過去」については語ってくれても、「未来」をつくり出すことはできないのです。
 
と日本人の特性の「イタイところ」をついてきたり、
 
知能・勤勉さ・服従といったものは、すべて機械に置き換えることができます。
 
「AIに仕事をとられないために、今すぐできること」はひとつです、それは自ら自分の仕事をなくしてしまうこと。
つまり、自らの仕事を、テクノロジーに置き換えて、もっと速くデキないかと鑑上げることです。
 
今後は過去の成功例より「これから何があり得るのか」という情報を見ることが大事
 
といったように、我々が立っているところの足下から揺らしてくるから油断がならないのである。
 
ただ、本音のところは
 
今、個人が成功するには、大きく2つのやり方があります。ひとつはとにかく(お金を儲けたいから、お客さんを明確にして戦略的に営業する、というもの。もう一つのやり方は、自分が情熱をもっていること、世の中をよくしたいとか、こういうミッションで社会貢献したいとか、そういったことを大きな声でSNSなどで訴えていく。それで集まってきた人たちと活動していくとお金が入ってくるという方法です。実際、どちらが成功するかというABテストをやってみたのですが、実は後者でした
 
すべての失敗は学びになります。「勝つか」「負けるか」ではなく、「勝つか」「学ぶか」です
 
といったところにあるようで、儲ける・儲けないといった損得勘定でなく、生きがいとかやりがいとかといったところを評価している風情であるのを、当方は評価したい。
 
 
効率を上げることが仕事の目的ではなくて、効率を上げて何に専念するか、何をするかがポイントだよ、と思わせる仕事術の本でありました。

ジム・ドノヴァン「何をしてもうまくいく人のシンプルな習慣」(ディスカヴァー携書)

サラリーマン生活がなんとなくうまくいかない時、っていうのはよほど幸運に恵まれた人以外は誰しも経験するもの。そんな時に、自分を景気づける方法ってのはいろいろあると思うんだが、一番ベーシックなのは自己啓発書とかビジネス書を読むっていうあたりであろう。そんな時に、かなり手軽に前に押し出してくれるのは、アメリカものっていうのを当方は確信している。

本書は、湿った我が身を、力強く前に押し出してくれる自己啓発本で、構成は

第1章 自分の人生に責任を持つ

第2章 ポジティブに考える

第3章 目標を定める

第4章 行動を起こす

第5章 人との関わりを築く

第6章 毎日を楽しむ

第7章 夢を実現する

第8章 より大きな成功を目指す

付録 習慣を身につけるエクササイズ

となっていて、全部で81のHINTでこちらを元気づけてくれる、という仕掛けである。

そのHINTなのだが、例えば

自分が手に入れたいものに常に意識を向ける

であるとか

なにか問題に突き当たって悩んだら「問題を前向きに解決できるような質問を自分に問いかける」

時間をとって、自分の業績と活動をリストアップする。そうすれば、自分のたいへん大きな業績を上げていることがわかる。自分がいかに多くのことをしてきたかに気づき、さらに多くのことを実行する動機づけになる

あるいは

安定しているものがあるとすれば。それは自分の能力だけだ。いまやっていることが好きならば、それがうまくできるはずだ

といったように、無条件に後押ししてくれるのが、こうしたアメリカ風の自己啓発本の良いところ。

そして「いま直面している問題に関して前向きの質問を考え、答えを書いてみよう」とか「なりたい自分のように考え、話し、行動しよう」といったところには、楽天的なフロンティアスピリットを感じてしまうな。

 

だいたい何か問題に直面して落ち込んでいる時は、自分の能力がどうこうというより、精神的なパワーレベルが落ちていることが大半であるので、そうした時には難しく考えずに、自分押し出してくれる言葉で勢いをつけてくれるこんな本がよいですね。

”グループ”は、こうやって”チーム”になる — 「今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則ージャイアントキリングの流儀」(講談社)

Kindleの講談社の50%ポイント還元セールも2月8日までなので、このあたりで、先日紹介した「今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則」をレビュー。
 
筆者は楽天大学の学長をつとめる仲山進也氏で、「ジャイアントキリング」というサッカーマンガのシーンを使いながら、「グループ」を壊して、「チーム」をつくり、その「チーム」をさらにステップアップする方法論が本書。
 
構成は
 
はじめに
第1章 新チーム始動 ステージ1 フォーミング
第2章 巻き起こる嵐 ステージ2 ストーミング
第3章 チームワークの誕生 ステージ3 ノーミング
第4章 生き物みたいなチーム ステージ4 トランスフォーミング
おわりに
 
となっているのだが、本書の表題に「今いるメンバーで」となっているように、組織に新外人戦力を入れたり、リストラによってチームを変質させたり、といった外科的手法ではなく、構成員の気持ちや取り組み方を変えることによる「チーム」の「改変」であるところがまず「良」。
 
というのも、こうしたチームや組織の改革を考える際に、中途から新戦力をどういれるがが中心になって、旧戦力のことはおきざりなることがよくあるのだが、現実の話、旧メンバーを入れ替えがデキるなんてことは少なく、既存勢力+αで難題をクリアしないといけないことが大半なのでこの視点は重要である。
 
さらには
 
ストーミングが起こり始めると、組織全体のパフォーマンスが低下して非効率なのえ、多くの人は元のフォーミングに戻そうとしたり、そもそもストーミングが起こらないように予防してしまうわけです。その典型が先ほどの「優秀過ぎるリーダー」です。すべてを自分で支持して組織をコントロールしようとするため、ストーミングの余地がありません。
 
といった、既存の「デキる人」意識に水をかけるあたりは着目すべき。
 
また、
 
「モチベーション」という言葉を使うのは、モチベーションが低い人に多いということ。モチベーションが高い人は、「楽しい〜」と言いながら活動していて、そもそもモチベーションのことなど意識していない場合が多いようです
 
といったところは、ちょっと皮肉な指摘ではあるな。
 
もちろん、コミックを土台においていているので、現実はそううまくいかないだろうな、と思うところもあるのだが、「チームの作り方」をわかりやすく解説してくれている本であることは間違いない。ジャイアントキリングの愛読者でない方も、いかがであろうか。
 

Kindleの講談社の書籍・雑誌・写真集50%ポイント還元のオススメ・ビジネス本 7つ

Kindleで講談社の書籍・雑誌・写真集50%ポイント還元セールが2月8日まで開催されているので、当サイト的にオススメのビジネス本をピックアップ

まずは「キリンビール高知支店の奇跡」。いわゆる、業績が不振になった老舗の復活本であるのだが、熱血さが懐かしい。さらには、中野剛志の、アメリカのビジネススクール崇拝をこてんぱんにやっつけた「真説・企業論ービジネススクールで教えない経営学」や、「伝える・プレゼンする」を体系的にとらえた「明日のプランニング」も対象になっている。そういえば、先だって、コミック無料本で紹介した「GIANT KILLING」をモチーフにした「今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則」もリリースされてますね

さらには、アップル本の定番「スティーブ・ジョブス」上、下も。カリスマ経営者の熱気と冷めた部分の二つを知るには、これが一番であろう。本来ならスティーブ・ジョブズとあわせて、アップルの立役者ウォズアニックの「アップルを創った怪物」を読むと、アップル草創期から今に至るまでのアップル神話が眺望できるのだが、残念ながらこいつは講談社本ではないので、ポイント還元は一割。ダイヤモンド社の特売を待とう。

 

自己啓発分野では、スーザン・ケインの「内向型人間のすごい力」。もとは「内向型人間の時代」という単行本だったと思うけど、その文庫本版。外向型がとかくもてはやされる時代にただでさえ肩身の狭い思いを抱えている「内向型」の多くの人々を元気づけてくれる。もうひとつは、ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0」。仕事にかぎらず人生の様々なことをやっていくに必要な「モチベーション」というやつなのだが、なんともとらえがたいものであるのも確か。ここらで、きちんと分析しておくことも必要かも。

ダニエル・ピンクといえばフリーランスやノマドの流行を予言した本ともいえる、「フリー・エージェント社会の到来」が有名なのだが、残念ながらもこれもダイヤモンド社だ。なので、50%還元ではないのだが、フリーランスの研究に興味のある人には定番本かな。

今回の還元は、講談社学術新書や講談社+α文庫のうち、切れ味の良いものが多くリストアップされている印象。ブックオフなどの古書店でも、定価の半額ぐらいの値付けが多いので、ポイント還元といえ、定番のものを、おトクに購入できるチャンスでありますな。

 

「成功物語」で自らを元気づけないとやってられない時もあるよね — 田村潤「キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え」(講談社+α新書)

 

イノベーションはベンチャーの専売特許ではない? — 中野剛志「真説・企業論ービジネススクールが教えない経営学」(講談社現代新書)