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「新聞」はまだまだ面白いメディアだ — 池上 彰「池上彰の新聞活用術」(ダイヤモンド社)

新聞の発行部数は、日本新聞協会のデータによると2016年現在で一般紙、スポーツ紙あわせて43,276,147部であるらしく、2000年の53,708,831部に比べると15年ほどで1000万部減らしている勘定になるらしい。だが、1世帯あたり部数は2000年が1.13部、2016年が0.78部と、まだまだメディアとしての力、影響力は計り知れないものがあるね、ほとんど世間様への影響力を持たない当方としては恐れいるしかない。

本書の著者の池上彰さんはテレビ出身とはいっても、ニュースキャスターも長年努め、読書術や新聞のスクラップや情報入手の方法など、「紙」ベースの情報収集にもとてつもなく見識のある人で、「新聞の読み方」なども様々な媒体で論じておられているのだが、そんな池上彰氏の「新聞愛」にあふれた著述が本書。

構成は

第1章 ニュース力を磨こう

第2章 数字力を磨こう

第3章 伝える力を磨こう

第4章 書く力を磨こう

第5章 想像・推理力を磨こう

第6章 見せる力を磨こう

第7章 発想・コミュニケーション力を磨こう

となっていて、筆者の朝日新聞の連載コラムをまとめたものである。なので、とりあげる範囲も新聞の活用術だけというわけではなく、「世の中が物騒になった、昔がよかった」という論調に対して、

凶悪事件は減っていても、「凶悪事件報道」は増えている(P76)

といった冷めた視点を提供したり

現場の臨場感を伝えることができない新聞記事は、優れたものとはいえません(P81)

と新聞記事批判を展開したかと思うと、最近、さるスキャンダルのせいか画面や紙面で見かけなくなった、女優の江角マキコさんの早世した「お父さん」と、家族を残して癌に倒れた「弟さん」についての記事を紹介(P120)して「ホロリ」とさせたりと、技は冴えているのである。

で、「うむ」と思わされたのは、新聞記者の資質に関しての

新聞記者に必要な資質、それは世の怒りをいち早く察し、切れ味するどい短文で表現する能力(P154)

であったり、「後期高齢者」という名称をめぐっての騒動に際して、同じく

記者の資質として大切な要素の一つは想像力。世の中の人は、どんな思い出暮らしているのか、何に怒っているのか、そんな気持ちへの想像力です(P165)

といったあたりで、ここらは、「新聞記者」だけでなく、「公」に携わる者が心に刻んでおかねばならないことであろうな、我が身を振り返ったのでありました。

新聞の読み方指南、新聞情報の活用指南というよりは、「新聞にまつわるエッセイ」といった感じで読んだほうが、すっきりする一冊でありますな。

ノートはデカイほど良い? — 横田伊佐男「一流の人は なぜ、A3ノートを使うのか(Gokken)

情報整理や発想のツールはいろいろあれど、「ノート」に拘る人は一番の多数派であって、これはデジタルなガジェットがどれだけ普及しようが、いまだに変わらないように見受けられる。で、そのお勧めされるノートのサイズも、人によって様々ななのだが、中でも最大なのは、この「A3ノート」であろうが、A4はポピュラーではあるが、A3となると「デカすぎる」の一言で片付けられそうにもなりかねない。

構成は

1 なぜA3ノートなのか

2 なぜ「ノート」なのか?PCではダメなのか?

3 書く前に何を知っておくべきか?

4 A3・1枚にあらゆる発想を書き出す

5 A3・1枚をフレーム分割して、発想を整理する

6 A3・1枚で「全体像」を網羅する

7 A3ノート徹底活用術

となっていて、そのあたりを考慮して、なぜA3といあたりから始めないといけないのがまわりくどくはある。

で、その理由は

日本を代表する世界企業のトヨタ自動車では、社内資料はA3で徹底されている

また、大前憲一氏はA2(A4用紙4枚分)という巨大な方眼紙を使って左下から右上に向かって書く(P23)

といったところであって、あまり根拠らしいものは感じられないのだが、当方としては、市販されているものの中では、ノートパッドや用紙ではA3が一番デカイくて入手しやすい、というところであろうと落ち着いた。

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いつでも、どこでも「デキる」人の行動法則 — 相原孝夫「ハイパフォーマー 彼らの法則」(日経プレミアムシリーズ

どこの職場でも「エース」と言われる人はいるものなのだが、コンスタントに懸案課題を解決したり、実績を出す人というのはいるようでいない。本書は、そうした人材へのインタビューやゔょうさを通じて、恒常的に高いレベルで成果を上げる人についてのレポートである。

構成は

第1章 前向きなあのひとが、なぜ結果を残せないのか

第2章 良くも、悪くも、すべては循環する

第3章 期待の新人は、なぜ「平凡な社員」になったのか

第4章 失敗から学ぶ彼らにとって、「ゲーム」だ

第5章 彼らは、とにかく「小さな行動」を続ける

第6章 彼らは身近な人を支援し、成功を助ける

第7章 彼らは、たまたまの成果を喜ばない

第8章 彼らは、環境が変わっても瞬時に溶け込む

終 章 職業人生を終える時、どういう思いをもちたいのか

となっていて、こうした「デキる人」のレポートは、能力自慢や明るい性格傾向といった、とてつもなく「正」の部分が強調されすぎるきらいもあるのだが、本書は

どんな境遇もポジティブに捉えて前向きに進むことは生きていく上でたしかに重要なことである。それ自体、否定されるべきことではない。しかし、様々な事象を見てみると、ポジティブ思考が必ず良い成果を引き寄せるとは限らない事が多い。(P26)

ネガティブ思考の人は、「もし別の方法を採っていたら、うまくいっていたかもしれない」と考える。この考えは次回への教訓になるため、次のいい結果をもたらす可能性が高まる。ポジティブ思考の人は、「今回採った方法が最善であったに違いない」と考えてやり過ごす。こうした感揚げは、あまり落ち込まずにすむという点においては有効だが、物事を改善し、次回以降のパフォーマンスを高めたい場合にはあまり役にたたない(P26)

「問題解決力に自信」が悪循環を招く(P42)

自分の技術力や交渉力に自身があることがかえって災いしており、問題の予兆を見過ごしている可能性があり、それが悪循環を招いている可能性があった。問題が発生してから対処するので、付け焼刃的な対応になったり、他のプロジェクトに遅れが生じたりする。(P43)

といったあたりは、世間よくある「成功のためのメソッド」へ高らかに反旗をひるがえしており、「うむ、なかなかですな」と頷くところも多い。

そして、結構以外なのが、ハイパフォーマーとされる人の、行動傾向、性格軽傾向で

「プロセス重視」の姿勢や「他者尊重」「周囲との関係性重視」の姿勢は好循環につながりやすく、一方、「過度な結果重視」や「周囲との関係軽視」は悪循環を招きやすい (P74)

ハイパフォーマーの多くは、失敗体験についても躊躇することなく語った。しかも、成功体験を語り場合とほとんど変わりなく、事細かにその時の状況を記憶していた。自分の役割だけでなく、関係していた人たちの特徴や役割についても詳細に語った。

一方、アベレージパフォーマーの多くは、成功体験については雄弁に語るものの、失敗体験となると途端にトーンダウンした。(P99)

ハイパフォーマーたちを分析していて分かったことがある。失敗の受け止めは「楽観性」とセットになっているということだ。深刻になり過ぎずに比較的さらりと受け止めることができる。感情面はスルーし、事実だけ受け止めるため、必要以上にダメージを受けない。

「ビジネスは所詮ゲームだから」という意見をハイパフォーマーの人たちから幾度も聞いたことがある。これも不思議にハイパフォーマー以外の人たちからは聞くことのない意見である。もちろん、不真面目なわけではない。仕事に対して真剣に取り組んでも、深刻にはなり過ぎない。「最悪でも、会社をクビになるくらいなもの」といった割り切った意見が聞かれる。

そのような人たちは、失敗しても、自分自身を否定するわけではなく、その時の状況やその中での自分の判断や行動を客観的に振り返れるのだ。(P106)

といったところは、ハイパフォーマーと呼ばれる人は、能力がべらぼうに高いというよりは、精神的なしなやかさ、強さといったものの特性によることが多いようであり、

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「デザイン」という視点からの仕事術の提案 — 佐藤オオキ「問題解決ラボ」(ダイヤモンド社)

仕事術にも流行り廃りがあるのは当然のことで、一頃は数値やデータをやけに強調した分析的な仕事術の流行が、その几帳面さゆえか盛りをすぎたように思ったら、「デザイン」という直感的なところに基礎を置く仕事術が隆盛となってきた。

その先頭にいると思えるのが、デザイナーであるとともにアイデア、発想法の著述など八面六臂の活躍している本書の筆者「佐藤オオキ」氏であろう。

構成は

第1章 デザイン目線で考えると、正しい問いが見えてくる

第2章 デザイン目線で考える、とありそうでなかったあ「アイデア」が見えてくる

第3章 デザイン目線で考えると、ホントの「解決法」が見えてくる

第4章 デザイン目線で考えると、刺さる「メッセージ」が見えてくる

第5章 デザイン目線で考えると、見えない「価値」が見えてくる

となっていて、「デザイン」という視点から、仕事の様々な面をとらえ、うまいやりかた(あえて効率的とはいわない)を提案するのが本書。

ただ、「デザイン」目線でやればすべてがうまくいくとは思うべきではなくて、むしろ、データや数値に重点を置いた経営分析、効率一辺倒の仕事のやり方の行き過ぎ部分を修正したり、うまくいってないところの置き換えといった形で考えるべきかなと思う。

その意味で

間違えてもいいからできるだけ早く行う(P81)

といったところは、一般の仕事術と共通するところであるし、

「半歩前がちょうどいい」

「誰も見たことがないもの」は「誰も求めていないもの」と紙一重(P7)

本物の「いいアイデア」とは1つのアイデアからどんどん派生していく、広がっていくもの。

多くの人の頭の中で化学反応を起こし、様々な問題解決に応用され、自分の知らないところで成長して独り歩きしていくのが、本当に良いアイデア(P13)

アイデアは探さないほうがいい。周りにあるものを「ボヤッと見」する(P40)

アイデアの原材料となる情報を収集するコツとしては、白黒をつけずに「グレー」な状態を維持すること

数字でも文字でも人の感情でも、どんな情報であっても必ず頭の中で「ビジュアル化」する

できるだけ、ポジティブに物事を考える(P70)

といったところは、通常の仕事術で壁にぶつかった時に有用な「デザイン」目線ならではのものであるだろう。

さらに

「めんどうくさいこと」こそ、全力でトライするように意識すれば、チャンスは自然と寄ってくる。めんどうくさいことを避けていると、決して真の問題に気づかない(P37)

ものごとをフラットに観察し、新しい切り口を発見する「眼」と、それをしっかり形にしていく「根気強さ」、それと自分の考えを正しく伝える「コミュニケーション能力」さえあれば、デザイナーとして食いっぱぐれることはない。その適性を見分ける方法は「例え話が上手かどうか」(P165)

といったあたりは、「デザイン」目線をこえて、仕事術の根本の提案ともいっていい。

ともすれば、我々の仕事のスタイルは硬直しがちである。「デザイン」という文系・理系どちらの視点にも属さない立場からの「仕事術」「アイデア術」は、軽いショックとともに新しい視点を提供してくれるのではないかな。

「伝達すること」の難しさを吹き飛ばすテクニック — 池上 彰「伝える力」(PHPビジネス新書)

フリージャーナリストとして、様々な場面で顔をみる池上 彰氏による物事を「伝える」ための技術論。
もともとはアナウンサー、キャスターであるので、「喋り」自体はプロであるのだが、そjのプロがこうした平易な技術論を書くということは、ネタバレであるとともに、読者がえっと思うと、本業のほうにも影響があるので、結構勇気のいるものと推察されて、そのあたりは「おわりに」の「この本は”陰謀”によって実現しました」といったあたりに表れている。

構成は

第1章 「伝える力」を培う
第2章 相手を惹きつける
第3章 円滑のコミュニケーションする
第4章 ビジネス文書を書く
第5章 文章力をアップさせる
第6章 わかりやすく伝える
第7章 この言葉・表現は使わない
第8章 上質のインプットをする

となっていて、奇をてらう構成になっていないところが、実は「能ある鷹は爪を隠す」というところでもある。で、その「伝える力」は、

意味がわからないまま読んだり話したりすると、それを聞いている相手も意味がわからない(P19)

「伝える力」を高めるためには、自分が深く理解することが必要であるとわかります。
では、理解を深めるにはどうしたらよいのか。そのためにはその前段階として、「自分がいかに物事を知らないか」を知ることからスタートするしかありません。(P29)

といったところ基礎にしていて、オーソドクスなところに立脚点がある。
そして、その技術とは「「つかみ」が大切」「10秒あれば、かなりのことを言える」「「型をくずす」のは型があってこそ」「会議では一人一人の目を見ながら話す」といったわかりやすくはあるが、不自由なく使いこなすには結構練習が必要であろうようだ。

ついでに言うと、「伝える」技術論だけでなく、

日本にはいわば「けしからん罪」が存在しています。
それは、法律には違反していないけれど、何かけしからんよね、という多くの人たちの気持ちであり、感覚、空気です(P77)

謝ることは危機管理になる。
一言謝られることで、なんとなく納得し、なんとなく許してしまう。非常に日本的といえば日本的ですが、これが多くの日本人の感性です。(P93)

といった処世の技も披露されると思うと

仮説を立てて現場に臨めば、たとえ仮説とは状況が大きく異なっていたとしても、土台があるので、軌道修正をすれば、対応は比較的容易にできるのです。
つまり、白紙の状態で調査を開始するよりも、効率はずっとよいといえます。(P115)

現地にいって問われるのは「五感」や「雑感」(P117)

といった取材の技術のようなものもあって、結構おトクな本であるようだ。
「伝える」ということは、何の苦労もなくひょいとできる人もいれば、汗水たらして頑張っても「よくわからない」という無情な一言で全てを破壊されてしまう人もいる。どちらかというと後者のほうが圧倒的多数であるように思われるのだが、こうした「方法論」を地道に学んで練習する、っていうのが「伝達力」上達の近道なのかもしれないな。

「わかったつもり」の解消は結構シンドそうだ — 西林克彦「わかったつもり」(光文社新書)

本を読んだり、人から話を聞いたり、生きていく上で、「理解する」「わかる」ということは必要不可欠なのだが、これほど頼りないものもない。小さな子供が「わかった?」と聞かれて「わかった」と答えるが、問い詰められると茫漠としてしまって泣き出すことはよくある光景だが、大人でも泣かないぐらいで実質のところは子供と同じである。

本書は、「わかったつもり」なのだが、実は「わかっていない」状況に着目して、なぜそうした現象が起こるのか。防止策は何なのかを解き明かしてくれる。

構成は

第1章 「読み」が深まらないのはなぜか?

1 短い物語を読む

2 「わからない」と「わかる」と「よりわかる」

3 「わかったつもり」という困った状態

第2章 「読み」における文脈のはたらき

1 文脈がわからないと「わからない」

2 文脈による意味の引き出し

3 文脈の積極的活用

第3章 これが「わかったつもり」だ

1 「全体の雰囲気」という魔物(その1)

2 「全体の雰囲気」という魔物(その2)

3 「わかったつもり」の手強さ

第4章 さまざまな「わかったつもり」

1 「わかったつもり」の”犯人”たち

2 文脈の魔力

3 ステレオタイプのスキーマ

第5章 「わかったつもり」の壊し方

1 「わかったつもり」からの脱出

2 解釈の自由と制約

3 試験問題を解いてみる

4 まとめ

となっていて、「わかったつもり」の分析と解消法の実践の舞台は大学をはじめとする学校の授業であるようだ。

このあたり、「わかったつもり」が一番出現するのは、「教育」「学習」の場面が¥であろうから、「実」に即したものといっていい。

筆者によると「わかったつもり」の状態とは

「わかった」状態は、ひとつの安定状態です。ある意味、「わからない部分が見つからない」という状態だといってもいいかも知れません。したがって、「わかった」から「よりわかった」へ到る作業の必要性を感じない状態でもあるのです。浅いわかり方から抜け出すことが困難なのは、その状態が「わからない」からではなくて、「わかった」状態だからなのです。

間違ったわかったつもり」の状態では、部分が「読み飛ばされ」て、しっかりとした意味が引き出されていません。全体の大雑把な文脈を打ち破るほどには、部分が読まれていないので、間違った状態が維持されているというわけです。  簡単にいえば、部分の読みが不充分だったり間違ったりしているので、間違った「わかったつもり」が成立

という状態であるらしく、けして物事がちんぷんかんぷんで何を言っているか不明、という状態ではなく、ある程度「わかっている」からだという、なにやら面倒な状態であるらしい。

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大量の読書の秘訣は、「寝る前に1時間本を読む」を続けることか? — 出口治明『本の「使い方」』(角川ONEテーマ21)

ライフネット生命の創業者の出口治明氏の読書論。もともと氏は、かなり読書家として知られているし、「1行たりとも読み飛ばしてはいけなう」という結構人を恐れさせる帯もついているので、その読書法や大量の読書をするコツもさぞかし、と思ったのだが、意外にも、

本は、移動時間や就寝前の1時間、週末に読んでいます。趣味として読む場合と、まとまった知識を得るために読む場合があります。  読書は私の趣味そのものなので、功利的な目的を考えずに、ただ「楽しい」「おもしろい」という理由だけで読む場合がほとんど

というところにちょっと驚く。

構成は

1章 本とは「何か」ー教養について考える

2章 本を選ぶー「おもしろそうな本」という鉄則

3章 本と向きあうー1行たりとも読み飛ばさない

4章 本を「使う」ー著者に左右される人、されない人

5章 本を「愛する」ー自分の滋養、他者への架け橋

となっていて、「本」の隅々まで味わってやるぞ、という「読書家」の心意気が反映されているようでもある。「読書論」というのは、ちょっと間違うと、スノッブの風味が強くなすぎて、うっぷ、と胸焼けがしてしまうものだが、本書がするすると読めるのは、そのオーソドクスさによるのかもしれない。

そのあたりは

私の場合、新しい分野の勉強を始めるときは、 ①関連書籍を「7~8冊」手に入れる ②「厚くて、難解そうな本」から読み始めて、輪郭をつかむ ③最後に「薄い入門書」を読んで、体系化する ④本で学んだあとは、実際に体験してみる  というマイルールを決めています。そして、一旦マイルールを決めたら、あとは迷いません。ルールのとおり行動するだけです。

私は、目次をほとんど読みません。  繰り返しますが、私は、本を読むことと、人の話を聞くことは同じだと考えています。人の話には、目次がありません。聞き飛ばすこともできません。 「この人の話、おもしろそうだな」と思ったら一所懸命聞けばいいし、途中で「なんか、おもしろくないな」と思えば、話を切り上げてしまえばいい

といったところにも現れているといえそう。

もっとも

私は、一般にビジネス書はあまり読みません(実務書は別です)。ビジネス書があまり好きでないのは、 ①ビジネス書は、後出しジャンケンである ②ビジネス書は、抽象化されすぎている  という、おもに2つの理由からです

成功体験は、いくらでも後づけで考えられます。でも、歴史書や優れた小説には、成功した人間だけでなく、失敗した人間も同じく克明に描かれています。ひどい人とか、いいかげんな人とか、生身の人間が等身大で描かれているので、後出しジャンケンよりもはるかに役に立つ、というのが、私の基本的な認識

と、読むなら「歴史書」と力説されているところには、あれこれとビジネス書を読んで簡単に感化されてしまう当方としては赤顔するしかない。

まあ、幸いなことに読書の本質は

人、本、旅には、それぞれ一長一短があって、どれがいい、どれが悪いと決めつけられるものではありません。大学の4年間を「本を読んで過ごす」のと、「世界を放浪して過ごす」のとでは、どちらが賢くなるのか、それはわかりません。その人次第です。「旅は大好きだけれど本は大嫌い」という人は、旅を続けたほうが、賢くなるはずです。

人、本、旅で、どのジャンルの教養を身に付けたらいいのか、というと、 ・自分の興味が持てるもの ・自分の好きなもの  から始めてかまわないと思います。好きこそものの上手なれで、興味が持てるジャンルであれば、続けることも、工夫することもできるでしょう。好きなものを究めるほうが、何でも身に付きやすいと思います。  一方で、他人に薦められたら、騙されたと思って試してみる、という方法もあります。

ということであるらしいので、力を抜いて、好きなジャンルを、とにかくたくさん読んでいくというのでよろしいようでありますな。

「伝え方」は学べるものだったんだ。– 佐々木圭一「伝え方が9割」+「まんがでわかる伝え方が9割」

説明やプレゼンの上手い下手、あるいは頼みごとの上手い下手というのは、天性のものがあって、とても努力で補うのはね、と思う方々が多いとは思うが、本書をそれに真っ向から歯向かって「伝え方にはシンプルな技術がある」「感動的な言葉はつくることができる」と訴えて、その技術論を教えてくれるのが本書。

なおかつ「この本は正しく、美しい日本語を学ぶための本ではありません」「この本は、人の心に届く伝え方を学び、身につけることでビジネス、人生で成功したい人のための本です」と言い切る辺りが小気味よい。

構成は

第1章 伝え方にも技術があった

第2章 「ノー」を「イエス」に変える技術

第3章 「強い言葉」をつくる技術

第1章では伝え方は技術論で学べば誰でも上達するという入門篇、第2章、第3章がその技術論を教えてくれる本編といった形である。

で、その方法論は、といったところはネタバレがそのまま営業妨害につながるので詳細はさけないといけないのだが、さわりを紹介すると

お願いに相手がどう考えるか、ふだん相手は何を考えているか、相手の頭の中を想像します(P58)

ここで大切なのは相手の文脈でつくることです(P59)

といったところには、説得とかお願いっていうのは、どうしてもこちらの都合の良い文脈で頼んでしまうのが多いので、ちょっと目ウロコ。こうした技術論が惜しげなく語れれていくし、かなり平易な文章で書かれているので、サクサクと読めるのもハウツー本の基礎が押さえてあってよろしいですな。

で、もうひとつオススメなのが、「伝え方が9割」のマンガ版。主人公は若い編集者に仮託され、彼女が元編集者のオネエに出会って、いろいろ教わってという、マンガ版らしい構成なのだが、この女の子の成長度合いがすっきりと気持ち良いのと、原本に結構忠実に従っているのも好印象。

「伝え方」の技術論を平易に学ぶんであれば、どちらをチョイスしてもよいと思いますね。

ノート術のネタも満載 — 藍玉「まずは書いてみる [時間][アイデア][やりたいこと]がどんどん湧き出すメモの習慣」(KADOKAWA)

ブログ「藍玉スタイル」の運営者で、手帳関係のブロガーとして有名な「手帳ライフ研究家」藍玉さんによる「メモ」術。彼女の得意分野は「手帳」であるようなのだが、今回は手帳に限らず「ノート術」にまで範囲を広げている。

構成は

第1章 「毎日忙しい」を解消する時間管理の手帳術

第2章 食事の記録にコーディネートノート・・・日々記録する楽しみ

第3章 仕事のパフォーマンスが上がるメモの方法

第4章 夢や目標じゃ書くことで現実になる

第5章 手帳&ノートがもっと私の味方になる使い方Q&A

となっている。当方は、スケジュールはスマホアプリの「ジョルテ」、ToDoは「Toodledo」で、記録やメモの大半は「Evernote」かiPhoneの「メモ」となってから久しいのだが、仕事柄、会議や打ち合わせが多いのと、お固いところであるので、会議の机の上にタブレットかPCをおいてメモをとるっていうのがギョッとされる職場なので、紙の「ノート」は手放せない。

そういう環境の輩にも、使えるネタ、特に手書きのノートネタであったり、応用できる手帳ネタが多くて、「使えるね」というのが本書の印象。

ネタを全部、書いてしまうわけにはいかないのだが、例えば

会議の内容などのメモは、もらった資料の裏側に書く。この方法は、情報を一元化するのにベストな方法。会議中にノートにメモをとると、後からそれを参照しようとしたときに、探す手間がかかる。

A4の用紙なら、横に、書く前に3分割して折り目をいれる。1/3の幅で改行すると、ほどよい長さの文字数になる。

1枚目の内容について説明をされているときは2枚目の裏紙、2枚目の説明のおきは3枚目の裏紙というようにズラして書いていく(P97)

はデジタル、アナログ共通の仕事術として使えるし、

タスクにポイントを振る。日常的によく(行うタスクで、一日以内に終わるものを2ポイント、数日かかりそうなものを4ポイント、数時間で終わりそうなものを1ポイントなど。

長くても1週間先までのタスクしかポイント付けはしない

ポイントが8以上の大きすぎるタスクは、作業を分割して8以下にする

ポイントを振ったら1日で何ポイントのタスクを実行するかを決めて、行動に移すだけ

1日に設定したポイント数を達成したら、余力があってもそこで終わり(P32~P34)

や、スキマ時間の有効な使い方として

「すぐ済むのに、つい忘れてしまう用事」「緊急ではないけれど、やらなきゃいけない用事」を付箋に、用事を済ませるのに必要なおおよその時間と一緒に書き出す。

書いた付箋は手帳のフリースペースやメモ部分に貼っておく。その場合、かかる時間ごとに並べる

いざスキマ時間ができたら、使える時間に合わせてこなせる用事を選ぶだけ、実行したらその付箋をはがす(P43)

といったあたりは、手法を変えればデジタルにも応用できる。

もともと仕事術やメモ術といったものは、基本的手法はアナログ、デジタル共通であるほうが「使える」ものが多く、可塑性が高い分、利用者の方でいろいろと工夫の余地があり、それぞれの仕事向けのものが独自開発される土台ともなる。

レビューしたもの以外に、まだまだ使えるネタは満載なので、デジタル派も、「手帳術か~」と見くびらずに読んでみてはいかがであろうか。

ザクザク読める自己啓発本 — 神田昌典・宮島葉子「マンガでわかる 非常識な成功法則」(ぶんか社)

活字の原本でヒットしたものに、原本を底本にしたマンガをくっつけるという形は、人によって好悪が別れるようである。当方としては、マンガが結構読ませるものが多いのと、頑張っている女性のサクセス・ストーリーが多いせいもあった、もともと成り上がり物語の好きな方なので、結構好んで読む。本書もそういう類で

構成は

序章 成功は「悪の感情」から始まる

Comic1 凡人からの脱却

第1の習慣 やりたくないことを見つける

Comic2 潜在能力のスイッチ

第2の習慣 自分にかける催眠術

第3の習慣 自分に都合のいい肩書を持つ

Comic3 すべては小さな一歩から

第4の習慣 非常識的情報獲得術

Comic4 マイナス思考は情報収集で吹き飛ばせ

第5の習慣 殿様バッタのセールス

Comic5 「悪女」になって愛される

第6の習慣 お金を溺愛する

第7の習慣 決断は思いきらない

第8の習慣 成功のダークサイドを知る

Comic6 光と影を歩く

Comic7 TRUST YOURSELF

といった形。

マンガの方の物語の主人公は、システム会社のWebデザイナーをしている「恩田恵美」という34歳の女性が、人事異動でいけ好かない上司がやってきて干され始めたところで、社内起業のプランに応募して、イタリアの革小物とジェラートのショップを開店。いくつかの困難を乗り越えて独立、生涯の伴侶と一緒になる、ってな筋立て。

もともと原本の「非常識な成功法則」が結構乱暴なアドバイスが満載で

「いくら好きなことでも嫌なものは嫌。やりたくないことを無理にやるから悩んで挫折する」(P50)のだから「「嫌なことをやらなくてすむ」システムを考える

殿様バッタのセールス=相手から「お願いします」と頭を下げさせるセールスを目指し、「NO」のお客にムダな時間を使わない、まず相手に買う気があるかどうかを探る、自分にとってふさわしくない客は断る

といったあたりはその代表格であろう。

ただ、その根幹とするところは、「自分の目標を繰り返し、頭に刷り込む」「消極的なイメージはそれに引っ張られるので、それから極力避ける」といったメンタルの自己コントロールにあるといってよく、その意味で自己啓発本の本流といえば本流であろう。

ともあれ、こうした自己啓発本、しかもマンガでわかりやすくしてあるものは難しく考えずエッセンスだけを吸収するような気持ちで読むべきものであろうな。