カテゴリー別アーカイブ: ビジネス本

ジム・ドノヴァン「何をしてもうまくいく人のシンプルな習慣」(ディスカヴァー携書)

サラリーマン生活がなんとなくうまくいかない時、っていうのはよほど幸運に恵まれた人以外は誰しも経験するもの。そんな時に、自分を景気づける方法ってのはいろいろあると思うんだが、一番ベーシックなのは自己啓発書とかビジネス書を読むっていうあたりであろう。そんな時に、かなり手軽に前に押し出してくれるのは、アメリカものっていうのを当方は確信している。

本書は、湿った我が身を、力強く前に押し出してくれる自己啓発本で、構成は

第1章 自分の人生に責任を持つ

第2章 ポジティブに考える

第3章 目標を定める

第4章 行動を起こす

第5章 人との関わりを築く

第6章 毎日を楽しむ

第7章 夢を実現する

第8章 より大きな成功を目指す

付録 習慣を身につけるエクササイズ

となっていて、全部で81のHINTでこちらを元気づけてくれる、という仕掛けである。

そのHINTなのだが、例えば

自分が手に入れたいものに常に意識を向ける

であるとか

なにか問題に突き当たって悩んだら「問題を前向きに解決できるような質問を自分に問いかける」

時間をとって、自分の業績と活動をリストアップする。そうすれば、自分のたいへん大きな業績を上げていることがわかる。自分がいかに多くのことをしてきたかに気づき、さらに多くのことを実行する動機づけになる

あるいは

安定しているものがあるとすれば。それは自分の能力だけだ。いまやっていることが好きならば、それがうまくできるはずだ

といったように、無条件に後押ししてくれるのが、こうしたアメリカ風の自己啓発本の良いところ。

そして「いま直面している問題に関して前向きの質問を考え、答えを書いてみよう」とか「なりたい自分のように考え、話し、行動しよう」といったところには、楽天的なフロンティアスピリットを感じてしまうな。

 

だいたい何か問題に直面して落ち込んでいる時は、自分の能力がどうこうというより、精神的なパワーレベルが落ちていることが大半であるので、そうした時には難しく考えずに、自分押し出してくれる言葉で勢いをつけてくれるこんな本がよいですね。

”グループ”は、こうやって”チーム”になる — 「今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則ージャイアントキリングの流儀」(講談社)

Kindleの講談社の50%ポイント還元セールも2月8日までなので、このあたりで、先日紹介した「今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則」をレビュー。
 
筆者は楽天大学の学長をつとめる仲山進也氏で、「ジャイアントキリング」というサッカーマンガのシーンを使いながら、「グループ」を壊して、「チーム」をつくり、その「チーム」をさらにステップアップする方法論が本書。
 
構成は
 
はじめに
第1章 新チーム始動 ステージ1 フォーミング
第2章 巻き起こる嵐 ステージ2 ストーミング
第3章 チームワークの誕生 ステージ3 ノーミング
第4章 生き物みたいなチーム ステージ4 トランスフォーミング
おわりに
 
となっているのだが、本書の表題に「今いるメンバーで」となっているように、組織に新外人戦力を入れたり、リストラによってチームを変質させたり、といった外科的手法ではなく、構成員の気持ちや取り組み方を変えることによる「チーム」の「改変」であるところがまず「良」。
 
というのも、こうしたチームや組織の改革を考える際に、中途から新戦力をどういれるがが中心になって、旧戦力のことはおきざりなることがよくあるのだが、現実の話、旧メンバーを入れ替えがデキるなんてことは少なく、既存勢力+αで難題をクリアしないといけないことが大半なのでこの視点は重要である。
 
さらには
 
ストーミングが起こり始めると、組織全体のパフォーマンスが低下して非効率なのえ、多くの人は元のフォーミングに戻そうとしたり、そもそもストーミングが起こらないように予防してしまうわけです。その典型が先ほどの「優秀過ぎるリーダー」です。すべてを自分で支持して組織をコントロールしようとするため、ストーミングの余地がありません。
 
といった、既存の「デキる人」意識に水をかけるあたりは着目すべき。
 
また、
 
「モチベーション」という言葉を使うのは、モチベーションが低い人に多いということ。モチベーションが高い人は、「楽しい〜」と言いながら活動していて、そもそもモチベーションのことなど意識していない場合が多いようです
 
といったところは、ちょっと皮肉な指摘ではあるな。
 
もちろん、コミックを土台においていているので、現実はそううまくいかないだろうな、と思うところもあるのだが、「チームの作り方」をわかりやすく解説してくれている本であることは間違いない。ジャイアントキリングの愛読者でない方も、いかがであろうか。
 

Kindleの講談社の書籍・雑誌・写真集50%ポイント還元のオススメ・ビジネス本 7つ

Kindleで講談社の書籍・雑誌・写真集50%ポイント還元セールが2月8日まで開催されているので、当サイト的にオススメのビジネス本をピックアップ

まずは「キリンビール高知支店の奇跡」。いわゆる、業績が不振になった老舗の復活本であるのだが、熱血さが懐かしい。さらには、中野剛志の、アメリカのビジネススクール崇拝をこてんぱんにやっつけた「真説・企業論ービジネススクールで教えない経営学」や、「伝える・プレゼンする」を体系的にとらえた「明日のプランニング」も対象になっている。そういえば、先だって、コミック無料本で紹介した「GIANT KILLING」をモチーフにした「今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則」もリリースされてますね

さらには、アップル本の定番「スティーブ・ジョブス」上、下も。カリスマ経営者の熱気と冷めた部分の二つを知るには、これが一番であろう。本来ならスティーブ・ジョブズとあわせて、アップルの立役者ウォズアニックの「アップルを創った怪物」を読むと、アップル草創期から今に至るまでのアップル神話が眺望できるのだが、残念ながらこいつは講談社本ではないので、ポイント還元は一割。ダイヤモンド社の特売を待とう。

 

自己啓発分野では、スーザン・ケインの「内向型人間のすごい力」。もとは「内向型人間の時代」という単行本だったと思うけど、その文庫本版。外向型がとかくもてはやされる時代にただでさえ肩身の狭い思いを抱えている「内向型」の多くの人々を元気づけてくれる。もうひとつは、ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0」。仕事にかぎらず人生の様々なことをやっていくに必要な「モチベーション」というやつなのだが、なんともとらえがたいものであるのも確か。ここらで、きちんと分析しておくことも必要かも。

ダニエル・ピンクといえばフリーランスやノマドの流行を予言した本ともいえる、「フリー・エージェント社会の到来」が有名なのだが、残念ながらもこれもダイヤモンド社だ。なので、50%還元ではないのだが、フリーランスの研究に興味のある人には定番本かな。

今回の還元は、講談社学術新書や講談社+α文庫のうち、切れ味の良いものが多くリストアップされている印象。ブックオフなどの古書店でも、定価の半額ぐらいの値付けが多いので、ポイント還元といえ、定番のものを、おトクに購入できるチャンスでありますな。

 

「成功物語」で自らを元気づけないとやってられない時もあるよね — 田村潤「キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え」(講談社+α新書)

 

イノベーションはベンチャーの専売特許ではない? — 中野剛志「真説・企業論ービジネススクールが教えない経営学」(講談社現代新書)

 

 

生活や仕事を変える「Tips」の総覧。これだけ揃うと、かなり壮観である。 — 堀 正岳「ライフハック大全」(KADOKAWA)

副題に「人生と仕事を変える小さな習慣250」とあるように、一頃一世を風靡したが、最近はさほど耳にすることも少なくなった「LifeHacks」「ライフハック」に関しての筆者の集大成本といっていい。
 
構成は
SECTION00 始めよう「人生を変える7つのライフハック」
SECTION01 時間管理「時間は増やせる」
SECTION02 タスク管理「小さな勝利を積み重ねる」
SECTION03 集中力・ストレス対策「やる気も仕組み化」
SECTION04 読書・情報収集・学習「情報は減らして管理する」
SECTION05 発想・アウトプット・思考「自分だけのアイデアがある」
SECTION06 コミュニケーション&チーム「味方は増やせる」
SECTION07 日常生活・旅行「ちょっとした快適さを」
SECTION08 習慣化・やめない技術「人生を変える小さな習慣」
となっていて、LifeHacks.jpやシゴタノなどの、サイトで取り上げられる、日常生活で効率化をするための手法のオンパレードである。
 
最初に「ライフハックという言葉を最近聞かなくなった」と言ったのだが、これはけして悪口ではない。むしろ「ライフハック」に代表される、生活や仕事のカイゼンのため、大上段に振りかぶって変更していくのではなく、小さなTipsの積み重ねにによって変えていく、さらにはTipsそのものの開発を楽しむといったスタイルが定着したゆえのことでもあろうと思っている。
 
こうしたTipsの集大成による生活の改良というのは、大げさなシステムを組んだり、あるいは何か大きなマシンを購入したり、といった金銭的にも時間的にも大きな手間を要する手法と比べて、一つ一つの効果は少ないながらも集まれば大きな効果を生むし、個人が導入しやすい、という特徴をもっている。そしてこれは大げさに言えば、大きな組織の凋落を発端とする個人が個人の力でなんとかしなければならない現代にマッチした手法といえなくもない。
 
そして、そうした多くのTipsが、組織に頼らずに生きていこうとする「個人」を応戦するものともなっていて、これは双方が相乗的に影響しあって、動きを拡大させている、と言っていい。
 
当方としては、今の「人出不足」に後押しされる「働き方改革」の流れは、既存組織の強化に向うのではなく、組織が解体される一方で、個人のワークスタイル、あるいは仕事への忠誠心が悪用される危険性を持っていると感じているので、こうしたライフハック・ツールで予め武装しておくのは、とても大事なことであろう。
 
まあ、250ものハックネタが紹介されているので、あれもこれも、と試してみたくなるのが人情ではあるが、ライフハックスのTipsは、スパイスのよく効いた小皿料理のようなところがある。一度にたくさん食べると自家中毒をおこしかねないので。自分が必要なことを考えて、チョイスしながら試すのが肝要かとは思いますな。

今までの苦い「地域活性化」の経験をきちんと認識しよう — 飯田泰之ほか「地域再生の失敗学」(光文社新書)

「地方創生」「地域活性化」「地域の活力を取り戻す」・・・、こういうテーマが行政の予算や開発計画、総合計画の中で踊らないことはまずないと思うのだが、いかんせん、成功例となると、これもまた希少な部類の言葉であるような気がする。
本書は、そうした「地域再生」について、今までの行政や政府などの公的セクターっぽい視点からではなく、むしろ研究的な側面から実践者、現場の分析者の目線で語ったのが本書。
 

 

構成は
 

 

第1章 経営から見た「正しい地域再生」
第2章 官民連携の新しい戦略
第3章 フラット化しない地域経済
第4章 人口減少の先進地としての過疎地域
第5章 現場から考えるこれからの地域再生
 

 

となっていて、登場するのは、経営的な視点でのまちこしの専門家、地域経済学の専門家、経営学者といった、およそ今までの「まちおこし」では主流として登場してこなかった層の人たちであり、冒頭でも
 
現在の状況から考えると、これまでの地域再生策は基本的に失敗だったとまとめざるを得ないのではないでしょうか。従来型の政策の多くは失敗だった。これを認めることが、これからの地域再生を考える出発点となるでしょう。(P4)
 

 

とかなり挑戦的である。
 

 

ただ、そう言われるのもしょうがないところがあって、例えば、
 
地域活性化では、貿易黒字が大切です。地域内に来てもらうだけでなく、商品を出して外貨を稼ぐ。活性化を口指す上で、地域から山ていくお金よりも地域に入ってくるお金を多くするのが基本原則
 

 

といったあたりは、とかく目を惹いたり、派手であれば良しとしがちな地域活性化の動きに対する警鐘でもある。
 

 

さらには、
 

 

地域経済の再生は地域の稼ぐ力の向上によってもたらされる。
そして、稼ぐ力を決定するのは人と人が相互にコミュニケーションをとることで発揮されるクリエイティビティであり、人と人との聞で生まれる信用である。
このような観点から地域経済を考えると、その再生のために必要なのは、いかにして地域内でクリエイティブな発想を生みやすい環境を整備していくか、さらには地域外とどのようにして相互に信頼できる人間関係を構築するかであるということになる
 

 

といったあたりは、地域内あるいは地域間の関係性の構築の重要性を教えてくれる。
 

 

そして
 

 

目指すべき唯一の目標、モデルはもはやなくなった、ということも重要なポイントです。都市であれば東京を目指し、田舎は田園都市を目指すといった唯一のビジョンから脱して、将米世代の選択肢を減らさないことを意識する必必があると思います。
今の「正解」が、将米においても正解であり続けるとは限りません。将米どんなことが起こるかわからないという前提に立って、将来世代に多くの選択肢を手渡すことも我々の責務だと思います。
 

 

といったところは、地域が元気になる上で、高度成長からバブル時代、そしてバブル後を通じて、東京への一極集中を促し、地方を疲弊化させてきてしまった、当方のような年配者の「務め」というものを、改めて提示されているような気がするのだが、どうであろうか。
 

 

創業物語の「苦い」部分も書かれているのが良いね — 遠山正道「スープで行きますー商社マンがSoup Stock Tokyoを作る」(新潮社)

 三菱商事の商社マンで、食品産業とは縁のなかった筆者が、日本で初であろうスープのファストフード専門店の立ち上げから、軌道に乗せるまでの奮闘の数々を綴ったもの

 
構成は
 
第一章 成功することを決めた
第二章 Soup Stock Tokyoの誕生
第三章 働き始めたビジネス
第四章 つきつけられた現実
第五章 スマイルズの人々
第六章 振り返りとこれから
 
となっていて、初版発行が2006年であるので、その後の事故米穀混入の件であるとか、スマイルズの分社化といったこと以前のものであるのだが、本書を読む目的は、一人の若い起業家が自分の精魂を傾ける分野を如何に見つけ、会社を立ち上げ、お決まりの経営危機をどう乗り越えていったか、といったところが大勢であろうから、そこはあまり関係ないといっていい。
 
で、こうした事業立ち上げの物語を読む際には、力点の置き方というのが、人それぞれに、あるいは読者が置かれているビジネス環境その時ごとに違ってくるのが通例で、当方的には、流行を掴んだ会社がどのあたりで危機に陥って、どう切り抜けたか、といったところにスポットで当てて読んでみた。
 
同社の危機が訪れたのは1998年8月1号店の開業から6年後、苦労はあれども店舗も増えて、さらに勢いに乗って強化展開をしようかといったあたりで、登っていくときほど足下に気をつけないとね、といった織田信長的な危機の迎え方である。
 
それは、三ヶ月にわたっての業績の伸び悩みという事態で現れ、しかも、その原因がつかめない、分析しきれないというおまけつきである。そして、三ヶ月で創業以来の蓄えを使い切ってしまうという事態を迎えるのだが、その根本原因は
 
以前よりも本部から店舗へ指示することが多くなっていました。
そこには、ブランドとしてのイメージを統一して質を良くしていこうという狙いがあったのですが、現場には、その意図まで伝わっていませんでした。
そのために、私に近い所にいる本部のメンバーが偉くて、現場は私の意図を想像するしかないという構図ができ、不満が蔓延していたのです。
また、その頃、各店が達成すべき「売上予算」が、その店舗に伝わっていないという、とんでもない事態も判明しました。
本部と店舗の聞には、いつの間にか大きな構ができていたのです。
 
 
といったことで、その解決手段が
 
私は常々、大企業によくみられる、閉塞感のある縦割りの仕事の仕方が嫌いでした。
それよりも感性を重視し、素敵な会社を作ろうと立ち上げたのがスマイルズです。
仕事の仕方も、デザインや雑誌編集、レコード製作などのような「プロジェクト型」が良いと思ってきました。背広もネクタイもしないで、異業種の才能達が意見を交換しながら物事を決めていく、あの感じです。私はそれを、「スパゲティ型」なんて呼んでいました。
しかし、これは「攻めるに強く、守るには弱い」やり方であることもわかってきました。社内の誰も、店舗の営業の結果に責任を持つ構造になっていなかったのです。
私は自分の認識が甘かったことを思い知りました。
「スパゲティ型」から「定食型」へ。おかずがきちんと仕切りに収まっている幕の内弁当のようなイメージです。分業して、それぞれの仕事に責任を持ってもらう。個人の個性を信頼し尊重すれば、自分たちらしくできるはず。とにかく、そう信じることにしました。
 
という、オーソドクスなところに帰着する辺り、「基本」を大事にすることの重要さと、すべての組織において、「本部と現場」との乖離は常に起きる課題で、しかも、経営を揺るがす事態を簡単につくり出すのだな、と改めて認識した次第。
 
 まあ、当方が取り上げたところだけではなく、創業部分であるとか、人材確保の方法であるとか、それぞれに、「ああ、こういうやり方もあるのか」と気付かされるところは多いだが、なによりも評価したいのは、経営危機に陥った時の「苦い」部分の描き方であろう。「甘い味」ばかりでは、経営書としては薄っぺらになるもので、やはり、こういう苦みがないと物事はしまらないよな、と思った次第なのである。
 

「一日」を分で計算してマネジメントする — ケビン・クルーズ「1440分の使い方」

「1440分」とは1日を「分」で表示したもの。確かにこれぐらいの数字で見ると、多いようで少ない、微妙な分量感を覚えるから不思議だ。
 
本書は、その「1440分」の時間管理術ではあるのだが、アメリカの時間管理本らしく、成功者へのインタビューから導き出すのが特徴。
 
構成は
 
超多忙だったあの日、ニュージャージーの高速道路で
1 1440分の威力
2 適切な優先順位の重要性
3 To Do リストをやめる
4 先延ばし癖を克服する
5 罪悪感なく5時の退社する方法
6 成功者たちのノート術
7 3210メール術
8 グーグル、アップル、ヴァージンの会議術
9 大成功へと導く小さな一言
10 強力なパレートの法則
11 ハーバードの3つの質問
12 テーマのある毎日
13 「一度しか触らない」ルール
14 朝を変えて。人生を変える
15 すべてはエネルギー次第
16 すべてをまとめたE-3C方式
17 まだまだある
18 7人のビリオネアに学ぶ時間管理の秘訣
19 13人のオリンピック選手に学ぶ時間管理の秘訣
20 29人のオールAの学生に学ぶ時間管理の秘訣
21 239人の起業家に学ぶ次巻管理の秘訣
付録1 あなたの時間管理の特性診断
付録2 次巻管理の名言ベスト110
「#1440」を広めよう
 
となっていて、「パレートの法則」「朝の活用」とか類書でも見かける項目はあるのだが、
 
大成功を収めた人たちは、ToDoリストの項目を減らそうと四六時中躍起になったりしない。むしろ、優先順位や、各々のタスクにかける時間について熟考したら、それでよしとするのだ。
 
重要なことはすべて、やる時間を決め、スケジュール表に入れておく  この手法は「タイムブロッキング」もしくは「タイムボクシング」と呼ばれてている。
 
という「To Do リストをやめる」の項目や
 
このような働き方をするためには、しっかり自制し、地道な練習を重ねるしかない。私には、一日のテーマを決めるのが効果的だった。

起業家コーチとして高名なダン・サリバンは、以下の3種類の日を組み合わせて1週間を構成するよう提案している。 ・集中日:いわゆる「勝負の日」で、自分にとって最重要の活動(主に収益性のある活動)を行う日。できれば自分ならではの才能を活かすべき日でもある。したがって、この日には一番得意なことをやろう。 ・予備日:たまったメールや電話への対応、社内会議、仕事の委託、書類仕事をやる日。 ・休日:仕事を一切しない日。私は曜日ごとのテーマを決めるだけでなく、各月の最終金曜日はランチやお茶の約束を入れる日と決めている。

 
という「一日のテーマを決める」といったところは斬新で、「ToDoリスト」万能を訴える時間管理本の反論でもある。
 
とはいっても
 
ノートを取るなら、ノートパソコンやタブレット、スマートフォンよりも、紙ベースのきちんと綴じられたノートを使ったほうがいい。
 
のように、「アナログ」の重要性を訴えるあたりは日本のものとの共通項も多く、時間管理であれこれと議論が動くのは、日本もアメリカも共通のようであるし、
 
一点集中とは「ノー」ということだ
 
といったところは、いかにもアメリカ的という印象を受けるが小気味いい。
 
さて、時間管理は、こうした技術的な知識を豊富に入手するのと同時に、自分にはどういうものが合っているのかを試してみるのが大事なもの。今回は、どれを試してみますかね。
 
 

立身出世だけにとらわれない、汎用的な「リーダー論」の基本書の一つ — 河野英太郎「99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ」 (Discover)

前著「99%の人がしていないたった1%のコツ」で仕事の段取り関係のビジネス本で評判をとった著者の今度は「リーダー論」。
「リーダー論」というと、どうしても会社などの組織上の「地位」と密接不可分なところがあって、例えば佐々木常夫氏の「そうか、君は課長になったのか」とかは管理職という側面がセットになっているのだが、本書は、そういう会社内のランクとは別の「リーダー論」として読むべきで、それは「はじめに」の冒頭の
 
リーダーとはあくまでもチームや組織で仕事をする上の「役割」であり、特別、り‥ダーが偉いわけでも、価値が高いわけでもない
 
といったところで、立ち位置を示している。
 
 
で、構成は
 
CHAPTER1 メンバー選びのコツ
CHAPTER2 仕事の依頼のコツ
CHAPTER3 メンバー評価のコツ
CHAPTER4 トラブル対処のコツ
CHAPTER5 チームを前進させるコツ
CHAPTER6 モチベーションを高めるコツ
CHAPTER7 人を育てるコツ
CHAPTER8 自分を整えるコツ
 
となっていて、「組織管理」ではなく「チーム管理」という色彩が強い印象で、
 
実際には、すべての領域で自分が「トップ」であることを優先した結果、チームの目標が達成できないほうが、人心は離れていきます。
いかに自分より優れた人に働きやすい環境を提供するかが、リーダーの仕事であるとすらいえるのです
 
 
 
リーダーや一部のだれかばかりがメンパーを引っ張り、それ以外のメンパーはあとに続く、というチームであってはいけません。
それではチームで仕事をしている意味が半減します。
リーダーの能力以上の成果が出ない組織になってしまうのです
 
といったところを見ると、いわゆる「立身出世術」とは一線を画するリーダー論であり、「リーダーの職能」論として読むべきであるようだ。
 
であるから
 
チーム編成をするときは、「前に出て引っ張る人」「全体を冷静に見渡す人」「専門分野で貢献する人」「それぞれを支える人」など、個々のリーダーシツプの特徴を見極めることが重要です
 
 
仕事の制り振りを考えるとき、どうしても一部の人に仕事の配分が集中してしまうことがあります。
 
私はそれでもやはり、まずはうまくやれそうな人に依頼すべきだと考えています。過去の経験では、できる人というのは私の想定以上のパフォーマンスを出すケースがほとんでした
 
と「組織をうまく運営する」というよりは「組織体のパフォーマンスを上げる方法」といったところが顔を出すのはやむを得ないが、一方で、会社などのオフィシャルな組織だけでなく、いわゆる「組織」全般でのリーダー論として汎用性は高い。
 
 
ただ、もちろん
 
駆け込んできた人に対して「解決策を考えてからもつてこい!」という対応をしてはならないということです。
なぜなら現場で解決策を考えているうちに、解決できないところまで状況が進んでしまうことがあるからです。
 
といった組織運営のコツも披瀝されているのでご安心を。
 
初版が2013年であるので、すでに4年が経過した本ではあるが、基本書は少々以前の本であっても、目を通しておくべきで、この本もその「基本書」の一冊である気がしますね。
 

サラリーマンにいつか訪れる「定年後」を機嫌よく生きるための処方箋 — 楠木 新「定年後 50歳からの生き方、終わり方 」(中公新書)

自営業やフリーランスの人、あるいは経営者の方々には、「定年」なんて他人に決められた物事に様々なことを左右されるなんて、といった思いがるだろう。しかし、今のところ、日本の多くの人は「勤め人」であることに間違いはないし、ましてや、高度成長からバブル、ロスト・ジェネレーションの時代と時は巡っても、未だに「勤め人」「サラリーマン」になるために、就職戦線が活発なことは間違いない。
 
本書は、そういう「定年」を扱ったもので
 
プロローグ 人生は後半戦が勝負
第1章 全員が合格点
第2章 イキイキした人は2割り未満?
第3章 亭主元気で留守がいい
第4章 「黄金の15年」を輝かせるために
第5章 社会とどうつながるか
第6章 居場所を探す
第7章 「死」から逆算してみる
 
となっている。読後感としては、どうしても「男目線」からの定年論となっているのは筆者が「男性」であるゆえかも知れず、さらには、同じ勤め人であっても、家庭経営という別事業を抱えながら働いている「キャリアウーマン」とは、会社や役所への依存感が違うからかも知れない。
 
とはいっても「男性」であり、かつ結構、「社畜」であったと思う当方にはこの「定年」本は身にしみることも多くて
 
会社員生活を直線的な上昇イメージの連続で捉えると、いずれ自分の老いや死の現実にたじろがざるを得なくなってしまう。
逆に、上昇するイメージにとらわれなくなると、年齢を経ながら新たな自分を発見できる可能性が広がり、同僚や上司だけでなく子どもや老人の素晴らしさも実感することができる。
また会社や家族、自分の住む地域の姿も違って見えてくるのである。
社内の中高年の時期を自分の到達点と見る考えから脱出しなければならない。
 
といったあたりは、会社人生も最終コーナーに至り、自らの着順がはっきりしてきた我が身を思わず振り返って、今まで置いてきたものに思いをはせてしまうんである。
 
まあ、今まである程度「会社人間」でなければ、会社人生を振り返って「定年」という強制的な退場に思いをはせることはない。ただ、人生80年はおろか、100年となろうとする中では、会社の「定年」で人生が終わらないことは明白で、会社人生を人生の一コマと割り切り覚悟ないと、どうも機嫌よく寿命を全うできない時代であるらしい。
 
本書によれば
 
私は、中高年以降に新たな働き方を見出した数多くの会社員を取材してきた彼らの多くは、会社員人生から見れば「挫折」と思えるようなことを経験して、そこからイキイキとした働き方、生き方を見出している人が多い。
 
ということで
 
それでは会社の仕事以外のものを手にするのにどのくらいの時間軸で考えればよいのだろう。
中年以降に会社員から転身して別の仕事を始めた人たちのインタビューを繰り返していた時に「一区切りつくまで3年」と発言する人が多かった。
 
ということを前提に
 
1点目は、何に取り組むにしても趣味の範囲にとどめないで、報酬がもらえることを考えるべきである
 
2点目は、望むべくは自分の向き不向きを見極め、自らの個性で勝負できるものに取り組むことだ。
 
ということが定年後の長い人生を機嫌よく暮らすことには重要であるようだ。
 
要するに、定年後は
 
定年後にイキイキと過ごしている人たちの共通項は何かと、ノートに一人一人を書き出して眺めていた時に、はたと気がついた。
彼らは、このローカル路線バスの旅をしているのではないかと思ったのだ。
つまり目的地へ向かうコースを自ら選択して、周囲の人の助けを借りながら進む。
高速バスやタクシー、鉄道に乗るのとは違って、自分が進む道筋を自分で切り開いている。
決して他人任せにしていないのである
 
といった本書の最後の方のアドバイスをもとに、自分の目線と判断で、自分の好きなこと・やりたいことをやっていくってことが必要なのかもしれません。でも、これって、今時、勤め人でなく、フリーランスを薦める場合に言われていることに似てませんか・・。
 

「現場の力」を発揮する方法論とは — 遠藤功「未来のスケッチ」(あさ出版)

企業や組織の成功譚に起因するビジネス書というのは、一種の危険性を有していて、その企業なりが時間の経過で業績を凋落させたり、不祥事で非難を被ったりすると、そのビジネス書で推奨した手法なりも、もろともに葬られてしまう。
その点、本書でとりあげる「旭山動物園」は、ひと頃よりは落ち着いたとはいえ、160万人の入場者が続いているようで、本書で説かれる手法やノウハウもまだ有効性をもっているといっていい。
 
構成は
 
プロローグ 旭山動物園の「現場力」を支えるもの
第1章 すべては「一四枚のスケッチ」から始まった
第2章 本物の競争力はどこから生まれるか
第3章 ほかと同じものを作ってもしょうがない
第4章 元気で強い「現場」をつくる三つの要因
第5章 「串団子」で個を活かす
第6章 顧客の「感動」が最大のマーケティング
第7章 大切なのはチャレンジャーであり続けること
エピローグ 「明るく、正直で、前向き」であることの強さ
 
となっていて、組織の成功の「昔話」の部分もあることはあるのだが、どちらかといえば、その「成功」の要因分析の記述が多いのが本書の良心的なところであろう。
 
で、本書で重要視されるのは「現場」ということで
 
語られる言葉が後ろ向きなものばかりでは、現場のモチベーションはずるずると低下していきます。現場が活力を失えば、同時に危機に耐えうる粘り強さも失われていきます、厳しい環境を乗り越えるときこそ、目線を下げ、未来を志向するための「旗」が必要なのです。辛くて大変なときだからこそ、夢を語り、理想を掲げる。それによって、いま直面する危機に立ち向かいう力も湧いてきます。
 
といったところは、いわゆる「現場主義」の論述と同じであるのだが、
 
うちは「串団子」なんです。団子ひとつずつを見れば、大きい、小さいといろいろある。大切なのは、それぞれの団子が一本の「軸」に刺さっていること。「軸」に刺さってさえいれば、大きい、小さいは個性であり、その個性を活かせばいい
 
といった、「本社」と違って「現場」の能力の不揃いなところや、
 
行動展示というイノベーションは、現場がこうして積み重ねてきた小さな創意工夫の総称といっていいでしょう。
イノベーションは一般的に「革新」と訳され、ものごとが一気に変わっていくことを連想させます。しかし、旭山動物園の場合、一日にして革新が起きたわけではありません。現場が一つずつ小さな創意工夫を積み上げて、振り返ってみたら、行動展示という大きなイノベーションとなり、差別化につながっていったのです
 
といった予算や人員が限られた現場の状況を踏まえた論述がされていて、よくある、本社から見た「現場重視」論であるとか、上から見た「現場認識」によくある「虚構の現場」に陥いっていないところは好印象。
 
もっとも、こうしたイノベーション、組織改革が成功しても、いつの間にか雲散霧消してしまうことはよくあることで、本書にいう
 
その多くはたとえ差別化に成功しても単発で終わってしまい、後が続きません。属人的なアイデアや小手先の差別化に終始しているからです。差別化とは、「信念」で裏打ちされた自分たちの存在理由、つまり「自社らしさ」にこだわり続けることにほかなりません
 
といったことに継続的に心せねばならないのは間違いない。
ともあれ、「思いを形にする方法」とか「現場重視のリーダーの在り方」とかは本書に直にあたってもらうとして、
 
旭山動物園が自らの現場力を高めることができた要因は、三つあると考えています。まず「何でも自分たちでやったこと」、次に「失敗を恐れずにチャレンジし続けたこと」、そして「現場の一人一人に、強烈な使命感があったこと」
 
という言葉を胸において、現場が頑張り、頑張れる体制・仕組みをつくることが一番大切なのかもしれんですね。