カテゴリー別アーカイブ: 仕事術

「会議」というシステムの有効性を今一度考えてみる。

DIAMOND ONLINEで「最高品質の会議術」を書いた前田鎌利氏の連載がされていて、その中で
 
「質の低い会議」=「ムダな会議」を放置しているチーム・企業がその活力を失う一方、安直な「会議不要論」に乗せられて「必要な会議」までも中止するチーム・企業も必ず混乱を招く
 
といった言及がされている。そういえば、うちの組織でも「会議」ってのは開かれるんだが、トップの意向を示す「御前会議」や、何かを決めるというより情報共有が主であったりと、相変わらず有効な「会議」というのが少ないな、と感じた次第。
 
ただ、ではこれをメールによる周知とか、メール協議により意思決定で置き換えたほうがいいかというと
 
 
 
どれだけ便利になっても、最後は相手の顔を見て話すことに意味があります。オンラインチャットに下記音でいる最中でも、「じゃあ、直接話そうか」と言って、ハングアウトを立ち上げて、いきなり会話を始めます。表情が見えると、お互いに考えていることがダイレクトに伝わるので、文字だけや音声だけのやり取りよりもあるかに効果が高いと実感しています。
実際に会えば、先送りすることもなく、その場で問題が解決していきます
 
 
実はマイクロソフトやデロイトコンサルティングといったグローバル企業では、あまりメールを多用しません。チャットや電話、打ち合わせで、スピーディーに必要な取り決めをします
 
であったりと、面と向かって話をする、音声でやりとりをすることの重要性を説くビジネス書は結構あって、広い意味での「会議」の有効性というのは、再評価してみるべきなんだろう。
 
とかく。「会議というものは旧来の「会議の参加者が一堂に会する」ということが前時代的、形式的な印象を与えるから、必要性に疑問をもたれることの多いのだが、リアルにこだわらず、一堂に顔を合わせ、音声で話をすることの有効性をもう一度考えてもいいかもしれんですね。
 

目標は秘めて、ぐっと溜めておくべきか

President Onlineの茂木健一郎さんの 『デキる人は「自分の目標を言わない」』を読んだ。

要点は

・「できる人」の特徴は、自分の目標をやたらと人に言わない

・大言壮語せずに、地道に頑張るのは日本人の専売特許ではなく、アメリカの企業でもそういうところがある。

・今は「こういうものをつくります」とPRするよりは、出来上がったものを突然動画で公開するのが主流のスタイル

ということで、ずいぶん昔に流行った「◯◯は黙って・・」というのは、日本だけの行動様式ではないらしい。

 

自己実現のノウハウ本とかでは、「目標はいろんな人にいいまくって自分が逃げられないようにする」とか「目標が実現した時をリアルに想像する」とかが、目標達成の最適手段のように勧められているものもあるのだが、意外とそういう方法は、目標が達成しな間から一種の満足感や達成感を感じてしまって、目標達成のための意欲が阻害されるという説もある。

 

中国の古には「臥薪嘗胆」ってな言葉もある。達成したい目標がおおきれば大きいほど、また世の中の動きよよろ相当前を言っている場合、中途半端な満足感を得ているよりは、じっと心に秘めて、着実に努力するという古典的なことのほうが、かえって達成のためのパワーがでるのかもしれないですな。物事は、あまりスマートに考えず、少々泥臭いことも見直したほうがよいのかもしれまんせんですな。

モチベーションの源泉は「報酬」か「満足感」か — ダニエル・ピンク「モチベーション3.0」(講談社)

ダニエル・ピンク氏の論述は「フリーエージェント社会の到来」など時代の一歩先のあたりの動きを論じてくるのが特徴で、すぐさまの利益にはならないかもしれないが、近い将来にブレイクするネタとしておさえておきたいもの。
 
本書の構成は
 
第1部 新しいオペレーティングシステム
 第1章 <モチベーション2.0>の盛衰
 第2章 アメとムチが<たいてい>うまくいかない7つの理由
 第2章の補章 アメとムチがうまくいく特殊な状況
 第3章 タイプIとタイプX
第2部 <モチベーション3.0>3つの要素
 第4章 自律性(オートノミー)
 第5章 マスタリー(熟達)
 第6章 目的
第3部 タイプIのツールキット
 個人用ツールキット
  モチベーションを目覚めさせる9つの戦略
 組織用ツールキット
  会社、組織、グループ能力を向上させる9つの方法
 報酬の禅的技法
  タイプI式の報酬
 保護者や教育者用ツールキット
  子どもを助ける9つのアイデア
 おすすめの書籍ー必読の15冊
 フィットネスプラン
  運動へのモチベーションを生み出す(そして持続させる)ための4つのアドバイス
本書の概要
ディスカッションに役立つ20の質問
自分自身とこのテーマを、さらに掘り下げるために
 
となっていて、今回のテーマは「モチベーションを上げる方策」。
 
「モチベーションを上げる」というと、組織体制がどうとか、心理的なものがどう、とか心理学、経営学、教育学などなどの指揮者が入り乱れて面倒くさいのが、本書の論点は一つ。
 
「今どきの人は金や地位だけではやる気をださないのではないの」
 
ということ。
 
氏によれば、モチベーションには三段階あり、
 
モチベーション1.0は人間は生物的な存在なので生存のために行動する
モチベーション2.0は人には報酬と処罰が効果的だとみなす
モチベーション3.0は、人間には、学びたい、想像したい、世界をよくしたいという第三の動機づけがある
 
ということであるらしい。そして、
 
報酬には本来、焦点を狭める性質が備わっている。解決への道筋がはっきりしている場合には、この性質は役立つ。前方を見すえ、全速力で走るには有効だろう。だが、「交換条件つき」の動機づけは、ロウソクの問題のように発想が問われる課題には、まったく向いていない
既存の問題を解決するのではなく、新しいことを次々と応用する必要がある課題に対して、これと似たような現象が起きる
 
外的な報酬が重要視される環境では、多くの人は報酬が得られる局面までしか働かない。
 
として、今までの産業革命に始まる製造業中心の社会をリードしてきた、アメとムチのモチベーション論から、新しい対応のモチベーション論、「外部からの欲求よりも内部からの欲求をエネルギーの源とする。活動によって得られる外的な報酬よりも、むしろ活動そのものから生じる満足感」に基礎をおいたモチベーション論(筆者はこれを「タイプI」といっている)への転換を提案する。
 
ただ、この論理、製造業中心からソフト産業中心の産業社会の変化にフィットし、働く側から見ると、人間的な側面を重視してくれる歓迎すべきもののように思えるのだが、「働かせる」側からみると、ちょっと扱いづらいものであることは間違いない。というのも、「金銭」や「出世」というアメとムチの管理手法は、非常にわかりやすく提供しやすいに対し、「活動そのものの満足感」を与える方策というのはちょっと、今までの「労務”管理”」の概念を超えてしまうのである。
 
もっとも、筆者にはモチベーションの議論において「管理」とか「統制」といったものが時代遅れになっているという認識があるようだから、そもそもの土台・基礎が変わってきているのかもしれない。
 
まあ、モチベーションをいかに高めるかは、最後は個人の問題なのだが、生活を支えるという生存に関する部分もあるし、承認欲求や、生物本来のマウンティングの衝動もあるので、すべててを「活動そのものの満足感」で整理してしまうのも乱暴ではある。
一方の議論に偏しない、バランスよい議論が必要な気がしますね。
 

Google流の「よそ見をさせない」仕事環境の整備は、労務管理の究極目標か?

「世界一速く結果を出す人は、なぜメールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法」には
 
話題のマインドフルネスでは、「今この瞬間」に意識を集中します。今に集中するというのは、妄想ではなく目の前の現実と向き合うということです。
 
よそ見をせずに、「今この瞬間」に集中すれば、最大のパフォーマンスを発揮できるのです。
 
実は、グーグルではこの「よそ見をしない」仕組みが用意されているのです
 
として、日常生活の、例えば、昼食・飲み会のメニューや店選び、職場に着ていく服装のチェックといった選択の時間を省いて、日常生活をシンプルにして、不要なことに頭をつかわない、つかわせないことの効用が説かれている。
 
その「よそ見をさせない環境整備」の具体例として
 
Googleのカフェテリアは無料のビュッフェになっていて、そこで好きなものを選ぶことができます。・・・同僚と飲みにいきたいときも、社内のバーを使うことができます。・・・他にもマッサージチェアやリラクゼリセーションルームがあります・・・こうしたものは、単に社員の福利厚生ということではなく、仕事以外のことを考えずに済むようになっているのです。
 
 
日常生活はできるだけシンプルにします、たとえば、僕は、黒いシャツしか着ません。・・・スティーブ・ジョブズも常に同じような服装でプレゼンをしていましたが、それは本当に大事だと思っていること以外に頭のリソースを使いたくないからではないでしょうか。
 
とある。
 
脳のもっているパワーというかリソースが有限であるのは、誰もがよく承知のことで、「多動力」で、あのパワーあふれる堀江貴文氏が睡眠時間は削らないと言っているのも、その証左であろう。
 
であるなら、企業なり組織において、他のことにリソースを使わせず、仕事に意識を集中させる方策をあの手この手考えるのは、むしろ労務担当者の責務といっていい。もちろん、Googleのような環境を一企業で整備できるところは少ないであろうが、例えば「賄い飯」とか周辺の飲食施設と協力しての飲食や酒食の提供であるとか、いわば囲い込み的な飲食環境の提供は、仕事の能率を上げる手段として見直してもいい。ただ、レベルが高く、オシャレなものを提供しないと、今時の社員は使わなくなるだろうから、どんな環境をつくるかは、若い層を含めた社員の意見をよく聞いたほうがいいだろう。
 
ひところ廃止や縮小が続いていた社食も、タニタ食堂のあたりからふたたび見直されてきているように思うが、むしろ「効率アップ」の手段として積極的に位置づけを見直した方がよいかもしれないですね。
 
もっとも、充実した社員食堂や福利厚生も社員のパフォーマンスを上げるのが主目的となると少々味気し、なによりも、「サラメシ」の中井貴一さんががっかりしそうな話ではありますが・・・
 

立花岳史さんのブログを読んで思った「初心者が心すべきこと」

立花岳史さんが、ブログ「No Second Life」の中で、初心者ブロガーに熱いエールを送っている。

当方的に勝手に引用・要約すると、「「ブログで人生が劇的に変わる」と信じた僕の10年後」では多額の借金と離婚という中で、「人生を変える」という根拠の薄い意思で「一日3回」ブログを更新した話であるとか、「ブログ初心者が「ブログで人生を劇的に変える」ために最初にするべきこと」では、「初心者はとにかくひたすら愚直に記事を量産する必要がある」として、質やボリュームをごちゃごちゃいわずに「とにかく書いて、公開しろ」ということであるよう。そして、最近の「ブログを書くとなぜ「人生が劇的に変わる」のか」では、自分のなりたい姿をブログに書くことにより自分が変化し、それにつれ自分の周囲の見る目が変わってくることによる「劇的変化」について語られている。

ブロガーという点でいうと、「とにかく更新」というところは、当方のようなブログ年数は長くとも、更新はぽちぽちといった怠け者ブロガーにとっては耳に痛いのだが、こうした「愚直な更新」の結果が、氏の今に確実につながっていることを教えてくれる、熱い文章である。

で、思ったのは、ブログにかぎらず、「初心」というのは熱しやすく冷めやすいものであるし、冷めた時の言い訳は、とかく仕事のプレゼン以上にうまい説明ができるもの。「初心」を忘れずに「玄人」「プロ」レベルまでレベルアップするには、まず「質より量」「ホームランよりバントヒット」という気持ちで、「継続」することがなによりも大事なのだな、と改めて肝に命じる。

「愚直に」という言葉は最近ほとんど見なくなった言葉であるのだが、基本の基本としてしっかり心に刻んでおかないといけないんだな、と改めて思った次第であります。

 

アートを生み出す企業の発想法・仕事のスタイルを見てみるのも悪くない — 宮津大輔「アート☓テクノロジーの時代」(光文社新書)

チームあるいは企業で「アート」を生み出し、大きな注目を集めている、日本企業4社について、その作品のなどを通じながら、行動原理と特徴的な考え方について紹介かつ分析をしたのが本書。
 
構成は
 
第1章 チームラボ
第2章 タクラム・デザイン・エンジニアリング
第3章 ライゾマティクス
第4章 寒川裕人と座・ユージーン・スタジオ
第5章 最先端アートの過去・現在・未来
 
となっていて、多くは、これら4企業の活動のレビューなのであるが、当方的に「ふむふむ」と思ったのは、クリエイティブ系企業の
 
(チームラボ)では極力複雑な制度や規約を排し、メンバーの自主性にまかせています。したがって組織に関しても非常にフラットで、・・・専門分野ごとのチームに分かれていますが、これらのチームには部長や課長といった固定的な役職は存在しません。・・・プロジェクト・チームごとにリーダーを決めて仕事を進めています。
各チームやプロジェクトにリーダーは存在しますが、組織はいわゆる上下関係のないフラットな状態(P58)
 
といったところもあるのだが、それよりは
 
最近多くの起業、殊にIT系で積極的な導入が図られている在宅勤務やノマド・ワーキンうを、チーム・ラボでは一切許可していません。
猪子代表をはじめ同社の役員が異口同音に唱えているのは、「ネット会議を含め、一緒に仕事をするメンバーが離れ離れな状態は、チームで成果を上げるためには不向き」(P39)
 
 
現在のテクノロジー技術では、やりとりできる情報量がフェイス・トゥ・フェイスに比べて圧倒的に少ないため、非効率であるといいます。顔を合わせることで、気づいていない領域を含めた大量の情報交換が可能となり、結果的にクリエイティブなアイディアが生み出せるからであり、業務スピードの向上にもつながるからでしょう(P40)
 
といったように、「フィジカルなつながり」を積極的に評価している点で、IT技術やAIの進化が進む中で、人間が「人間らしい」創造性を発揮するのは、意外とアナログなところを大事しないといけないのかな、と思った次第。
 
そしてそれは、「非言語が生む新しい価値」という
 
言語化される時点で多くの情報が抜け落ちるため、データ量が多く自由度の高い(加工前の)ローデータの方が優れている点。さらに言語化、記号化された時点でコピーが容易になる点から、情報伝達における優先順位が、体感(写真)言語になるという考え方(P40)
 
を重要視することにも繋がっていて、「手書き」に代表される「アナログ性」の再評価でもあるようだ。
 
このほかにも
 
彼らの仕事、そしてチームとしての理念を考える時に忘れてはならないのが、「振り子の思想」と呼ばれている考え方です。同施行法は、ある時はデザイナーとして、また、ある時はエンジニアとして鑑上げるといったように、いつも頭の中で「振り子」を左右に動かしながら、二つの異なった視点間を行き来することを意味しています。
 
二視点間の移動・反復運動がもたらす価値とは、物事を二項対立で捉えることなく、相対化して考えることにあります。(P80)
 
とか
 
「ものづくり」と「ものがたり」
従来のプロトタイピングは、ものづくりにおける可能性を広げてきましたが、そこには「なぜ、その製品やサービスが必要なのか」という、製品開発上の最も根源的な問いに対する解決手段は包含されていませんでした(P89)
 
といった「デザインの仕事」とは異なった仕事分野にも応用可能な手法のヒントも隠されている。
 
「デザイン」という言葉が注目されて久しいが、自分の仕事には関係ないよね。と思っている方々が大半では。そういった方も、今までとは、ちょっと違った発想法や仕事術のヒントを得るために、ざっくりと目を通しておいても良いと思いますね。
 

仕事のスピードが上がらないのは「オフィス中心」の「持ち帰り意識」が原因?

先だってレビューしたグジバナ氏の「世界一速く結果を出す人は、んぜメールを使わないのか」の一節に

 

仕事を「持ち帰る」といつまでたっても終わりません。どうしてもその場で解決できないときでも、「今その場でわかること」「今返事できること」を見つけて少しでも進めておくべきです

 

テクノロジーでできることが増えた今、大抵のことはどこにいてもできます。ささいなことで「持ち帰って」いては時間をとるばかりです。

「会社が自分のオフィス」ではなく、「今、自分がいるところがオフィス」という意識をもって、「今この瞬間」で終わらせようという意識が大事なのではないかと思います。そのために使えるツールは、たくさんあります。

 

メールはというのは持ち帰り文化です。いったん持ち帰って検討してから返事1をする。でも、チャットというのはリアルタイム・コミュニケーションです。その場で解決します。このスピード感の違いが、仕事の面で生きてきます 

 

といったところがある。

 

この「持ち帰り」の意識に、今の日本のワークスタイルが「オフィス」中心のピラミッド型の剛い組織で、そのために長時間通勤や単身赴任が減らない、そして「仕事のスピードがあがらない」原因があるように思えてきた。

 

グジバナ氏の提案するところは、その場で、自分の権限の範囲で、「決めれるものは決めてしまう」という仕事のスタイルで、これが仕事をするところの自由度を高め、仕事のスピードを上げていると思う。そして、その「根幹」は仕事のやり方が「オフィス中心」なのかそうでないか、というところであると思える。

 

なぜなら、現場での決定を行おうと思っても、オフィス中心、つまりは物理的なフェイス toフェイスでの意思決定(物理的に集合する会議や紙ベースを中心とした稟議システムがメインシステムだよね)を本筋とする形態では、必ず「本拠(オフィス、本社)」に物理的に帰ってオーソライズしないと正式決定にならないから、そもそも現場では仮の判断しかだせないということになりかねず、これは、グジバナ氏の提案するワークスタイルとはかなり遠いところにある。


もちろん、欧米とは違って、社員にそうそう大きな権限が与えられるというシステムではないから、社員が個人の判断でほとんどのビジネス判断を決めるということはムリであろうが、少なくとも、チャットであるとかの正式導入で「現場」で社内の判断を求めながら「決定する」ということツールの準備とそれを認める社内慣行の整備でかなり可能になるような気がする。

特にこれからAIやRPAの導入・普及で、人間による情報収集や前例確認、あるいは単純な事務作業は「人」が必要ない環境は進展していくであろうから、「人」の役割は「決定すること」に収斂してくるのは間違いない。「現場で決定する」というワークスタイルを、どうシームレスにつくっていくか、機械的な整備や働く上での意識面での整備を、真面目に考えないといけない時期であるように思えますね。


 

批判や反対だけしてくる人にどう対応するか

先日、仕事の関係で複数人で対談する機会があったのだが、その中の一人がとにかく反対したり、批判だけをしてくる人で、司会もちょっと手を焼く事例に遭遇した。

なにせ、当日の対談の内容について「あえて、情報を入れないで臨んだ」といったことを広言して来る態度なので、まあ何おか言わんや、なのであるが、出席者の発言は発言なので、ほっとくわけにはいかない、といった状況。彼の意見へ反論を少しすると、「自分はこう思うから」といった態度で、他人の意見は全く聞き入れないので、なんとも手に負えないのである。

で、当方としては、批判のための批判のあたりは無視、彼の言葉の端っこをこちらに都合のよいようにとって、話をほかへ膨らましていくといった態度で対応。結局のところ、はたからみていると、おそらく話が噛み合わないままに終わったように見えたのであろうが、とかく批判だけしている人とは議論にならず、下手をすると中傷合戦になることが多いので、それだけは避けることができた(公開討論の中傷合戦はどちらが正しくても、あまり美しくないので、好きではない)

 

こうした時の対応で、一番まずいのは、正面から受けて議論を拡大して説得しようとすること。なにせ、相手は話題についての知識・情報をあえて少ない状態でやってきているのだがら、もともと自らの感覚だけで反応している状態なんで、感情的なやりとりに陥ってしまうことが多いような気がする。

 

こうした時の対応としては

①こちらから遠ざかっていく。離れたポジションを確保して関わらない

②別のエリアにもっていって、「すれ違い」にあえてなる

といったやり方が、こちらの被害が一番少ないと思う。

「全員がこちらを理解してくれるわけではない」、そんな感覚で物事に対処することも必要なのでありましょうね。

 

タスク管理への「救急医療」概念の導入 — 裴英洙「トリアージ仕事術」(ダイヤモンド社)

仕事をしていく上で、一番重要ではあるが、なかなか思うようにいかないのが「タスク管理」であろう。そうした「タスク管理」の手法に救急医療の概念でもある「トリアージ」という考えを持ち込んだのが本書の特徴。
 
構成は
 
序章 忙殺&プレッシャーの毎日から解放される 3つの原則
1章 仕事はトリアージで動く
2章 自分のパフォーマンスを最大化する
3章 とにかく「ばらつき」をなくせ
4章 体・コンディションの整え方
5章 人のパフォーマンスも上げてしまおう。
 
で、本書によれば、
 
「トリアージは優先づけの技術」(P22)で「トリアージとは、今、あなたがすべきことを見出し、たくさん抱えているタスクに優先順位をつけて、限られた資源を効率的に配分すること」(P26)
 
であるそうなのだが、この辺りは、通常の「タスク管理」でよく言われていることと変わらないのだが
 
トリアージの基本は、まず現状の資源で対応可能かどうか、からスタートする(P24)
 
どう逆立ちしても対処できない問題は、当面の間、優先順位から外す(P25)
 
といったあたり当面できないことも「タスク」として整理してしまい、後で混乱する
 
ただ惜しむらくは
 
優先順位のつけ方ーヒト・モノ・カネ・タイムの基準。これら4項目でそれぞれ点数をつける(P32)
 
限られた時間内でクライアントの求める最大限のパフォーマンスを挙げるためには、「ここまでは自分でできる」「ここから先は自分ではできない」と勇気を持って因数分解することが必要(P47)
 
といった感じで、「トリアージ」の具体的手法への言及はちょっと踏み込み不足であるように感じられるあたり。
 
ただまあ、「手抜き3原則}、「緊張を消す方法」とか「情報の捨て方5ケ条」といった小技は結構参考になるし、タスク管理の方法論ではないにせよ、ミスが起こりやすい状況の分析で出て来る「ボスには逆らうな」症候群、「我々はスーパーチームだ」症候群、「お見合い」症候群、「社会的手抜き」症候群は、ふむふむと頷けることが多い。
 
これ一冊で、タスク管理と仕事の管理が全て解決、といった類のものではないが、サイドメニュー本として、読んでおいてもよいですね
 

創業物語の「苦い」部分も書かれているのが良いね — 遠山正道「スープで行きますー商社マンがSoup Stock Tokyoを作る」(新潮社)

 三菱商事の商社マンで、食品産業とは縁のなかった筆者が、日本で初であろうスープのファストフード専門店の立ち上げから、軌道に乗せるまでの奮闘の数々を綴ったもの

 
構成は
 
第一章 成功することを決めた
第二章 Soup Stock Tokyoの誕生
第三章 働き始めたビジネス
第四章 つきつけられた現実
第五章 スマイルズの人々
第六章 振り返りとこれから
 
となっていて、初版発行が2006年であるので、その後の事故米穀混入の件であるとか、スマイルズの分社化といったこと以前のものであるのだが、本書を読む目的は、一人の若い起業家が自分の精魂を傾ける分野を如何に見つけ、会社を立ち上げ、お決まりの経営危機をどう乗り越えていったか、といったところが大勢であろうから、そこはあまり関係ないといっていい。
 
で、こうした事業立ち上げの物語を読む際には、力点の置き方というのが、人それぞれに、あるいは読者が置かれているビジネス環境その時ごとに違ってくるのが通例で、当方的には、流行を掴んだ会社がどのあたりで危機に陥って、どう切り抜けたか、といったところにスポットで当てて読んでみた。
 
同社の危機が訪れたのは1998年8月1号店の開業から6年後、苦労はあれども店舗も増えて、さらに勢いに乗って強化展開をしようかといったあたりで、登っていくときほど足下に気をつけないとね、といった織田信長的な危機の迎え方である。
 
それは、三ヶ月にわたっての業績の伸び悩みという事態で現れ、しかも、その原因がつかめない、分析しきれないというおまけつきである。そして、三ヶ月で創業以来の蓄えを使い切ってしまうという事態を迎えるのだが、その根本原因は
 
以前よりも本部から店舗へ指示することが多くなっていました。
そこには、ブランドとしてのイメージを統一して質を良くしていこうという狙いがあったのですが、現場には、その意図まで伝わっていませんでした。
そのために、私に近い所にいる本部のメンバーが偉くて、現場は私の意図を想像するしかないという構図ができ、不満が蔓延していたのです。
また、その頃、各店が達成すべき「売上予算」が、その店舗に伝わっていないという、とんでもない事態も判明しました。
本部と店舗の聞には、いつの間にか大きな構ができていたのです。
 
 
といったことで、その解決手段が
 
私は常々、大企業によくみられる、閉塞感のある縦割りの仕事の仕方が嫌いでした。
それよりも感性を重視し、素敵な会社を作ろうと立ち上げたのがスマイルズです。
仕事の仕方も、デザインや雑誌編集、レコード製作などのような「プロジェクト型」が良いと思ってきました。背広もネクタイもしないで、異業種の才能達が意見を交換しながら物事を決めていく、あの感じです。私はそれを、「スパゲティ型」なんて呼んでいました。
しかし、これは「攻めるに強く、守るには弱い」やり方であることもわかってきました。社内の誰も、店舗の営業の結果に責任を持つ構造になっていなかったのです。
私は自分の認識が甘かったことを思い知りました。
「スパゲティ型」から「定食型」へ。おかずがきちんと仕切りに収まっている幕の内弁当のようなイメージです。分業して、それぞれの仕事に責任を持ってもらう。個人の個性を信頼し尊重すれば、自分たちらしくできるはず。とにかく、そう信じることにしました。
 
という、オーソドクスなところに帰着する辺り、「基本」を大事にすることの重要さと、すべての組織において、「本部と現場」との乖離は常に起きる課題で、しかも、経営を揺るがす事態を簡単につくり出すのだな、と改めて認識した次第。
 
 まあ、当方が取り上げたところだけではなく、創業部分であるとか、人材確保の方法であるとか、それぞれに、「ああ、こういうやり方もあるのか」と気付かされるところは多いだが、なによりも評価したいのは、経営危機に陥った時の「苦い」部分の描き方であろう。「甘い味」ばかりでは、経営書としては薄っぺらになるもので、やはり、こういう苦みがないと物事はしまらないよな、と思った次第なのである。