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「乾けない」世代の新モチベーション論 — 尾原和啓「モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書」(NEWSPICKS BOOKS)

マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員を経て、リゾートワーカーをしている筆者が、「乾けない世代」を主な対象にした、「新しいモチベーション」についての本。
 
構成は
 
はじめに モチベーション革命
第一章 「乾けない世代」とは何か?
第二章 偏愛こそが人間の価値になる
第三章 異なる「強み」を掛け算する最強チームの作り方
第四章 個人の働き方
 
となっていて、筆者のいう「乾けない世代」とは「あなたには生まれたときから「ないもの」がない。だから何かが欲しいと「乾けない」層で、その特徴は
 
「自分が頑張る意味が持てるもの」に「自分が好きな人たち」と「とことんハマる」ことを重要視する。金銭や物理的な報酬とは関係なく〝自分の好き〟を追求
 
していく世代で、他の言葉で言えば「ゆとり世代」「さとり世代」あるいは「ミレニアル世代」といわれている世代のこと。で、ちょっと「おや」と思ったのは、あとがきのところで、実は筆者は日本のこの世代がやる気もなくて「キライ」だったという点。
この点があるからこそ、「今時の若い者」論からの、やたらと煽るモチベーション発揚の啓発本に堕さずに、新しい時代の「モチベーション」論となっている。
 
そしてそれは、
 
時代は変化することが当たり前となりました。昨今の米国では、このことを「VUCA」の時代と呼んでいます。これは米国軍事大学が提唱しはじめた造語で、 Volatility(変動が大きく) Uncertainty(不確実で) Complexity(複雑に絡み合い) Ambiguity(曖昧) な時代に突入した
 
ことと無縁ではなく、今までの工業社会の中で育まれたモチベーション論が効能が少なくなっていることでもある。
当然、それは生活様式、仕事の様式の点でも変化をもたらすもので、例えばオイシックスの「50%社員」に象徴されるように
 
1年中会社勤めをするのではなく、まずは自分が生活者として生きることで、世の中の潜在的なニーズを拾ってきなさいという意図が込められて
 
いて、
 
「インサイト」が重要視され、仕事と遊びの境目があやふやとなった今では、なるべく仕事は「公私混同」で取り組んだほうが効果的
 
という、オフィスに集まって仕事を集団でするという20世紀方「働き方」の大変化をもたらすものでもある。
 
で、こういう時代に肝要なのは
 
これからは「他人から見れば非効率かもしれないけれど、私はどうしてもこれをやりたい」という、偏愛とも言える嗜好性を、個人がどれだけ大事に育て、それをビジネスに変えていけるかが資本になっていく
 
時代であり
 
自分が依存する先が一ヶ所しかないと、その一ヶ所がつぶれたときに路頭に迷うことになってしまう。変化する時代を自由に、自立して生きていくことは、何にも依存しないことではありません。むしろ依存先を一ヶ所にしぼらず、複数持つことが大事
 
であるらしい。そんな風に考えれば、こうしたモチベーション論は、なにも「ミレニアル世代」の独占物とするのではなく、当方のような、「ノンポリ世代」ともいわれる「第二」戦後世代のサラリーマン層が、定年後の人生100年時代の生き方として参考となるな、と感じた次第。本書によれば、
 
あなたの「好き」「あなたの歪み」は、他人にとって、今ある世界を新しい意味で楽しむことができようになるための源泉
 
となるらしい。年齢によらず、「好き」に邁進してみてもよいかと思いますね。