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「デザイン」という視点からの仕事術の提案 — 佐藤オオキ「問題解決ラボ」(ダイヤモンド社)

仕事術にも流行り廃りがあるのは当然のことで、一頃は数値やデータをやけに強調した分析的な仕事術の流行が、その几帳面さゆえか盛りをすぎたように思ったら、「デザイン」という直感的なところに基礎を置く仕事術が隆盛となってきた。

その先頭にいると思えるのが、デザイナーであるとともにアイデア、発想法の著述など八面六臂の活躍している本書の筆者「佐藤オオキ」氏であろう。

構成は

第1章 デザイン目線で考えると、正しい問いが見えてくる

第2章 デザイン目線で考える、とありそうでなかったあ「アイデア」が見えてくる

第3章 デザイン目線で考えると、ホントの「解決法」が見えてくる

第4章 デザイン目線で考えると、刺さる「メッセージ」が見えてくる

第5章 デザイン目線で考えると、見えない「価値」が見えてくる

となっていて、「デザイン」という視点から、仕事の様々な面をとらえ、うまいやりかた(あえて効率的とはいわない)を提案するのが本書。

ただ、「デザイン」目線でやればすべてがうまくいくとは思うべきではなくて、むしろ、データや数値に重点を置いた経営分析、効率一辺倒の仕事のやり方の行き過ぎ部分を修正したり、うまくいってないところの置き換えといった形で考えるべきかなと思う。

その意味で

間違えてもいいからできるだけ早く行う(P81)

といったところは、一般の仕事術と共通するところであるし、

「半歩前がちょうどいい」

「誰も見たことがないもの」は「誰も求めていないもの」と紙一重(P7)

本物の「いいアイデア」とは1つのアイデアからどんどん派生していく、広がっていくもの。

多くの人の頭の中で化学反応を起こし、様々な問題解決に応用され、自分の知らないところで成長して独り歩きしていくのが、本当に良いアイデア(P13)

アイデアは探さないほうがいい。周りにあるものを「ボヤッと見」する(P40)

アイデアの原材料となる情報を収集するコツとしては、白黒をつけずに「グレー」な状態を維持すること

数字でも文字でも人の感情でも、どんな情報であっても必ず頭の中で「ビジュアル化」する

できるだけ、ポジティブに物事を考える(P70)

といったところは、通常の仕事術で壁にぶつかった時に有用な「デザイン」目線ならではのものであるだろう。

さらに

「めんどうくさいこと」こそ、全力でトライするように意識すれば、チャンスは自然と寄ってくる。めんどうくさいことを避けていると、決して真の問題に気づかない(P37)

ものごとをフラットに観察し、新しい切り口を発見する「眼」と、それをしっかり形にしていく「根気強さ」、それと自分の考えを正しく伝える「コミュニケーション能力」さえあれば、デザイナーとして食いっぱぐれることはない。その適性を見分ける方法は「例え話が上手かどうか」(P165)

といったあたりは、「デザイン」目線をこえて、仕事術の根本の提案ともいっていい。

ともすれば、我々の仕事のスタイルは硬直しがちである。「デザイン」という文系・理系どちらの視点にも属さない立場からの「仕事術」「アイデア術」は、軽いショックとともに新しい視点を提供してくれるのではないかな。

デザイナーによるプロジェクトの仕上げ方 — 佐藤オオキ「ネンドノカンド 脱力デザイン論」

デザイナーというよりは様々なものの「プロデューサー」「プランナー」という側面の強い佐藤オオキ氏のエッセイ集というか、「デザイン」「アイデア出し」といったことを中心にしたネタ本という感じ。

様々な斬新なプロダクトを生み出し続けているデザイン事務所の主宰だけあって、”お”と思う言葉が満載で、

日常生活を過ごしていると、空気や水のように体を通り抜けていく様々な要素があります。その中でフィルターに「ひっかかる」わずかな差異や違和感がそのままデザインの素になっている気がします(P12)

フィルターになるべくいろんなものをひっかけるためには、「脱力」することが一番効果的です。「脱力」が必要なのは、やみくもに「当たり前のこと」を遮断してしまわないようにするためです。「当たり前のこと」からいいアイデアが生まれることがあるのです(P13)

打開策の一つとして「椅子の上に立って見る」というのがあります。ものすごく高市から俯瞰するわけではなく、デスクの上でにらめっこしていた対象物を「ほんの少しだけ」引いて見る感覚です(P21)

といった「力を抜く」「大所から見る」ということを”アイデア出し”の中心に据えた人をあまり知らない。

かといって、ふわふわ、ゆったりとした作業を勧めているのではなく

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