直木賞作家の三浦しおんさんのお父さんである、三浦佑之氏による風土記を中心として、古事記、日本書紀の、統一される過程での日本、ヤマトについてまとめられたもの。
三浦先生とは、仕事の関係で宴席を供にさせていただいたことがあるのだが、温厚な人柄でありながら、ピッと核心をえぐるようなことを穏やかに言われる鋭い方でありました。
では、ありますが、今回の「風土記の世界」は、風土記はおろか、古事記も日本書紀もマンガ版でしか読んだことのない当方にとって、古代日本が、他の国と同じように麻のごとく乱れたものが統一されたもので、地域には様々に思いとか悔しさなどなどが残った「ヤマトによる統一」であったんだろうな、と思わせ、歴史・古典解説本ではあるが、ワクワクと読んだのは事実。
構成は
はじめに
第1章 歴史書としての風土記
1.律令国家をめざして
2.「日本書」列伝の痕跡
3.「日本書」志の構想
第2章 現存風土記を概観する
1.常陸国風土記のあらまし
2.出雲国風土記のあらまし
3.播磨国風土記と豊後国・肥前国風土記のあらまし
4.古老相伝旧聞異事について
第3章 常陸国風土記ーもうひとつの歴史と伝承の宝庫
1.倭武天皇はなぜ存在するか
2.「夜刀の神」をめぐる地方と中央
3.松になった男女
第4章 出雲国風土記ー神の国ともう一つの文化圏
1.撰録者としての出雲国造
2.王権としての出雲ー国引き詞章と語り部
3.出雲神話にみる日本海文化圏
4.カムムスヒー出雲国風土記と古事記をつなぐ
第5章 語り継がれる伝承ー播磨国風土記と豊後国・肥前国風土記
1.笑われる神と天皇ー播磨国風土記
2.速津媛ー豊後国・肥前国風土記
3.遠征するオキナガタラシヒメー肥前国風土記と日本書記
4.稲作をめぐる伝承ー事実を保証する方法
まとめにかえて
となっていて、現存する、常陸、出雲、播磨、豊後・肥前の風土記ごとにその特色とヤマト政権との関係や、編まれた特殊さなどが記されている。
で、国文学の権威でありながら、論説は結構過激で