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大和と出雲の抗争は、現在の東京と地方の関係の先例か? — 水木しげる「水木しげるの古代出雲」(角川文庫)

最近仕事の関係で、鳥取県西部から島根県東部の歴史の本を読んでいるのだが、先月に開催された井沢元彦氏と三浦佑之氏のシンポジウムで出てきたのが、この本。
水木しげる氏は山陰の出身でもあるので、鬼太郎もの、戦記もののほかに晩年は、こうした”出雲神話””大和政権に滅ぼされた出雲族”ものが多くなっていたような気がする。
構成は
プロローグ
第1章 天地創生
第2章 アマテラスとスサノオ
第3章 出雲神話
 1 ヤマタノオロチ
 2 国引き
 3 因幡の素兎
第4章 オオクニヌシの試練
第5章 スクナビコナとオオモノヌシ
第6章 アメノヒボコ襲来
第7章 国譲り
第8章 謎の出雲青年
第9章 出雲大社造営
エピローグ
水木しげるの古代出雲 番外編
となっていて、本編の第1章から第7章までは古事記や出雲風土記の出雲神話の水木流漫画というところで、ところどころ筆者の解釈も入るのだが、まあ通説というか穏当な成り立ち。第8章のところで、水木しげる氏の夢に”滅ぼされた出雲族”を名乗る青年が登場するところから、話は「大和 VS 出雲」といったことに発展し、そして、実は古代日本の歴史の真相は・・・、といったところになるのだが、これ以上ネタバレすると営業妨害になりかねないので、後は原書で読んでいただきたい。
ただまあ、中央に対して辺境を持ち上げないといけないのは、このブログの本旨でもあるんで、ちょっとばかり踏み出すと、中央の歴史は勝者の立場から書かれることが多数であるので、抗争の歴史や踏みにじった辺境の歴史は、やはり現地で、現地の言い伝えなどをもとに想像を広げないと真相はでてきないよな、というのが実感。
大和政権が踏み倒していったところはおそらくは出雲だけでなく吉備とか東北とか数々あったはずで、中心部が大和で平和に日本が統一されたというのは幻想に近いような気がする。
最後の番外編は、出雲族の青年のお告げに導かれた、水木しげる氏の出雲を中心とした島根県東部の取材ルポといった風のもの。旅行エッセイの感じで読めばよい。
冒頭のシンポジウムで井沢元彦氏も言っていたように思うが、出雲神話の入門編としておススメですよ。