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奇妙な味のグリム童話 — 高橋葉介「ストーリィ−テラー」(ぶんか社)

毎度おなじみの奇妙な味の作者、高橋葉介の手による「グリム童話」である。

設定は、「月刊テラァ・ストーリィ」の編集者、九鬼奇句子(くききくこ)が一般の人から聞く不思議な体験、目撃談が紹介されるというもので、収録は

赤ずきん

ヘンゼルとグレーテル

ラプンツェル

ハーメルンの笛吹き

眠れる森の美女

シンデレラ

夏の庭、冬の庭

白雪姫

長ぐつをはいた猫

青ひげ

オオカミと7匹の子ヤギ

漁師とおかみさん

ろくろくび

おはなしの原典

の13篇+解説1篇。

で、グリム童話の設定や雰囲気を活かしながら現代(といっても昭和初期のイメージなのであるが)風の物語にしたてたストレンジ・ストーリィ−。

例えば、

就職難の折、小さな会社にやっと入社した女の子がはじめて本社に書類を届けにいかされるのだが、赤いベレー帽をかぶっていけといわれ、ついた本社で女社長の前で書類を開くとそこには・・(赤ずきん)

といったのや

家出した少女が、豪邸に連れて行かれ、そこの老主人の相手をさせられるのだが、その都度、相手は若返っていく。ついに年老いた少女は町に置き去りにされるのだが、彼女は、老主人からもらった靴をかかえて・・・(シンデレラ)

といった風に、怪奇風味だけでなく、皮肉な結末を付け加えるのが「ヨースケ」流というもの。

そのほか子供の臓器売買屋の話(ヘンゼルとグレーテル)や継母の過去の子供に守られる少女の話(白雪姫)などなど。

ありきたりの物語に飽きたら、こうした珍味もよろしいのでないかな。

高橋葉介「怪談少年」(ぶんか社)

高橋葉介の名作といえば、妖艶で怪しげな美女が登場するホラーものというのが定番ではあるのだが、この「怪談少年」も姉「六道影絵)と暮らす少年「辻成」が出くわす怪奇譚。

収録は

「耳なし芳一」「茶碗の中」「猿の手」「竹青」「蜘蛛」「夢十夜」「笛吹かば我ゆかん」「妖女」「刺青の男」「黒猫」「幽霊屋敷」「変身」

特別収録「ハイ、オカアサマ」

ということで、特別収録以外は、古今東西の名作の題名が使われているのだが、お話は、最初の方はそれぞれの元の話の本家取りであったのだが、だんだんにもとの話とは離れていって独自の展開を始めていくところが全体を通してのミソ。

怪奇譚とはいっても、高橋葉介の描く女性が妖艶ではあるが妙な可愛さをもっているせいもあるし、主人公の「辻成」の能天気さもあってか、ソフト・ホラーといった感じで、全体の筋としては「辻成」の出生の秘密を軸にしているのだが、それぞれの話が独立したファニーテールである。

高橋葉介ファンもそうでない人も定番のデザートのアラモードといった感じで楽しめる。