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ちきりん 「未来の働き方を考えよう」

ちきりん氏の「未来の働き方を考えよう」をブックレビュー。

ちきりん氏の本は実は3冊ともリアルないしは電子本で保有していてはいるのだが、今のところ読了したのはこれが最初の本。
メイロマ氏と同様、好きか嫌いか両端に分かれる可能性の高いコラムニストではあるのだが、論客であることには間違いない。
ちきりんさんのブログは特に「うむ」と唸らされ、時に「ん」と疑念をもったりと、まあ付かず離れずといった感じで購読しているのだが、この「未来の働き方を考えよう」は世情、彼女のキャリアが恵まれているからでしょ、とか、ブログが売れてるもんね、とかamazonでも否定的な談話がない訳でもないが、私的には次代に「働き方」を思い描き、あるいは考察するのに読んでおいたほうが良い一冊として上げておきたい。
特に「ワークシフト」を読もうか、と思っている人はどうかすると「ワークシフト」より先に読む方が指南書駅な位置づけとしてよいのかもしれない、と思う次第。

序章 ”働き方本”ブームが示すモノ
第1章 現状維持の先にある未来
第2章 世界を変える3つの革命的変化
第3章 新しい働き方を模索する若者たち
第4章 ふたつの人生を生きる
第5章 求められる発想の転換
終章 オリジナル人生を設計するために
という感じで、有り体な感想を言えば、第3章までは、よくある「働き方本」と同工異曲(筆者の40歳までの経験や統計的なデータがでてくるのが他の本、特に若書きのものとの違いではあるのだが)の感が強いのだが、本書の真骨頂は第4章。「40代後半で働き方を選びなお」そうというところだろう。

正直なところ齢五十を過ぎ、一応の定職に就き、部下という存在も一応あり、役職というものも一定程度ある、という我が身に照らすと、これからは競争が厳しくなりますよ、組織に頼って生きるってのは社畜ですよ、悔い改めて弱肉強食の世界に躍り出るか引退しなさい、という雰囲気がぶりぶり出ているモノや定職なんてのは愚者の真骨頂で働かないほうがいいのよ、てな「働き型本」「ノマド本」には「テヤンデぇ、お前らの仕送りはお父さんやお母さんがしてきたんだぞ、この野郎(野郎だけではないかもしれないが)」と悪態をつきたくなる世代なので、ちきりんさんの「今まで20年から30年間働いてきたんだけど、これから70歳代まで、さらに20年から30年同じ仕事を続ける気がある?」という問いかけのほうが、ストンと落ちてくるのである。

冷静に考えれば、昔は50歳や55歳が定年年齢であったものが今は60歳まで伸び、さらには65歳まで延ばす(高齢者の活用なのか、年金支給の関係なのかは知らないが)、そしてさらには70歳代へ、という流れが起きているのは間違いないし、人の寿命も伸びていっているのは間違いないので、ここらで人生90年を見据えて、一体自分はいつまで働く気があって、どんな働き方をしようと思っていて、何で働こうとしているのかってことは、高齢世代に突入しつつある我々の年代こそ考えていかなければいけないものなのかもしれない。
そう考えた時に最初の就職は口に糊するため、40歳後半以降自分の気持ちにあわせてもう一回職業を選択し直してみる、変えないまでも考えてみる、っていうのはなんとも蠱惑的な囁きである。ま、そんな感じで、いわゆる定年なり先が見えてきた世代が、これからの働き方、ひいてか生活のスタイルをどうするか、ということを振り返ってみるにも読んでおいてもいい一冊では。
ちなみにこの本、Koboの90%割引サービスでやけに安価に手に入れることが出来たもの。リアル本では古本でないと無理な仕業だが、このあたりが電子本の良さの一つでもある(筆者にとってはどうかはわからないが・・・)

ブックレビュー 坂口恭平 「TOKYO 0円ハウス 0円生活」(大和書房)

個人的な見解でいえば、この本が出版された3年後「独立国家のつくりかた」という、かなりの奇書を出す筆者であるが、この「TOKYO 0円ハウス 0円生活」のあたりは、そこに至る種子を包含しつつも、なんとなくまだ穏やかな気がする。
構成は
第1章 総工費0円の家
第2章 0円生活の方法
第3章 ブルーの家
第4章 建築しない建築
第5章 路上の家の調査
第6章 理想の家の探求
となっていて第1章から第3章までは、隅田川の川沿いに住む「鈴木さん」という、ホームレス、いや非合法であっても「家」はあるから、ホームレスと言う言葉はふさわしくないのだろうが、まあ、そういった形の生活者との出会いと、彼らとの共同ではないが非常に近接した関係での生活についての記録であり、第4章から第6章までは、筆者がなぜ建築を志、なぜそれから離れ0円ハウスに至ったかの記録である。
個人的に爽快であるのは、やはり「鈴木さん」の0円でいかにして家を建て、0円でどうやって暮らしているかという第1章から第3章のところで、どうやってというのは、捨てられているものの再利用であったり、生活費はアルミ缶の回収であったりと、まあ想像の及ぶ範囲であるのだが、想像を軽く超えていくのは、そうした暮らしを、彼らは非常に楽しんで、悩むこと少なくやっているのである。いわば過度に所有しないことによる自由さ、例えが正確かどうかわからないが狩猟・採取民族のような自由さが感じられるのである。
当然「狩猟・採取」であるから、不安定さというのは内在していている。アルミ缶の収集は人との競争でもある上に一定していないものであるし、0円で建設したブルーシートハウスも、国土交通省の役人の点検が入ると撤去を余儀なくされる代物だ。
しかし、より多く所有すること、より高い所に行こうと血道をあげている私なんぞの目には、その不安定さの上に理客しているがゆえに彼らのもつ生活の自由さがより際立つのである。
筆者は、この本の最後のほうで
「自分で考え、自分でつくる」
生活、家、仕事、人間関係・・・。鈴木さんの身の回りのあらゆることにこの思考が詰め込まれている。そしてこれが、小学生の時に僕がなりたいと思っていた建築家の姿でもあった。
といった言葉を提示してきている。
誰でも心持次第で「建築家」となれるのかもしれない。

ブックレビュー 立花岳志「ノマドワーカーという生き方」(東洋経済新報社)

最近流行のノマド本なのだが、普通のノマド本と思って読むと少し期待外れだろう。
ノマド本といえば、おすすめのWifiカフェやコワーキングスポットがどう、とか、電源を確保するためにどう、とか、いつものカバンの中身は、とかそんな話題に終始するのだが、ちょっと本書は違う。
構成は
はじめに
Chapter1 これがフリーブロガーの一日だ
Chapter2 ソーシャルとブログによる個人メディアの威力!
Chapter3 社長の座を辞してなった僕の職業は「ブロガー」
Chapter4 フリーブロガーの「デジタル・セルフマネジメント」ノマド&クラウド徹底活用術
Chapter5 今日からできる「個人情報発信」のススメ
となっていて、この目次を見てわかるように、ノマドのワークスタイルのレクチャーというよりも、「ブロガー」としての生き方を吐露したのが本書といっていい。
で、本書で著者が語っている、「ブログ」への思いはかなり強いものがあって、「人生を劇的に変える」ためにブログをはじめ、結果、会社をを辞め、専業のブロガーとしてやっていく覚悟と日々の生活のブロガー・ノウハウが縷々記されている、ということだけで、ブログをちょっと本気を出してやってみようかな、という諸氏は、本書を読んでおいて損はない。
というか、へなちょこブロガーの当方としては、「ブログを書く」という選択をし、優先順位を決めたら一日24時間の中で何を止めてブログの執筆にまわすかですよ、とつきつけらるあたり、たははと笑って膝を折って反省しないといけないのである。
本書は、すべてのへなちょこブロガーは、反省しつつ読まなければいけない書物かもしれないですな。と、まあ、本書で紹介されているブログを書くコツ的なものは別途レビューするとして、ひとまず本書のレビューはこのあたりで。

本田直之「ノマドライフ」

最近ノマドのオピニオンリーダーともいえる安藤美冬さんの登場が増えたなと思ったら、賛否両論、個人的には結構喧々囂々となっているように思える「ノマド」論争なのだが、ノマドっていうのは喫茶店やファーストフード店を電源を探してうろうろと彷徨うことではなくで「暮らし方」「ライフスタイル」なのだよ、と主張しているのが本書。
ノマドは最近流行の言葉といってよく、いつぞやNHKのニュースで取り上げたことがあって、少し驚いたのだが、PCを抱えてオフィス以外のところで仕事をするっていうのが際立っていて、そこの根底にある、一定の組織に永続的に所属しない自由さと不安定さの側面が隠れがちであるように思える。
そのあたり、本書は、ノマドの持つ精神性に着目して語られているようで、ノマドというライフスタイルが、組織に所属するサラリーマンやフリーランスという勤務の在り様ではなく、組織というものとの所属関係や立ち位置、自分が生きていくうえでの精神的な拠り所をどこ置くか、ということ抜きでは語れないということをわれわれに示してくれている。
個人的に肝だと思っているのは、ノマドというライフスタイルで重要なのは「捨てる事」「減らすこと」であり、どこまで身軽になれるかっていうことではないだろうか
こう書くと、すんでいる住居や部屋を持たず、トラベルバックを引いて、ホテルや友人宅を泊まり歩くことか、ってな感じでショートカットしてしまう人がいるので要注意。けして、そんなことではなく、毎日の生活やビジネスの中で実績はきちんとしながら、いかに古びてしまったものを捨て、新しいものを取り入れていくか、しかも、溜め込むではなくいかに身軽に、軽やかに動ける形に自らを仕上げていけるか、ということなのだろうか。
本書の構成は
Chapter1 なぜ、ノマドライフなのか
Chapter2 ノマドライフの実践 ワークとテクノロジー
Chapter3 ノマドライフの実践 お金と生活
Chapter4 ノマドライフの実践 思考のトレーニング
となっていて、極く私的に記録しておきたいのは「仕事のトレーニング」のところ。
そこではノマドライフを実現するために
①週1回「会社に行かない日」をつくる
②机の引き出しを空にする
③デスクトップPCはいらない
④ガラケーをやめる
が肝要であるとのこと。
こちらも賛否両論あるとは思うが、個人的には①と②のあたりは「定住」「定着」というある意味居心地のよい環境から離れるために特に心がけてもいいかと思う。
筆者の言によればノマドライフは「誰にでもできるか、すぐにはできない」ものなのだが、「ノマドライフを続けていると、ライフスタイルがコンテンツになる」だそうだから、ノマドという言葉に興味を抱く人は倣ってみてはいかがか。
とはいっても、会社に縛られ、自由度が失われないようにするため、『提案したいのが、あえて昇進を受けない「ポジティブ・ディモーション」』(P26)といったように、サラリーマンではなかなか思い切れない、毒もあちこちに含まれていて、ノマドライフってのもなかなかに手ごわい。
通常の人は、こうしたライフスタイルに憧れたりしながら、定住・定職生活を続けているのが現状だろうし、流行だからと皆がこうした暮らし一辺倒に染まるってのも、ちょっと画一的で怖い気がするのだが、「定住」「定着」の生活、ときおり(人によっては度々)閉塞感を感じるのは事実。そこに風をいれるために、こうしたライフスタイル無理せず取り込むのがいいのかも。