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鴨志田 晃「消える中間管理職」(アスキー新書)

 中間管理職がなぜなくなるか、あるいはなくすべきかといった「組織論」の話かと思って読み始めたが、ちょっと内容は違っていた。
 どちらかというと、IT化の進展や世界のフラット化の進展の中で、中間管理職というものがなくなっていくという現象を認識しながら、じゃあ、その中間管理職である我々は、何を目指していけばいいのか説いた本、といっていい。
 筆者は、こうした中間管理職の消滅、あるいはホワイトカラーの受難をとらえて、「ゴールドカラー」ともいうべきものに変化すべきで、それは、フリードマン(「フラット化する世界」の著者)がいう「自分の仕事がアウトソーシング、デジタル、オートメーション化されることのない人」=「無敵の民」ともいうべきで、それは、フラット化する世界で、個人として栄え、生き残っていく人なのだ、といったことを主張する。
 で、そうしたゴールドカラーになるには
  ①働くビジョンを持つ(Vision)
  ②学ぶ心を持つ(Intelligent)
  ③結果にこだわる(Trust)
  ④仮説を持つ(Assumption)
  ⑤まずは動く(Live)
  ⑥知識を蓄える(Information)
  ⑦頑健になる(Tough)
  ⑧前向きに考える(Yes)
がいったところが大事らしい。
 いったいに、IT化、WEB化、あるいはフリードマンのいうフラット化の進展の中で、働く人々の多くを占める、ホワイトカラーの「置き換え」はいろんなところで進んでいて、それは、労働が提供される場所を選ばないという点で、さまざまな空洞化をもたらしているのは間違いないところだ。
 そんな環境の中で、フラット化やIT化に侵食されない「人材」(「人財」という言葉は、この場合、まやかしっぽいので使わない)に変化してくことは、生活の糧を得るとともに、日々の暮らしを機嫌よくうっちゃるためには、非常に大事なことではある。
 ただ、なんとなく、経済構造の変化とのイタチゴッコかもなー、と思ってしまう。
 こうした、組織の簡素化というか、中抜き化は、江戸幕藩体制の時のように、準備されていた戦時体制が一挙に不要になり、しかも、体制自体は継続させねばならないといった要請がない限り、これからも加速していくであろうし、とりわけ、世界全体のグローバル化、フラット化が進んでしまった現在では止めようもないだろうと思う。そうした中で、個人が自衛していくとなれば、環境への適応変化をしていくしかないわけで、それはそれで必然だろうと思うのだが、一所懸命、山を登って、峠でしばらく休めると思ったら、また、山が聳えていた、といったある種の虚脱感というかやるせなさを予感させる。
そうはいっても、できるだけ良質の生活の糧を得ようとすれば、山は登らざるをえないわけ、まあ、頑張りましょうよ、とわが身も中間管理職である私としては、誰に、というわけでもなく励ましあってしまうことになる。
万能薬というわけでなく、ある種のカンフル剤として読んでみてもよい本である。