意識の慮外にあった古代マケドニアが以外に面白い ー 岩明均「ヒストリエ」

 
Kindleのポイント還元につられて遅ればせながら1巻を買ったのだが、読んでみると次は、次は、という感じで6巻までを一気に読んでしまったのが、岩明均「ヒストリエ」。
作者は、最近映画化されて、とたんに評判になった「寄生獣」の作者で、長年暖めていたテーマらしい。
 
舞台は、アレクサンダー大王の時期のヨーロッパ・ギリシア。
 
そこへスキタイ人でありながらギリシア人に育てられた主人公エウメネスが、父親の死で故郷を追い出され、各地をさ迷いながら、マケドニアのフィリッポス王(アレクサンダー大王の父親)に出会い、マケドニアの中枢に登りつめていく、といった筋立てなのだが、1巻〜6巻は、エウメネスの幼い頃から、放浪を経て、マケドニアの宮廷で若き日のアレクサンダーに出合うのだが、どうやら彼は多重人格らしくって・・というところまで。
 
ローマ帝国のあたりは、塩野七生さんの「ローマ人の物語」やコミックの「テルマエ・ロマエ」あたりで馴染みがだんだんできているといってもいいのだが、さすがにギリシア、それもアレクサンダー大王の登場前夜となると、茫漠としてなのがなにやらわからないっていうのが実態のところだろう。
 
ところが読み進めてみると、アケメネス朝ペルシアとギリシアの関係やら、それぞれの周囲のバルバロイといわれるスキタイなどの民族の跋扈などなど、いつの時代も同じように繁栄あり、対立ありってな感じで、今の御時世とそう変わらないとうことがわかる次第。
主人公エウメネスは、アレクサンダー大王の書記官として、その征服行に同行した人物。おそらくはこれから展開されるであろう、エウメネスの獅子奮迅の物語が、「成り上がりもの」の好きな私には、とても「良」である。
 
最後に、エウメネス・ファンを驚かせたといわれる、メディアの将軍ハルパゴスの裏切り、「ば〜〜〜っかじゃねの」の場面は1巻で出てくるので、セール料金で獲得できる率が一番高いんで、それだけでもいかがであろうか。

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