「狩る」という根源的なこと ー岡本健太郎「山賊ダイアリー 1」

 

岡本健太郎「山賊ダイアリー」(イブニングKC)は「猟師」ブーム(といっても限定的なブームかもしれないが)を元となったコミック。
「山賊」のいわれは主人公(筆者)が東京在住時、都会の彼女とデート中に、「いつか地元で猟をやりたい」と都会のフツーの女の子には禁句に近い言葉を発し、喧嘩の末、はかれた「さようなら、山賊さん」という捨て台詞が謂われのよう。


第1巻の収録は

 第一矢目 初猟Ⅰ・空気銃
 第二矢目 初猟Ⅱ・ハト
 第三矢目 猟友会

第四矢目 猟友会Ⅱ

第五矢目 カラス討伐

第六矢目 スネークイーター

第七矢目 カラスを食べよう

第八矢目 共猟Ⅰ

第九矢目 共猟Ⅱ
第十一矢目 プチ遭難

第十二矢目 ヌートリア

第十三矢目 Sniping

禁猟期 栄養補給編

の14話。


東京から岡山にUターンし、狩猟免許をとって、猟デビューをして、という猟師生活の始まりの部分。

創業物語の一番面白いところは、「事業を立ち上げて軌道にのっかるまで」というのが私の持論で、こうした始まりの物語はどういう展開にせよ新鮮である。


おまけに「猟」をとりあげた本で、解体の時の動物の姿なども描かれているのだ

が、どことなくクールなタッチで、血生臭さや肉肉したところを感じさせないのが

良いところ。


で、その生活は、というと毎日の罠の設置や空気銃での猟など、なにやらのびのび

としていて、「猟」というイメージがもつおどろどろしさは感じられない。しか

も、獲った鳥などを美味しく食しているあたりは羨ましくはある。


ただ、苦労は近所や家族の理解がないところ(当たり前か)で、解体もこそこそや

らないといけないし、奥さんを始めとした家族の獲物を見たときの拒絶反応と

か、まあ一般人なら普通そうだよな、という反応と戦わなければならないの

は、「猟師」をやる以上当然の責務と謂うべきか


「猟」の本というと鳥や動物の解体写真やイラストなどちょっとどうかなー、と敬

遠する向きもあるかもしれないが、ある意味、ゆるーい「猟師日記」なので、動物

や鳥の苦手な人でも抵抗は少ないと思う猟師本であります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました