大嶋祥誉「マッキンゼーのエリートはノートに何を書いているのか」(SB Crative)

マッキンゼー出身者による仕事術とかノート術というのは、かなり世に溢れていて、どうかすると、ここで読んだことが、あの本にも出ていて、といったことがある。当然、本書に書かれていることも、いくつかの他書とのダブリがあるのは事実なのだが、まあ、最近、記憶力の方が心もとなくなっているので、頭に染み入らせるためには、類書をたくさん読むのもよいことと認識し始めているところ。
で、構成を詳しめに紹介すると


はじめに マッキンゼーのノート術はいったいなにが違うのか


 問題解決のためのノート術へのご招待


 手を動かしながら、自分の頭で考えろ!



Chapter1 マッキンゼー流 プロフェッショナル・ノートの流儀


 そもそも「ノート」とは何のためにある?


 ノートは「第2の脳」


 ノートに対する誤解とは


 ノートはアウトプットのためにある


 ノートは過去の記録のためではなく、よい未来をつくるためにある


 マッキンゼー流ノート術で大切な3つの心構え


 マッキンゼー流「3つのノート」+α


 仕事ができる人のノートも最初は汚い


Chapter2 マッキンゼー流「問題解決ノート」の使い方


 プロは「問題解決」の4つのステップに沿ってノートを使う


 ノートに向かう前に気をつけるべきこと 問題解決の「問題」には2種類ある


 STEP1 真の問題を見つけ出すためのノート


 STEP2 仮設を立てるためのノート


 ノートに問題解決全体のストーリーラインを描く


 脚本が決まったら、次に設計図を描く


 STEP3 仮説を検証するためのノート


 STEP4 アウトプットをつくるためのノート


 思考の”筋肉”をノートで鍛える


 「3の累乗の法則」でノートをつくる


 ワンチャート、ワンメッセージ


Chapter3 マッキンゼー流 ノートで結果を出す


 カオスから「ひらめき」を得る


 ノートで思考と時間と相手を味方につける


 思考トレーニングは「手」で行う


 「行動の死角」をノートで洗い出す


 思考を明確にするための「3つの図解」


 最初は簡単なグルーピングからやってみる


 ミーティングはチャートに始まりチャートに終わる


 矢印思考ノートをつくってみる


 脳が受け入れやすいノートを死守


 ノートはいつまで保存すべきか問題


 第2の脳を活用する


 赤字のノートをたくさんつくる


 グローバルな思考を助けるノート


Chapter4 マッキンゼー流 ノートで自分を磨く


 マッキンゼーで出会った魅力的な人たちのノート術


 自分の「五感が喜ぶノート」が自分を成長させる


 プロのコンサルタントはどんなノートを使っているのか?


 心を整えるノート術


 振り返りノート術


おわりに ノートを人生を良くするツールに


巻末付録 思考整理に役立つノート一覧

といったところで、マッキンゼー流のかなり隅から隅まで紹介されているという気がする。
特徴的なのは、ノートの目的が、かっちりとしていて、
仕事のうえで取るノートは、何かのアウトプット=成果物につなげるためのもの。・・アウトプットが見えてこないノートをいくら美しく取っていても、それは単なる自己満足で終わる
とか


問題解決のためにノートに何かを書いていくという行為は、ノートに書くことがゴールではありません。何かのエンドプロダクト(最終成果物)をつくるというゴールに向けて、アウトプットを意識して行うのが「問題解決のためのノート」です


マッキンゼー流のノート術の特徴は、すでに起こった過去の記録ではなく、問題を解決すること、つまり未来をよくするための「プロアクティブ」なノートというところにある
といったところは、やはり受験用とかライフログ用でないノートの特徴であって、ノートをとる3つの目的は
①思考をインデックス化する(自分の思考を整理する)
②情報や考え方を誰かと共有する
③アウトプットをつくるベースにする
と断定してしまうのも小気味がいい。
で、そのあたりはノートの大きさとか、ノートの採り方、保存の期間とか、大抵のノート術の本では「肝」のところとして書かれているあたりが
ひたすら書くといいましたが、それには理由があります。「マッキンゼー流ノート術」では、ノート上で思考を整理して、さらに深堀りし、問題解決の流れを作り出していくということが重要ですが、そこに至るまでの団塊では、あえて思考整理はせず、「ひたすら書く」というフェーズも大事になります

現場でのヒアリング段階でポイントをまとめてしまったら、自分の頭の中の枠だけで情報を取捨選択して物事を見てしまうことになるからです


とか
「問題解決のためのノート術」において重要なのは、ノートを保存する・しないということではなく、ノートを使って手を動かしているときに、どれだけ思考をダイナミックにできるかということ
とか
「ノートの大きさ」にも正解なんてありません。正解があるとすれば「自分の使い勝手のよさ」にはまるものが正解です。・・手の大きさだって個々に違うわけですから、一律にどの大きさがベストとは言えません

大事なことは「何を使うか」ではなく、自分の思考が心地よいかどうか。五感が喜ぶものを使って、その中で思考を整理し深めていくことがなにより重要なことです。
といったところが、ビジネス用の、しかもコンサルタントの「ノート」の特徴なのだろう。
とまあ、具体的な「空、雲、傘」とか有名なノート理論は本書を読んでもらうとして、ビジネス用途だけでない<心を整えるノート術>という
まず、ノートに真っ黒になるまで、自分が気になっていること、心配していること、モヤっとしていることを書き出します。
このとき、けっしてきれいに書こうなどとは思わないでください。・・・モヤモヤした気持ちをノートに転写するかのごとく、どんどん書き込んでいきましょう。すると、あるとき、気持ちがスッキリするタイミングが訪れます。
そして気が済むまでノートに書き出したら、そこでノートを閉じて、ちょっと外を散歩でもして自分を整えるのです。
そして、ちょっと気持ちが軽くなって帰ってきたら、また「モヤモヤノート」を開きます。
今度は、ペンの色を替えて、まるで自分自身のコーチになったつもりで、さっき書きだした「気になること」「モヤモヤしていること」に対して客観的なアドバイスを書き込んでいくのです。
そんなふうにセルフコーチングの観点でノートに書き入れていくと、「あれ?そんなに気にするほどでもないな」とモヤモヤがクリアになっていきます。
のあたりを引用して、この稿は了とする。

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