日本古代に「但馬」という新しい舞台が登場 ー 関 裕二「海峡を往還する神々」(PHP文庫)

国情が不安定になったり、国勢が下がっている気配が見えると、ナショナリズムが高揚するというのは、他の国々でもよくあることと思うのだが、ここ日本においては、その国の成り立ちのルーツというか、その頃の王権に関わる言説があれこれ飛び交うことが多いような気がする。
それは、本書でも取り上げているように、戦後間もないころの「騎馬民族征服説」でもあったし、竹島問題とか、歴史認識とか大陸の某国との間でギクシャクし始めたこの頃の話でもある。
構成は
第1章 渡来人と森の話
第2章 アメノヒボコの謎
第3章 ヤマト建国の知られざる黒幕
第4章 往還する神々と天皇家の正体
となっていて、関裕二氏の他の著作でもよくでているように、邪馬台国、ヤマト王権の成立時期についての考察である。
平たく云えば、機内、九州に偏重しがちな古代日本の政治情勢を、最近の考古学の発掘状況を踏まえながら、吉備(岡山)を中心とする瀬戸内海、出雲(島根・鳥取西部)を中心とする日本海西部を、それぞれ権力中心ととらえながら古代日本の政治模様を解き明かそうとする考察は、関西以外の西日本の居住する当方としては、うむうむとワクワクしながら読める題材である。しかも、瀬戸内、出雲以外の豊岡を中心とする「但馬」を権力中心として持ち出してくるあたり、ほう、こういう考えもあったか、と「ムー」顔負けの説に喝采を叫ぶのである。
ま、古代のことでもあるし、浅学非才の当方としてはどれが正しいといえるほどの学識のないのだが、いろんな異説・怪説様々にあるほうが、素人の歴史好きとしては好ましいもの。
年末年始の一時に、こうした日本古代の歴史書もいかがであろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です