高橋留美子「高橋留美子劇場 2」(小学館 Kindle版)

引き続いての「高橋留美子劇場」の第2巻をレビュー。収録作品の初出は1994年から1999年なので連載ものとしては「らんま1/2」の後期、「犬夜叉」の前期という時期。

 

収録作品は
「専務の犬」
「迷走家族F」
「君がいるだけで」
「茶の間のラブソング」
「おやじローティーン」
「お礼にかえて」

 

2巻目の中心は「家族」、しかも、どこにでもいそうな「中流サラリーマンの家族」である。「専務の犬」の主婦、「迷走家族F」の中1の女の子、「茶の間のラブソング」の幽霊の主婦ないしはその旦那、といったふうに語り手は変わるのだが、その中心は、グダグダに見えて、物悲しいが、紐帯はしっかりとしている昔ながらの「家族」である。

 

考えてみれば、昭和から平成に移る中で、我々が失ってきたのは、こうしただらしがないが、安心できる「家族」であるような気がしていて、そのあたりは、インターネットが家庭から個人へと推移する中で消えていったものであるような気がする。

 

もちろん、こうしたネットワークにどっぷり浸かるなかで、ぐだぐだではあるが居心地の良い家族関係というのもおそらくはあるはずなのだが、残念ながら、その発見者は、我々のようなインターネット草創期の人間ではなく、物心ついた時からネットワークの中にいた今のごく若い層であるのだろう。

 

まあ、我々のような中途半端なネットワーカーたちは、昭和の匂いのする、昔の自分達を懐かしみながら、わはわはと、高橋留美子の世界に浸るとしましょうか。

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