梶川卓郎・西村ミツル「信長のシェフ 6」(芳文社コミックス)

この巻では、本願寺や比叡山、浅井・朝倉軍の包囲にあって、信長の忠臣中の忠臣である森可成が命を落とすところから、本願寺との停戦、朝倉との和議による信長第1次包囲網の綻びまでが語られる。

 

読みどころ的には、本願寺との料理勝負で、ケンと同時代からタイムスリップしたらしい。「ようこ」という料理人が姿を現すこと。どうやらケンとは現代でなにやら深い関係があったそうな感じではあるが男女のもつれか、はたまたそれに起因した料理人としての諍いは不明なまま、織田・本願寺の菓子勝負に突入。結果は本書を参照いただくとして、牛脂(バター)を使った菓子に戦国時代の人々がすんなりと馴染み美味と感じたのかな、とは思わないでもないが、まあお話であるのでよしとしよう。

 

二つ目は、姉川の合戦の時同様に、朝倉の兵の士気を挫く料理のところ。織田軍とは違い、自らの土地と離れれば離れるほど、離れる期間が長ければ長いほど、里心がつきやすく脆くなりがちな兵農分離されていない戦国武将の軍隊の弱点に着目する辺り、作者の眼の付け所にほう、と頷いてよい。

 

惜しむらくは、この巻でケンと理解者・協力者としての役回りを演じてきた森可成が戦死すること。戦死は史実ゆえ如何ともしがたいが、物語の展開的には、次の適役を織田の家中で見つけられるかどうかではあるが、こいつは「7巻以降に期待」というところか

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