おなじみ、日本の文化財を活用した観光論の辛口評論のデービッド・アトキンソンの日本文化論。
構成は
第1章 確かに優秀な「日本人労働者」という強み
第2章 「長い会議が象徴する効率の悪さ」という「伸びしろ」
第3章 「数字を重視しない刑死者」という「弱み」
第4章 「面倒くさい文化」は「強み」か「弱み」か
第5章 インテレ層のち的レベry、woolly thinkingの問題
第6章 古いものと新しいものが「共存」しているという「強み」
第7章「解決能力」と「強すぎる個人主義」
となっていて、表題見る限り、我々の常識の裏筋をもってきてあるのは確かである。ただ、よくある日本と外国の比較論とは違って、「強み、弱みは経済の周期によって、時代によって強みが弱みになる」と相対論のもとで語られるところはさすが慧眼。
(日本の観光は)日本人の考える「おもてなし」を気に入ってくれた外国人だけを歓迎しますよ、というような姿勢になっている(P57)
とか
「終身雇用」というのが日本人の勤勉さと礎なんだというのはすべて後付け。その根底にあるのは「面倒くさい」を避ける気質なのではないか(P105)
や
異国の文化を取り入れて、自国の文化にマッチするようにアレンジするのは、どこの国でも当たり前のようにやっていること(P123)
といったあたりは、よくある日本文化いちばんの酒に酔ったような議論にお冷をみってくるようで小気味よいのであるが、日本人としてはむむっとくるのも確かではある。
まあ、最後のほうはさすが日本に長く住んでいる外国人だけあって、日本人をくすぐって締めては会って、日本の文化財を活用した観光の可能性とか
日本が得意なのは「新しいものを取り入れて自分たちのものにする」という世界で一般的に行われていることではなく、「新しいものを取り入れつつも古いものを残していく」ということ
といった日本人の独自性に及んでくるのは嬉しいところ。辛口なところもあるが読ませる「日本文化論」でありますな
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