田中淳夫「銀座ミツバチ物語」「銀座ミツバチ物語 Part2」(時事通信社)

銀座で「ミツバチ」を使って「養蜂」をするという、ちょっと聞いた限りでは危険なプロジェクトを、地域の住民の理解を得ながら軌道にのせ、多くの地域に広げていっている「ミツバチプロジェクト」の主宰者による集大成ともいえる2冊。

「銀座ミツバチ物語」の構成は

第一章 ミツバチとの出会い

第二章 日本ミツバチの大きな可能性

第三章 銀座教えてくれたこと

第四章 銀座の生産者としてできること

第五章 ミツバチが指し示すあるべき姿

 

「銀座ミツバチ物語 Part2」の構成は

第一章 銀座は世界最先端の「里山」だ

第二章 銀ぱちは地域おこしの震源地

第三章 急速に広がるミツバチプロジェクト

第四章 銀ぱちが結ぶ絆とソフトパワー

とそれぞれがなっていて、前者は銀座で養蜂を始める経緯から、地域おこしの代表例となるまで、後者はそれが、地元の学校をはじめ、日本全国の各地と交流を持ち始める発展編といったところ。

もっとも、銀座で養蜂を行う上での苦労とか楽しみとかそういうところばかりではないのは、この2冊の出版社が時事通信社であることでも明白で、銀座の街の現状と街おこしの話であるとか、2作目は東北大震災の被災地をはじめとした日本各地の過疎地との交流の件であるとか、地域振興の成功例といった感じで読んでもよいのだが、

ミツバチにとって熊とスズメバチは天敵で、目線上の黒くて光るものを見つけると警戒し、まとわりついてくる。そのため、カラスも追いかけるため、ミツバチを飼うと銀座の街でカラスがいなくなった(P110)

とか

8の字ダンスで蜜源の情報を集めたミツバチはまず往復分のハチミツ(燃料)を吸って飛んでいくが、蜜源を確かめた後は蜜源までの片道分だけのハチミツを吸って飛んでいく(P84)

銀座八丁堀交差点近く、佃公園、銀座6丁目の婦人服ブランドの会社の社長室テラスなどなどでのミツバチ・レスキューの活動。なかでも「みゆき通り」の街路樹で分蜂を始めたミツバチを救うため、脚立の上で頭の上に巣箱をのせて、仲間のフェロモンを感じて巣箱に入ってくるまでじっと待つ姿(P46)

などといった現場のエピソードを面白く感じてしまうのは、当方の個人的な趣味ではあるのだが、そこらの地域起こし本ではないもので、こうしたエピソードがないと「なんともね」と思ってしまうのはお許しを願いたいところ。

個人的な感想をいえば、都会の養蜂家あるいは都会でのアグリカルチャーこぼれ話として読んだほうが楽しく読めるような気がいたすのである。

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