高橋葉介「怪談少年」(ぶんか社)

高橋葉介の名作といえば、妖艶で怪しげな美女が登場するホラーものというのが定番ではあるのだが、この「怪談少年」も姉「六道影絵)と暮らす少年「辻成」が出くわす怪奇譚。

収録は

「耳なし芳一」「茶碗の中」「猿の手」「竹青」「蜘蛛」「夢十夜」「笛吹かば我ゆかん」「妖女」「刺青の男」「黒猫」「幽霊屋敷」「変身」

特別収録「ハイ、オカアサマ」

ということで、特別収録以外は、古今東西の名作の題名が使われているのだが、お話は、最初の方はそれぞれの元の話の本家取りであったのだが、だんだんにもとの話とは離れていって独自の展開を始めていくところが全体を通してのミソ。

怪奇譚とはいっても、高橋葉介の描く女性が妖艶ではあるが妙な可愛さをもっているせいもあるし、主人公の「辻成」の能天気さもあってか、ソフト・ホラーといった感じで、全体の筋としては「辻成」の出生の秘密を軸にしているのだが、それぞれの話が独立したファニーテールである。

高橋葉介ファンもそうでない人も定番のデザートのアラモードといった感じで楽しめる。

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