トニー・シェイ「ザッポス伝説」(ダイヤモンド社)

Amazonによる高額買収劇で注目を浴びた「ザッポス」の成功に至る道筋の創業メンバーの一人 トニー・シェイによるドキュメント。

構成は

Part Ⅰ 利益を求めてーザッポスへたどり着くまで

第1章 ただ、利益を追い求める日々

第2章 うまくいくこともあれば、いかないこともある

第3章 とにかく、あれこれやってみる

Part Ⅱ 情熱をかけて−成長の設計図

第4章 自分の役割に集中する

第5章 成長へのプラットフォーム

Part Ⅲ 人生の目的にたどり着く

第6章 次のレベルへの進化

第7章 エンド・ゲーム

もともとは、投資家、起業家であったトニー・シェイの子供の頃のバッジ製造販売の起業話から、ハーバード大学での学内ビジネス、ウェブのポイントサービスサービス会社リンクスエクスチェンジの起業と売却、そしてザッポスとの出会い・創業からAmazonへの売却まで、結構波乱に満ちた話が次から次へと展開される。

とはいっても、ビジネスの成功話にありがちな独自のビジネスモデルやら臥薪嘗胆の苦労話などなど、どうかするとちょっと食傷気味になるところは薄い。このザッポスの歴史も途中、9.11のテロによる不況とか、2008年のリーマンショックを乗り越えてきた筋金要りで、資金切れで倒産しそうな時があったにも関わらず、妙に明るい話に仕上がっているのは、リンクスエクスチェンジの売却の時の著者の

これまでの人生で最高に幸せを感じた時のリストを作ってみてわかったのは、幸せを感じたどの時も、お金を伴っていなかったということでした。わかったのは何かを作っているとか、クリエイティブで独創的でいると私は幸せだったということでした

といった風な、お金儲けよりも、起業によるワクワクのほうが根っから大事という起業家魂によっているところが大きいようで、それは2009年のAmazonへのザッポス売却の際も、ザッポスの独立性を確保した上での売却をまとめたところにも発揮されているといえる。

そしてザッポス興隆の原動力は、もちろん、ネットによるシューズ販売やコールセンターを経営の主軸に据えた先進性とかもあるのだが、

結局、あなたの会社のコア・バリューが「どのような」ものであるかは実際には重要ではありません。大事なのは、コア・バリューがあり、社員がそれに真剣に取り組んでいるということです(P312)

自社の商品とサービスで常に人を「ワオ!」と驚かせることに専念していれば、いずれメディアがそのことを聞きつけるということでした(P344)

といった経営理念に追うところが大きいのであろう。

経営のノウハウを学ぶというよりも、一つの企業が興隆していくさまを間近にトレースするといった風に読めばよいかな。

 

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