本屋のホームズとワトソン、書店営業と出会う — 大崎 梢「ようこそ授賞式の夕べに」(東京創元社)

成風堂書店シリーズの第3弾。今回は、書店大賞(本屋大賞のもじり、だよね)の受賞をめぐり、怪文書が届き、それをマスコミが嗅ぎつけ、本屋大賞の実施が  というストーリー立て。

本屋大賞当日の7時40分に始まり、20時30分に事件の解決をみる、という実質 13時間ぐらいの話であるので慌ただしいこと極まりないが、テンポよく進行するのと、「邂逅編」とあるように成風堂の杏子、多絵と書店営業のひつじくんたちが事件の解決に向かって、半ば共同作業をするという新味があって、最後までぐいぐいと読ませる。

話の大筋は、書店大賞の実行委員に、今の書店大賞は創設時の趣旨を損なっているといった趣旨のファックスが届くあたりから開始する。

ところが、その差し出しの「飛梅書店」は数年前に店主が急死して店をたたんだ書店で今はない。さて、誰がどんな目的で・・・といったところで、成風堂のメンバーと書店営業のメンバーがそれぞれに捜査を開始し、やがて真実に向かって大集合する、といったところ。

主筋は、誰が何の目的で本屋大賞の妨害をするのか、といったことなのだが、それとは別に、昨今の出版業界の様子であるとか、書店の経営の厳しさなどなど、「本」の業界の裏話的なことが随所にでてくるのが興味深い。

ちょっと楽屋落ちっぽいところがないではないのだが、成風堂シリーズ、書店営業マンシリーズどちらの読者にもおすすめでありますな。

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