2017-01

愛川晶

紅梅亭シリーズの円熟味がますます — 愛川 晶「うまや怪談」(創元推理文庫)

二つ目落語家の寿笑亭福の助とその奥さんの亮子さんをワトソン役に、その元師匠の山桜亭馬春をホームズ役にした紅梅亭シリーズも三作目となって、かなりこなれて、円熟味がでようというもの。 収録は ねずみととらとねこ うまや怪談 宮戸川四丁目 の3編...
池上彰

文系人間にもオススメの時事解説 — 池上 彰「この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう 池上彰教授の東工大講義ー世界篇」(文春文庫)

元ニュースキャスターの池上彰氏が東京工業大学の教授に就任し、同校で行った講義録。「世界篇」という題名ではあるが、時事解説といっていい。 収録は はじめにー「学際的教養」のススメ Lecture1 科学と国家ー自治雨は原爆を開発していた日本 ...
大崎梢

出版社営業という馴染み薄い職業の持つ面白さ — 大崎 梢「平台がおまちかね」(創元推理文庫)

ひと頃、書店ないしは書店員の内幕的なことが流行ったことがあったのだが、月日と流行の過ぎるのは早いもので、書店より校閲という地味なのに妙に華やかな女優さんを使ったドラマが人気を博したばかり。 「平台がおまちかね」はそのどちらにも属さない、出版...
トラベル

鉄道話ってのは、なんでこんなにグッとくるのかな — 高田 郁「ふるさと銀河線 軌道春秋」(双葉文庫)

時代物の若手の名手、高田 郁の手になる現代物、しかも鉄道物という結構レアな短編集。 収録は お弁当ふたつ 車窓家族 ムシヤシナイ ふるさと銀河線 返信 雨を聴く午後 あなたへの伝言 晩夏光 幸福が遠すぎたら の9話で、登場する鉄道は外房線、...
仕事術

プロジェクトを進めるに利のあるのは”個人の力”か、”集団の力”か

「タレントの時代」(書評はこちら)を読みながらプロジェクトを進めていくのに、個人の能力に頼るのがよいか、集団で運営した方がどちらのほうがうまくいくのかを考えてみた。 個人の力に極度に頼るのは、少し前、グローバリズム華やかなりし時代に、ビジネ...
歴史

大和と出雲の抗争は、現在の東京と地方の関係の先例か? — 水木しげる「水木しげるの古代出雲」(角川文庫)

最近仕事の関係で、鳥取県西部から島根県東部の歴史の本を読んでいるのだが、先月に開催された井沢元彦氏と三浦佑之氏のシンポジウムで出てきたのが、この本。 水木しげる氏は山陰の出身でもあるので、鬼太郎もの、戦記もののほかに晩年は、こうした”出雲神...
仕事術

複合機のスキャナドライバーを入れ直して、焦げ付き案件を「最初からやり直すこと」の大事さを思った

デスクトップPCの調子が悪くなって、OSの修正とかをやっていたら、CANONの複合機のスキャナが使えなくなった。 昨日までは普通にスキャニングできていたので、これはどういうことかと、CANONのHPからドライバーをダウンロードしてインストー...
ミステリー

学校図書室という閉鎖空間での”ほのぼの”する謎解き人情話 — 竹内 真「図書室のキリギリス」(双葉文庫)

学校の図書室っていうのは町の図書館と違って、その学校の教職員、生徒の利用がほとんどということで、ミステリーの舞台としては学園モノが中心となる。 この「図書館とキリギリス」もそういう側面をもってはいるのだが、主人公の「高良詩織」の前任者である...
ビジネス

さて ” Nippon” は勝利の道を歩めますか — 酒井祟男「タレントの時代ー世界で勝ち続ける企業の人材戦略論」(講談社学術文庫)

なぜ、日本のメーカーはこんなに凋落してしまったのか・・、という素朴な疑問を偉大いる向きであれば目を通しておきたいのが本書。最後のあたりは、「日本はエライ」「トヨタはすごい」という技術革新の礎とルーツは日本であった風のところは少々、大東亜共栄...