斎藤メソッド満載の「ノート」の真髄本 — 斎藤 孝「頭の良さはノートで決まる 超脳内整理術」(ビジネス社)

表題の「頭の良さは・・・」という表現にはぎょっとするが、内容的には、ごく真面目で、ノートを使っていかに仕事の質をあげるか、たくさんの仕事をするか、といった「ノート」についての啓発本。ただ、

第1章 頭の良さはノートで決まる

第2章 ノートはビジネスパーソンの必須スキル

第3章 頭と心がスッキリする斎藤式ノート術全公開

第4章 仕事のスキルを上げるノートのとり方

第5章 セミナー・勉強に役立つノートのとり方

第6章 心が軽くなるノートのとり方

といった構成で推察されるように、ノート術の「技術論」が展開したあるわけではなく、「ノートを使った仕事術」の風合いなので、ノートのテクニックやノウハウを求めている人にはちょっとピントが違うかもしれない。

ただ方法論のヒントがないわけではなく

東大合格生は、板書を写すだけでなく、授業の中で話された先生の言葉も自分のスタイルできれいに整理している。私はこれが基本だと思う。「板書+先生の言葉」というかたちだ。(P26)

とか、「頭をよくするノートの取り方」は

「攻撃的な意識」でノートをとること

話をきいている時点で「次に自分が話すのだ」と思ってノートにしないと、再生することはできない。これが受動的jにノートをとるのか、攻撃的にノートをとるのか、という意識の差だ。意識のあり方によって、話の吸収率が全然違う

もうひとつは、話されていることとリンクする自分の経験をメモすることだ。(P33)

といったあたりは、ノートの現物が掲載されていなくても、自分なりに工夫できる範囲であろう。

さらに「斎藤式ノート術」(P74)として 

1 いつもノートをカバンにいれておく

2 自分にフィットするノートを見つける

3 ノートに名前をつける

4 ページにタイトルをつける

5 三色ボールペンを使う

6 図を描く

7 ポイントを3つにまとめる

8 日付を入れる

9 ノートは1冊にする

10 本をノート化する

三色ボールペンの色の区別(P85)は

赤・・・すごく重要なこと

青・・・まぁ重要なこと

緑・・・個人的に面白いと感じた部分

本や会議に必要な資料を読むときは、三色ボールペンを片手に、線をひっぱったり、丸や四角で囲んだりしながら読む。

本の要点や資料の主旨と思われる部分に赤の線を引く。最初のうちは、青の線ばかりになりがちだが、あまり気にせずに引けばよい。あとから青の線に戻って、さらに赤の線を引くこともある。

同じように、ノートにも三色ボールペンを使う。講演など、人の話を聞いてノートをとる際には、重要な情報を赤、まぁ重要な情報を青で書き、質問・コメント・感想は緑で書く(P85)

などなど、斎藤メソッドの肝要なところが惜しげもなく掲載されていて、かなりおトクな本であることは間違いない。

はては、退屈なセミナーに出てしまった時の対処法「インスピレーションノート」(P155)や三段論法で考えをまとめる「川のフォーマット」(P90)といったものもでてくるのだが、ここらになると原典で確認していただかないと営業妨害になるというものだろう。

要は

思考の習慣とは、あれこれぐずぐず考えるより、紙の上にリストアップして、3つにまとめろ、ということだ。ムリにでも3つにまとめてみれば、的が絞れるし、なにより気持ちが楽になる(P211)

であるのだが、本書を読んで、自分のノートにあれこれ応用したり、本書にないやり方を考えてみたり、意外に「ノート」というやつは面白いもの。

できない人は「ノートづくり」にはまる(P34)

らしいのだが、少々はハマってみても損はないでありましょうな。

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