ポスト・イットを使った仕事の作法。適材適所でね。 — 嶋ひろゆき「仕事はすべて「ポスト・イット」で片づく」(かんき出版)

仕事の効率化のアナログ・ツールは、綴じられているものとそうでないものとに分けられるのだが、そのうち「綴じられていないもの」の主流は、十数年前は情報カードであったようだが、今はポスト・イットがその地位を継承している。しかも。ポスト・イットはサイズから色、フォーマットまで多種多様なものが販売されるようになっているせいか、「綴じられているもの」の主要勢力であるメモ帳の地位も脅かしそうな勢いであるような気がしている。
構成は
プロローグ ポスト・イット仕事術の仕組み
PART1 グチャグチャの頭を整理する「1分ポスト・イット 思考術」
PART2 どんどん時間と結果を生み出す「ポスト・イット 時間術」
PART3 コンサル思考が身につく「ポスト・イット 問題解決術」
PART4 高い目標も難なくクリア「ポスト・イット 目標達成術」
PART5 利益を生み出す黄金の「ポスト・イット アイデア術」
PART6 仕事が10倍速になる「ポスト・イット デジタル活用術」
エピローグ 読書、会議、資料作成にも使える「ポスト・イット応用術」
となっていて、メインは、アイデア出し、時間管理、タスク管理、資料作成といったビジネスの「肝」のところをポスト・イットで片付けていこうというもので、分類的的には「テンミニッツ」をはじめとする「フセン仕事術」の一族といっていい。
いくつか「ふむふむ」と思ったものを簡単にレビューすると
まずは「長期のプロジェクトの管理・スケジュール立て」
①まず、日付の一番下にプロジェクトのゴールを設定
②次にゴールを達成するのに必要な作業をさかのぼってポスト・イットに書き出す。それとは別のその作業の締切の日時をポストイットに書き出す
③それをA3ないしA4用紙に、貼り付ける。
Post it 01
④次に自分だけでなく、プロジェクトに関係する他者、他部門の作業もポストイットに書き出し、貼り付ける。
⑤ポスト・イットでつくったスケジュール表をコピーして情報共有
 Post it 02
⑥コピーが終わったポストイットははがして、手帳の該当する日付のところにToDoとして貼る
といったものや
①気がついたこと、役に立つと思ったことを、ポストイット1枚に1項目づつ書き出す
②読み終わったら、全体を眺めて、ダブっていたり意味が同じものは1枚にまとめる
③ポストイットを手帳やノートに貼る
④これを写真にとるか、コピーして読書録にする
⑤このリーディングメモのうち最も大切だと思うものを手帳に貼っておく
という「ポスト・イット読書術」や
エピローグのところの
①ポストイットに目次(資料の骨組み)を書き出す
②見出しや図表の位置をポスト・イットで決める
③PCで資料を作成
といった「ポストイット資料作成術」のあたり。
いずれも、ポストイットの利点である「張り替え自由」「追加・廃棄自由」といったメリットを活かした仕事術であるといえる。
ポスト・イットを使っての仕事術やメモ術は、散らかって散逸することがある、とか、保存をどうするか、といった課題があって、ノートにかわる汎用性が獲得できているとは言えない状況のように思う。ある程度、利用シーンを考えながら、PCやノートと併用するのが一番良いと思えていて、例えば「頭の中の散らかったアイデアなどを整理する」といったバラバラなものの重複をなくしてまとめあげていく、といった作業、仕事に向いているように思う。
ともあれ、こうした仕事のTipsは一つの方法で絞りこむというよりは、様々な利用シーンに応じて、一番適したTipsを使えば良いと思っているので、ポスト・イットだけにツールを限定して、ノートやメモはゴミ箱へ、といった急進に走らず、適材適所で楽しみながらツールを使い分けるのがよろしい気がいたしますな。その意味で「すべて」ポスト・イットで対応できるかもしれないが、「全て」やる必要もないような気がいたしますな。

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