生活や仕事を変える「Tips」の総覧。これだけ揃うと、かなり壮観である。 — 堀 正岳「ライフハック大全」(KADOKAWA)

副題に「人生と仕事を変える小さな習慣250」とあるように、一頃一世を風靡したが、最近はさほど耳にすることも少なくなった「LifeHacks」「ライフハック」に関しての筆者の集大成本といっていい。
構成は
SECTION00 始めよう「人生を変える7つのライフハック」
SECTION01 時間管理「時間は増やせる」
SECTION02 タスク管理「小さな勝利を積み重ねる」
SECTION03 集中力・ストレス対策「やる気も仕組み化」
SECTION04 読書・情報収集・学習「情報は減らして管理する」
SECTION05 発想・アウトプット・思考「自分だけのアイデアがある」
SECTION06 コミュニケーション&チーム「味方は増やせる」
SECTION07 日常生活・旅行「ちょっとした快適さを」
SECTION08 習慣化・やめない技術「人生を変える小さな習慣」
となっていて、LifeHacks.jpやシゴタノなどの、サイトで取り上げられる、日常生活で効率化をするための手法のオンパレードである。
最初に「ライフハックという言葉を最近聞かなくなった」と言ったのだが、これはけして悪口ではない。むしろ「ライフハック」に代表される、生活や仕事のカイゼンのため、大上段に振りかぶって変更していくのではなく、小さなTipsの積み重ねにによって変えていく、さらにはTipsそのものの開発を楽しむといったスタイルが定着したゆえのことでもあろうと思っている。
こうしたTipsの集大成による生活の改良というのは、大げさなシステムを組んだり、あるいは何か大きなマシンを購入したり、といった金銭的にも時間的にも大きな手間を要する手法と比べて、一つ一つの効果は少ないながらも集まれば大きな効果を生むし、個人が導入しやすい、という特徴をもっている。そしてこれは大げさに言えば、大きな組織の凋落を発端とする個人が個人の力でなんとかしなければならない現代にマッチした手法といえなくもない。
そして、そうした多くのTipsが、組織に頼らずに生きていこうとする「個人」を応戦するものともなっていて、これは双方が相乗的に影響しあって、動きを拡大させている、と言っていい。
当方としては、今の「人出不足」に後押しされる「働き方改革」の流れは、既存組織の強化に向うのではなく、組織が解体される一方で、個人のワークスタイル、あるいは仕事への忠誠心が悪用される危険性を持っていると感じているので、こうしたライフハック・ツールで予め武装しておくのは、とても大事なことであろう。
まあ、250ものハックネタが紹介されているので、あれもこれも、と試してみたくなるのが人情ではあるが、ライフハックスのTipsは、スパイスのよく効いた小皿料理のようなところがある。一度にたくさん食べると自家中毒をおこしかねないので。自分が必要なことを考えて、チョイスしながら試すのが肝要かとは思いますな。

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