豊臣家の残党との最後の決戦。信平は幕府と家族を守れるか? — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 16 暁の火花」(二見時代小説文庫)

第一シリーズ最強の敵「神宮寺 翔」と雌雄を決するのが本巻。
舞台は、九州の黒田藩の支藩である筑前朝倉藩を第一の舞台にしながら、江戸での最終決戦を迎える。
収録は
第一話 渡月橋の白鷺
第二話 竹林の風
第三話 獄門島の闇
第四話 暁の火花
となっているが、前巻に同じで、この一冊で一話仕立てとなっている。
発端は、第一話で、黒田藩の支藩である筑前朝倉藩の藩主・黒田長章が参勤交代の途上で、神宮寺翔の配下・宗之介に襲われるところから始まる。
襲われた後、朝倉藩主・黒田長章は京屋敷に篭りっきり。調べるうちに、神宮寺の謀みで、朝倉藩は、密造した鉄砲を携えて、二条城を攻め取ることを強制される。そして、神宮寺の陰に、さらなる黒幕がいる気配で・・、といった感じで進行するのがこの巻。
まあ、単純には朝倉藩の藩主の救出であるとか、新型鉄砲の密造血である播磨沖の流刑の島での幕府勢と神宮寺勢との戦争、さらには神宮寺一派に松姫と福千代が襲われたり、まあ第一シリーズ最終巻らしく、日本各地を股にかけた大乱闘である。
最後のところは、信平の師匠・道謙によって黒幕が暴かれたり、道謙によって再度修行された信平が、松姫を攫った神宮寺と最後の闘いを繰り広げるなど、活劇要素十分である。
最後のところは「正義は勝つ」のが時代小説の大方の定番であるので、安心して悪役との大バトルを、安心して楽しめるのが良いところ。
ただまあ、こうしたお話の中でも、豊臣家の残党というのは、同情をかいつつも結局は、悪役で幕府側にやられるのがちょっと切ない。「勝てば官軍」は真理としても、一律に「負けたら賊軍」はちょっと悲しいですな。

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