若手起業家の根幹に、泥臭い「努力」と「活動」を見た — 前田裕二「人生の勝算」(幻冬舎☓NEWSPICKS BOOKS)

女優の石原さとみさんとの話が突如クローズアップされて、話題の人になってしまった著者なんであるが、そういったネタとは無関係に、今、インターネット・サービスの世界で、最も熱いサービスを提供している、新進気鋭の起業家の、ビジネスへの思いと熱意が込められた、四半世紀の自叙伝である。
 
構成は
 
プロローグ ー経営はストリートから始まったー
第1章 人は絆かにお金を払う
第2章 SHORWROOMが作る新しいエンターテインメントのかたち
第3章 外資系投資銀行でも、求められたのは「思いやり」
第4章 ニューヨーク奮闘記
第5章 SHOWROOM起業
第6章 SHOWROOMの未来
エピローグ ーコンパスは持っているかー
 
となっていて、筆者の幼少期、とりわけ、母親を亡くし、心の居場所を亡くした時、小学生たあたりから、ストリート・ミュージックを始め、外資系金融機関、DeNAを経てSHOWROOMを立ち上げ、軌道に乗せているところまでが書かれている。
 
とかくネット系の起業家というと、テクニカルな知識が豊富で、スマートな事業展開がイメージされるのだが、筆者の場合は、「泥臭さ」「アナログ」な部分を隠さない、アナログな部分あってのインターネットサービスであることを見せてくれるのが、「スゴイ」ところ。
 
それはストリート・ミュージシャンの時の
 
駅前に出ると、つい、「私の演奏を聴いてください」という、供給側の論理に立った一方通行なスタイルを取りがちですが、それでは「モノ(演奏)対ヒト」の関係になってしまっていて、ダメなのです。絆を醸成するには、モノを一方的にぶつけるのではなく、他者への想像力と思いやりを持って、「ヒト対ヒト」の関係性を築くことに意識を集中させねばなりません
 
であったり、外資系金融機関での
 
「プライドはコミュニケーションの邪魔になる。まず、お客さんとコミュニケーションの接点を増やせ。そうしないと、俺たちの仕事は始まらない。あいつバカだねと思ってくれたら、成功だ。バカを演じきった次の日に、お客さんに電話してみろ。俺の言っていることがわかるはず
 
 
ビジネスの世界では優れたスキルや高度な情報を持っているだけの人はそれほど重宝されません。なぜなら、競争の激しい業界ほどハードスキルに優れた人はいっぱいいて、往々にして代替可能だからです。  多少、能力やキャリアで劣っても、純粋に好かれる人が勝つことを、証券会社時代に学びました
 
であったり、
 
SHOWROOMを軌道に乗せる時の
 
それからというもの、都内の地下アイドルが集うライブに通いつめました。来る日も来る日も、異様なまでの熱気を持ったファンと一緒にステージを見続けました。時には、見よう見まねでファンと一緒にフリをして盛り上がってみました。  ほとんどの対バンライブに顔を出して、アイドルを覚えていましたから、もはやオタクと呼ばれる方々にも負けない、という謎の自負を持つまでに至りました
 
といったところに顕著で、若い起業家のビジネスへかける意気込みと泥臭い努力をあまねく見せてもらい、ああ起業というのは時代が変わっても共通のあるのであり、それをとことんできるかどうかが、事業の成功の輪kれ道なのであるな、と前田氏の懸命さにエールを送るとともに、「努力した人が公平・公正に夢を叶えられる社会づくり」という彼の夢を応援したくなってくる。
 
本書は、起業家を目指す人向けというよりは、むしろそうでない人が、全速力で時代の先を走っていっている「先頭ランナーの軌跡」として一読しておくとよいな、と思う一冊であります。
 

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