「今の時代」の本当の「働き方」を模索する — 小原和啓「どこでも、誰とでも働ける」(ダイヤモンド社)

昨今の「働き方改革」が一頃の輝きを失った感があるのは、もちろん調査データの不備とかもあるのだが、根本的には、「働き方改革」ではなく「働かせ方改革」の色合いが強調されすぎてきて、働く側が、「働き方」を変えることの魅力を実感できなくなったことにあると思っている。

本書はマッキンゼー、Google、楽天などの誰もがおこがれる先端企業で働いた経験のある筆者による「働き方」改革の提言書である。

構成は

はじめに

 いま起きている3つの大きな変化

第1章 どこでも誰とでも働ける仕事術

第2章 人生100年時代の転職哲学

第3章 AI時代に適用する働き方のヒント

となっていて、本当はもう一レベル下の目次を紹介しないと、本書の構成ははっきりりないのだが、それをやると本書の内容をぶちまけてしまう感じになるので、ここでご容赦いただきたい。

で本書を総括すると

本書のタイトル「どこでも誰とでも働ける」には、2つの意味があります。 1つは、 ① どんな職場で働いたとしても、周囲から評価される人材になる ということ。そしてもう1つは、 ② 世界中のどこでも、好きな場所にいながら、気の合う人と巡り会って働ける ということ

ということらしく、かなり欲張ったものであることは確かですな。

で、こういう経歴の人であるから、認めるのはデジタルだけ、入手する情報はネットからで十分、なんてことを想像しがちなのだが

これはぼくの実家の教えの1つで、「本はメートルで買え」と言われていました。1冊1冊ちまちま選ぶのではなく、本屋の棚の「ここからここまで全部買え」というわけです。 本が高いといっても、たかだか2000円くらいです。その中のたった1行が人生を変えてくれることだってあるわけで、そう考えると、ずいぶん安い投資です。

と言った風に、「本」というものの価値をしっかり認識していたり、

先に行動ありきで何度も試行錯誤を重ねるDCPAサイクルも、コンピュータの処理能力をフル活用した確率論的なアプローチも、インターネットととても相性のよいやり方です。 それと対極にあるのが、プロダクトやサービスを通じて自分たちのこだわりや価値観を提案していく従来型のアプローチです。 この2つの違いは、そのままウェブメディアと紙の雑誌の違いに当てはまります。一長一短ありますが、どちらも必要というのがぼくの考えです。

といった形で、アナログとデジタルのそれぞれに優れたところを偏りなく評価するところは流石である。ただ、日本人特有のクローズドなビジネススタイルには批判的で

自分が思いつくようなことは、世界中で1000人は思いついていると思ったほうがいい。そうなると、自分が隠しても誰かに先にやられてしまう可能性が高いのです。 結局、スピード勝負ということであれば、自分だけでコツコツやるのではなく、オープンにしてまわりの人をどんどん巻きこんでスピーディに実現しないと間に合わないわけです。

とか

成果報酬型の給料だと、営業マンは成果を独り占めするために、情報やノウハウを囲いこみます。自分のノウハウを人に渡したら、売上を奪われてしまうかもしれないからです。でも、「世の中を一緒に変えていこうぜ」というストーリーに乗っかれば、情報やノウハウをシェアした人のほうがエライことになります。

といった風なオープンなすたいるであるところが極めて現代的といっていい。さらに、「働き方」については

働き方も同じです。 昔と比べていまは取り返しのつく世の中になっています。自分の人生を会社に預けていた時代には、会社での失敗は即、仕事人生の終わりを意味しましたが、いまはいくらでも逃げ道があります

1つ言えるのは、何度もトライできる時代だからこそ、みんなと同じゲームで戦うよりも、 みんなと違うゲームに行ったほうが、競争は少ない ということ

というように、トライを重ねることがベターであり、基本的に「ブルー・オーシャン」を信じるところが極めて楽天的で、青空の下を歩くような爽快感を感じる。

さて筆者によれば

いまは打算的に生きようと思えば、本書に詳細に書いているように、人を信じて、ギブをしまくることがいちばんお得な時代になっています。徹底的に打算的に生きると、結果的にいい人がいちばん合理的という時代

で、

会社にしろ、お客様にしろ、取引先にしろ、1つだけに依存すると、人間は自由を失います。だから、いまいる会社、いま取引のある会社、いま取り組んでいるプロジェクトから一歩離れて、別のところで自分の客観的な価値を確認する。会社と適切な距離を保って、自分の立ち位置を俯瞰してみる。普段から意識してそういうことをしておけば、1つのことに縛られることなく、精神の自由を保てます。

といったことを軸にすえておくべきであるらしい。そして、この時、その原点となるのは、自らの「できること」ではなく「好きなこと」であるように思う。

努力と仕事の結果は比例関係ではありません。最初のうちは、いくら努力してもなかなか結果に結びつかない。他の人も同じような努力をしていて差がつきにくいからです。 ところが、諦めずに努力を続けると、あるレベルを超えた瞬間、急激に伸びます。たいていの人は、そこまで努力できません。99・5%努力して、諦めてしまう。残りの0・5%、 最後の最後まで粘って努力し続けた人だけが、結果をごっそり独り占めできる ということです。

という言葉を励みに、もう少し気張ってみましょうか。

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