「鳥」をめぐる不思議な「味」の物語群を楽しもう — 諸星大二郎「私家版鳥類図譜」(講談社)

奇妙な味の作品というのは、人ぞれぞれに感覚は違うのだろうが、共通項というものはあって、本作の筆者・諸星大二郎は、そういう「共通項」といっていい。
 
収録は
 
第1羽 鳥を売る人
第2羽 鳥探偵スリーパー
第3羽 鵬の墜落
第4羽 塔に飛ぶ鳥
第5羽 本牟智和気
第6羽 鳥を見た
 
となっていて、題名通り「鳥」をモチーフにした短編集なのだが、
 
例えば、第一羽の「鳥を売る人」は、人びとが、いくつかの離れた巨大な「塔」の別れて暮らしている(近)未来あるいはパラレルワールドの世界で、「鳥」と一緒に渡り歩いている「行商人」と少年の話であるし、
 
第五羽の「本牟智和気」は、日本の古代を舞台に、大和から、伯耆、出雲の国に侵入してきている軍勢に随従している「鳥探し」の男と、伯耆の国の「鳥の巫女」、そして、垂仁天皇の皇子・本牟智和気の話で、本作では、鳥のおかげで口がきけるようになった本牟智和気が出雲へ攻め入ったことになっている
 
ように、それぞれの「味」や「舞台」はかなり異なる。
 
一頃のブームが過ぎて、少々、懐かしい部類に入ってきている諸星大二郎の作品なのであるが、暗黒神話や妖怪ハンターを始めとする「古代歴史もの」、「栞と紙魚子」シリーズのような「不思議もの」など、はまり込むと、やみつきになること請け合いの世界が展開されている。
それぞれに好みは分かれるが中毒性は高いので、少しづつお楽しみあれ。
 

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